OTHER 2022.12.08

絶景島旅トリップ!
離島の展望台の魅力と
筆者おすすめ展望台まとめ

海から山まで一続きだからこそ、ダイナミックな景色を余すところなく楽しめる離島の展望台。自然と歴史、その島が紡いできたストーリーを読み取れる場所でもあります。個性的な表情をみせてくれる離島の展望台をご紹介します。

土庄 雄平
(トラベルライター)
商社・メーカー・IT企業と営業職で渡り歩きながら、複業トラベルライターとして活動する。メインテーマは山と自転車。旅の原点となった小豆島、転職のきっかけをくれた久米島など、人生の岐路にはいつも離島との出会いがある。
離島の展望台をめぐる理由

「展望台に行けば、その島の全体像がわかるから。」-----離島の展望台を訪れるモチベーションは、いたってシンプルです。全体像という言葉には、その島の地理だけでなく、醸し出されている雰囲気や旅情も含まれます。地形は起伏に富んでいるのか。町の配置や景観は。島にはどういう日常風景が流れていて、どのように自然と共生しているのか。一度眺めるだけで、いろいろな情報がインプットされてきます。旅の始まりに、まっさらな目で見てもよし。旅の終わりに、島での思い出を回顧するのもよし。「これからどのように島を巡ろうか?」旅の高揚感をさらに高める場所であり、島旅を情緒豊かに締めくくる場所でもあります。

島の個性が集まる展望台

一つとして同じ離島がないように、一つとして同じ展望台はありません。だからこそ島の展望台は個性的です。海のグラデーションを感じ取れる高台や、吸い込まれるような切り立った断崖の上。木々のトンネルの先に突如として現れたり、桜や紅葉とのコラボレーションを見せてくれるなど。また景色以外にも、展望台に至るまでの道のりが面白かったり、そこに島の活気や暮らしぶりが垣間見られるという側面もあります。離島によっては、意外にも「山があったんだ!」という発見も。海のイメージが強い島ほど、山を象徴する展望台という場所は、良い意味でその島に対する先入観を払拭してくれるのです。

<壮大な自然に出会える場所>

デッキの上に立った時、島の全地形を感じられる展望台。海から山までの圧倒的な高低差に引き込まれる抜群のロケーションは、筆舌に尽くし難い感動をもたらしてくれます。こうした展望台は総じて、島の山の頂上に設けられています。そのためアクセスしづらい側面もありますが、その分辿り着いた時の達成感もひとしおです。

【中通島】米山展望台

五島列島・中通島にある「米山展望台」。奈良尾港の裏手、標高250mの米山の山頂に設けられた展望台です。その特徴は、美しさと荒々しさを感じられる壮大なパノラマです。若松の瀬戸に発達する切り立った小島が、宝石のように輝く海と絶妙な対比を生み出します。そしてそこに加わるのは、五島列島各島を結ぶ定期船や博多から往来するフェリーの船影。五島列島らしい手付かずの大自然と、そこに共生する人の営みを感じられる展望台です。

【小豆島】四方指展望台

小豆島の寒霞渓を見渡す「四方指展望台」。寒霞渓ロープウェイの駅から少し離れた場所に位置しており、穴場の展望台です。しかし、その迫力あるパノラマから、小豆島随一の絶景スポットとしても知られています。その特徴は、遮るもののない360度の大パノラマ。眼下には小豆島の地形美と、島を囲む真っ青な瀬戸内海が広がります。晴れれば、鳴門海峡大橋や淡路島、四国までも望むことができ、一つの島のスケール感を味わえる場所です。

<島の信仰・歴史を垣間見る場所>

国産み神話に代表されるように、日本の歴史に深くかかわっている離島。島の山はしばしば信仰の対象になっていることがあります。展望台を訪れることで、自然景観だけでなく、その島のルーツを紐解く旅を楽しむことも可能です。また一方で、産業遺産として日本の近代化に貢献した島を訪れれば、独特の旅情が味わえます。

【神津島】多幸湾展望台

神々が舞い降りたと伝わる伊豆七島・神津島の最高峰「天上山(てんじょうざん、標高572m)」。その山容を一緒に眺める高台にあるのが「多幸湾展望台」です。迫力のある山塊と、エメラルドブルーの海のコントラスト。もしかしたら、天上山に集まった神たちが、島を荒々しく切り開き、”この宝石のごとき絶景を作り上げたのではないか!?”そう思い巡らせてしまうほど、鮮やかな神々しさを放っています。

【壱岐島】猿岩

国境の島・壱岐島(いきのしま)。国産み神話に登場する大八洲(おおやしま)の一つですが、”生き島”であったため、勝手に動くことがないように、神が八本柱で島を止めたという逸話が伝わっています。その一つが、西側にある「猿岩」です。まるで猿の横顔をそのまま岩にしたような奇岩と、最果て感漂うロケーションが広がります。わずかに神話の奇跡を感じつつ、ダイナミックな自然を味わえる展望スポットです。

【高島】軍艦島が見える丘

日本の近代化において、欠かせない役割を担った長崎県の高島。「軍艦島が見える丘」は、高島南端にある展望台で、同じく世界遺産に登録されている軍艦島(端島)を望むことができます。まるで島が一つの要塞と化したかのような島影は圧巻!軍艦島クルーズの海上以外で、ここまで軍艦島を明瞭に見られるのは、この展望台のみです。その一方、周囲には高島のもの寂しい景観。炭鉱島の栄枯盛衰を物語っている場所と言えるでしょう。

<知る人ぞ知る穴場な場所>

広いようで狭く、狭いようで広い離島。手付かずのフィールドの中には、穴場と言える展望スポットがしばしば存在します。何度も同じ島を訪れる中で見つけることもあれば、島民の方に教えてもらうこともしばしば。定番ではない場所こそ、島旅らしい風情が味わえることもありますよ。

【小豆島】西寒霞渓の一枚岩

小豆島の別荘地として栄えた旧小豆島ヴィラ。今でこそ人の立ち入ることの少ない場所ですが、かつては西寒霞渓とも呼ばれました。西寒霞渓の一枚岩とは、その一角に佇む知る人ぞ知る展望スポット。木々のトンネルを進んでいくと、大渓谷の先に小豆島東部の港町を見下ろします。小豆島の名物ライダーハウス『ライハのツボ』へ宿泊すると、朝の日の出の時間にオーナーがバイクで案内してくれますよ。

【答志島】天望山レイフィールド

伊勢湾に浮かぶ答志島。古来より、海人(あま)による漁業活動で栄えた島です。昔ながらの港町の風景が根付き、素朴な時間が流れています。そんなこの島に近年作られた展望スポットが「天望山レイフィールド」。デッキの上からは右手に鳥羽市街、左手に和具港を望むことができ、伊勢湾ならではのロケーションを満喫できる憩いの場所となっています。秘密基地のような雰囲気も筆者のお気に入りポイントです。

一つの島で一つは訪れたい展望台

島の自然や歴史、信仰などさまざまな魅力を味わえる展望台。ひとえに絶景が待っているだけでなく、その島でしか感じられない空気感を届けてくれ、より旅を面白く、旅の記憶をより印象的に彩ってくれます。少しアクセスしづらい側面もありますが、一つの島で一つは展望台を訪れてみてください。きっとその場所に、島旅の旅情が高まる瞬間が待っていると思います。