島と溶け合い
心を満たしてくれる
アートな島巡り
岡山県・香川県 瀬戸内国際芸術祭
瀬戸内海に浮かぶ12の島々と2つの港を舞台として、3年に1度開催される現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」。船で離島の現代アートを巡る非日常体験が人気を博し、国内外から観光客が訪れる一大イベントとなっている。2022年4月から開催される第5回をより楽しむために、編集部おすすめの現代アートに加えて、旅の拠点としても便利な小豆島の魅力をご紹介。
【春】4月14日(木)〜5月18日(水) 35日間 【夏】8月 5日(金)〜9月4日(日) 31日間 【秋】9月29日(木)〜11月6日(日) 39日間
直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、沙弥島(春のみ)、本島(秋のみ)、高見島(秋のみ)、粟島(秋のみ)、伊吹島(秋のみ)、高松港周辺、宇野港周辺、広域・回遊
世界でも有数の多島美を誇り、古来より大陸文化到達の地として、そして交通の大動脈として栄えた瀬戸内海。しかし、明治時代から急速に進んだ近代化、政治的な分断、戦後の工業化に伴う環境破壊などの要因が重なり、以前の活気が失われつつあった。そんな中、瀬戸内国際芸術祭は、美しい自然と人間が互いに響き合い
豊かさを創造してきた瀬戸内の島々にもう一度活力を取り戻すために始まった。テーマは「海の復権」。世界の一流アーティストが瀬戸内各所の景観や歴史・文化を解釈して創った作品を通じて、学びや気づきを得ることができる。アート作品だけではなく、それを道しるべに辿り着いた島の絶景や島民との出会いを楽しむ旅にしよう。
世界でも有数の多島美を誇り、古来より大陸文化到達の地として、そして交通の大動脈として栄えた瀬戸内海。しかし、明治時代から急速に進んだ近代化、政治的な分断、戦後の工業化に伴う環境破壊などの要因が重なり、以前の活気が失われつつあった。そんな中、瀬戸内国際芸術祭は、美しい自然と人間が互いに響き合い豊かさを創造してきた瀬戸内の島々にもう一度活力を取り戻すために始まった。テーマは「海の復権」。世界の一流アーティストが瀬戸内各所の景観や歴史・文化を解釈して創った作品を通じて、学びや気づきを得ることができる。アート作品だけではなく、それを道しるべに辿り着いた島の絶景や島民との出会いを楽しむ旅にしよう。
世界的に有名な
芸術家や建築家による
現代アートの聖地
瀬戸芸会場のなかでもシンボリックな存在で人気の直島。フェリーで港に近づくと、最初に出迎えてくれるのは草間彌生作の「赤カボチャ」。安藤忠雄が設計した「地中美術館」や、直島特有の家屋や寺社を改修して作品化した家プロジェクト(全7軒)など、各エリアにアートが点在して、島全体がまるごと美術館になっている。疲れた体を癒すのに最適な直島銭湯「I♥湯」も、大竹伸朗によるアート作品。
景観や食の魅力も満載
アート作品を通じて
「豊かさ」を考える島
島の中央にそびえる檀山からの伏流水で稲作や酪農が栄えた、名前の通り豊かな島。唐櫃地区の海を臨む傾斜に広がる一面の棚田は素晴らしい眺望。その一角にある「豊島美術館」は柱一本ない空間で、天井からは光や風が入り、床からは水滴が湧き出る。自然と建築とアートが融和した特異な空間で、来訪者のなかには涙する人もいるのだとか。古民家を改修した「島キッチン」では島産の食材を使ったグルメも堪能できる。
集落に築かれた石垣は
さながらアート作品
鬼ヶ島伝説が残る島
冬に吹く強い季節風から家々を守るために「オーテ」という石垣が築かれている女木島は、かつて鬼が住んでいたと伝えられ「鬼ヶ島」とも呼ばれている。鬼ヶ島大洞窟には「オニノコ瓦プロジェクト2」として県内の中学生が制作した鬼瓦が並べられている。また、女木港周辺にはアート作品が多く、特に「カモメの駐車場」はカモメ型の風見鶏が堤防に約300羽並んでいて、風が吹くと一斉に向きを変える姿は圧巻。
斜面に民家が密集し
迷路のように細い坂道は
どこか郷愁を誘う雰囲気
海から見ると民家が鱗のように重なって建つ独特な景観になっていて、島のどこから見た景色も美しいビュースポットの宝庫。港で来訪者を迎え入れる「男木島の魂」や、旧約聖書に由来する「歩く方舟」など印象的なアートも多い。2014年の瀬戸芸をきっかけに小・中学校が再開。その後も移住者が増え続けていて、活気を取り戻しつつある注目の離島。
自然と文化が調和した
風光明媚な島で
アートと観光を楽しむ
日本で初めてオリーブの栽培に成功したことから「オリーブの島」と呼ばれている小豆島。特産は400年以上の歴史がある醤油や、素麺、佃煮、ごま油など豊富。瀬戸芸会場の島で最大の面積を誇り、各所にアート作品が点在している。「エンジェルロード」「寒霞渓」などの観光地のほか、伝統行事や風習が色濃く残っているので、アート以外の観光も忘れずに。
悲しい過去を見つめ
未来のために活かす
学びの多い場所
島全体がハンセン病回復者の国立療養施設「大島青松園」である大島。かつては社会的偏見や差別があり、ハンセン病回復者を強制隔離する島という悲しい過去があった。現在は回復者の療養施設として、正しい理解を促す啓発活動の場として機能している。島内のアートもハンセン病の悲しい歴史を風化させることなく、明るい未来につなげるという役割を担うものが多い。
日常の美しい風景や
作品の向こうに広がる
身近な自然を感じる
犬島は1時間あれば徒歩で周れる小さな島。銅の製錬業や採石業が盛んだった頃は約5000人が暮らしていた。「犬島精錬所美術館」はかつて存在した銅の精錬所を再生した施設で、日本の近代化に警鐘を鳴らした三島由紀夫を題材にした作品が展示されている。犬島「家プロジェクト」は集落に5軒のギャラリーが点在し、島の日常と自然が一体となった作品が楽しめる。
アート作品から望む
万葉時代から変わらぬ
瀬戸内海の景色
縄文土器やサヌカイト製石器、製塩土器が出土し、古墳や遺跡などが今も残る歴史深い沙弥島。万葉の代表的歌人・柿本人麻呂の歌に沙弥島が登場することから万葉集ゆかりの島といわれている。実際に座ることができるベンチ型の彫刻作品「八人九脚」や花崗土で造成した丘「階層・地層・層」からは万葉の時代から変わらない多島美や雄大な瀬戸大橋を眺められる。
楽しい旅の始まりを
予感させる
各会場への玄関口
高松港は「四国の玄関」と呼ばれ、瀬戸芸会場の小豆島・直島・宇野港や、県内外の各港とつながっているため各会場への玄関口として最も利用されている。高松港のシンボル的アート「Liminal Air -core-」、地元産の石を彫刻した「銀行家、看護師、探偵、弁護士」、高速バスの待合所にある「待つ人 / 内海さん」などのパブリックアートをはじめ、楽しいアート旅を予感させる作品が多数。
本州側の玄関口で見る
「ものづくりのまち」
ならではのアート作品
造船業で栄えた岡山県の宇野港は、本州から瀬戸内海の島々(直島・豊島・小豆島)や高松港を結ぶ航路があり、もう一つの玄関口としてアート巡りの観光客で賑わっている。宇野港周辺のゴミや不用品を集めて作った巨大アート「宇野のチヌ/宇野コチヌ」は一際目を引く存在。放置自転車に鉄くずを溶接し、レンタル可能なアート自転車に再生した「終点の先へ」など、廃材を使用したアートが多い。
瀬戸内海で2番目に大きな島「小豆島」。季節によって豊かに表情を変える島は、アートだけでなく、風光明媚な名所が満載。いつもと変わらない静かに澄んだ瀬戸内の海から、1日2回だけ現れる不思議な砂の道は、〝大切な人と手を繋いで渡ると願いが叶う〟といわれている。感じられるのは、スーッと心が洗礼されるような爽やかな潮風。
島の人たちとのふれあいは、どこか故郷に帰ってきたような、ほっと安らぐ不思議な感覚。アートを目的に瀬戸内の島々を巡るなら、その機会に瀬戸内のゆるやかな空気感と、その奥のみなぎるパワーを感じながら、日常を忘れて、のんびりと島旅の魅力も同時に味わおう。
瀬戸内海で2番目に大きな島「小豆島」。季節によって豊かに表情を変える島は、アートだけでなく、風光明媚な名所が満載。いつもと変わらない静かに澄んだ瀬戸内の海から、1日2回だけ現れる不思議な砂の道は、〝大切な人と手を繋いで渡ると願いが叶う〟といわれている。感じられるのは、スーッと心が洗礼されるような爽やかな潮風。
島の人たちとのふれあいは、どこか故郷に帰ってきたような、ほっと安らぐ不思議な感覚。アートを目的に瀬戸内の島々を巡るなら、その機会に瀬戸内のゆるやかな空気感と、その奥のみなぎるパワーを感じながら、日常を忘れて、のんびりと島旅の魅力も同時に味わおう。
優しいオリーブの香りが
出迎えてくれる
オリーブ尽くしの旅
思わず撮りたくなる
小豆島の海と空と歴史の
フォトジェニックな景色
約2,000本のオリーブ畑に囲まれた「小豆島オリーブ公園」。映画「魔女の宅急便」のロケセットとして使われた瀬戸内海を見下ろす小高い丘にある白いギリシャ風車は、まさにフォトスポット。醤油の香りに包まれる「醤の郷」や、約800枚の棚田が波型模様に広がる「中山千枚田」など、小豆島の歴史を感じながら歩いてみるのも楽しい。
地産地消の焼きたてピザで
島グルメを堪能
島を散策した後は、おいしいグルメで旅のエネルギーをチャージ。小豆島の土庄港近くにある石窯ピザのお店「pizza kamos」へ。オープンと同時に続々とお客さんが訪れ、賑わう店内。1枚1枚丁寧にピザ窯で焼いているのをみるだけで美味しい。元パン職人の店主が作る香川県産小麦を丁寧に手捏ねした長時間熟成のピザ、さあ、いただきます。
アンティークウッドと
照明の素敵な空間で
まったり島時間を過ごす
天然酵母で自家発酵した生地と島食材を掛け合わせた「瀬戸内しらすと小豆島レモンの“瀬戸内ピザ”」や、爽やかなレモンの風味が口いっぱいに広がる「リモーニ」など、小豆島を感じるメニューの数々。裏庭にあるオープンスペース「cafe u ra ni wa」では小豆島の風を感じながら、島時間を寛げる。
「瀬戸内国際芸術祭2022」の
舞台となっている島や港で購入することが
できる
限定グッズをゲットして、瀬戸芸を楽しもう。
瀬戸内国際芸術祭2022の会期中、芸術祭の参加作品(施設)を鑑賞することが可能なチケット。すべての会期で有効な「3シーズンパスポート」と、春・夏・秋それぞれの会期のみ有効な「会期限定パスポート」が選べる。
【3シーズンパスポート】
一般:5,000円
16~18歳:3,100円(要身分証)
15歳以下:鑑賞無料
(一部作品、施設を除く)
【会期限定パスポート】
一般:4,200円
16~18歳:2,600円(要身分証)
15歳以下:鑑賞無料
(一部作品、施設を除く)
瀬戸内国際芸術祭2022のテーマである「島のおじいちゃん、おばあちゃん」のメインビジュアルがカラフルにデザインされたてぬぐい。旅行に、おうち時間に、様々なシーンで役に立つ。
てぬぐい(島のお年寄り) 1,100円
グリーン/イエロー/レッド
穏やかな気候と
充実した観光スポットで
女子旅、ひとり旅、ファミリー旅行
世代問わず満喫できる小豆島
「瀬戸内国際芸術祭」の開催地の一つでもある小豆島の旅。島内を散策していると、風とともにほのかに漂うオリーブやお醤油の香りが“ようこそ!”と歓迎してくれる。映画のロケ地になることも多い小豆島は、1日では巡りきれないほど有名スポットが目白押し。インスタ映えするスポットはもちろん、自然や歴史、レジャーもじっくり楽しめて、老若男女問わず満喫できる島ではないだろうか。
地元の人、移住してきた人、観光で訪れた人、みんながまったりした“島時間”を過ごすことができる。瀬戸内国際芸術祭での島巡りは、数多くのアートと共に、日常では感じられない離島の魅力に出会えるとってもステキな時間に。