OTHER 2022.11.30

地元の方に聞いた!
全国有人離島方言辞典
〜西日本編〜

方言はその土地の文化や歴史、生活様式などを反映する貴重な資料です。しかし、多くの地方で方言に消滅の危機が迫っているのが現状です。そこで、今回は日本の各エリアごとに離島をピックアップして、観光協会や役場の方に協力していただき、離島の方言辞典を編纂してみました。なんとなく意味がわかる言葉、一見して全く意味がわからない言葉など、とても興味深い言葉が集まりました。離島旅行の際に使ってみたり、クイズとして活用したり、楽しんでください。今回は、西日本編です!

SHIMA-Omoi編集部
日本にある有人離島の情報を発信するSHIMA-Omoi編集部。250島以上の離島情報の収集・発信のほか、特集の取材・撮影のために多くの離島を訪れている。
愛知県〜日間賀島〜

三河湾に浮かぶ日間賀島。古代の化石や縄文・弥生時代の遺跡、6~7世紀ごろの古墳群が出土するなど、古い歴史を持ちます。縄文時代後期からの外洋型漁業が伝統的に受け継がれ、古墳時代には高度に発達した漁業技術を背景に、海人集団の文化が成立していました。また、古くから渥美半島の福江(現田原市)との交流が活発で婚姻などが行われ、言語にも三河地方の文化の影響がみられます。

香川県〜小豆島〜

小豆島は香川県東部の東讃弁を基調としていますが、讃岐弁より関西弁に近い言葉が話されています。香川県や関西からの移住者の影響や、江戸時代に津山藩(現岡山県津山市)の領地になったことから岡山方面の影響があったと考えられます。多方からの影響のゆえ、島内でも地域によってアクセントなどが異なっています。

島根県〜島後島〜

島後島と島前三島(知夫里島・中ノ島・西ノ島)で構成される隠岐諸島では、島根県東部の出雲弁と西部の伯耆地方の影響を受けた雲伯方言が話されています。さらにかつて大陸との玄関口であったため海外との交流もあり、他の地域にはみられないアクセントも生まれました。隠岐の島町内でも各地区によってイントネーションなどが微妙に異なるので、島民であれば話者が町内のどの地区出身かなんとなく分かるといいます。

長崎県〜壱岐島・新上五島町〜

壱岐島の方言は九州北部や中部で使われている肥筑方言と共通点が多く、島内でも地区によって差異があります。古くから鯨組で栄えた勝本では、京言葉の影響を受けているものも多いといいます。しかし、若年層ではこれらの方言を使われなくなっているのも現状です。また、新上五島町が属する五島列島の方言は単語を短く切って簡素化する傾向があります。どちらの方言も地域や集落によって差異の大きいことが面白いポイントです。

鹿児島県〜種子島・奄美大島〜

種子島の言葉は本土の鹿児島弁とよく似ています。しかし、鹿児島弁は語彙を縮めて発音するのに対して、種子島弁は流す伸ばして発音する傾向があります。それは江戸時代に薩摩藩の直轄ではなく、種子島家が治めていたため、古い言葉や抑揚がそのまま残ったためと推測されています。一方、奄美大島の言葉は、1185年に約680人の平家一族が来たことから、日本の古語がそのまま残っていると言われています。しかし昭和40年代からテレビの普及や学校での方言の使用禁止によって方言離れが進み、現在奄美語を使えるのは高齢者のみとなっています。北海道のアイヌ語、沖縄県の八重山方言などとともに、ユネスコによって絶滅危惧語にも指定されています。

沖縄県〜宮古島〜

宮古島の方言は宮古列島で話され、現地では宮古語(ミャークフツ)と言われています。宮古島の方言には、池間島・伊良部島佐良浜・平良西原の方言、狩俣の方言、久松の方言、城辺の方言、上野の方言、下地の方言、多良間島の方言というように地域別や言語系列別に多くの言葉があります。また、宮古語もユネスコによって消滅危機言語に分類されています。