旅好きがそっと教えたい、心を奪われる離島の絶景スポット10選
旅好きの心を惹きつけてやまない日本の離島には、まだ知られていない絶景が数多く残されています。信仰と共に刻まれた歴史ある教会、海と一体となるような堤防道路、潮風に耐えながら集落を守ってきた防風堤など……。今回は、筆者が特に心惹かれた五島列島を中心に、全国の離島からちょっと通好みの絶景スポットを10カ所厳選してお届けします。
上五島・中通島北部に位置する孤島「頭ヶ島」は、幕末まで無人島でしたが、明治初期に迫害を逃れた潜伏キリシタンが移り住み、集落が築かれました。彼らが信仰を守り抜き、カトリックに復帰して建てたのが、世界遺産にも登録されている「頭ヶ島天主堂」です。島の五島石を切り出して積み上げた石造の教会堂は、日本の素材とヨーロッパの様式が融合した、独自のキリシタン文化を象徴する建築物として今も静かに佇んでいます。経済的に恵まれない中で築かれたその姿は、信徒たちの強い信仰の証そのもの。隣接する墓地では4月〜6月の期間、ピンク色のマツバギクが咲き誇り、唯一無二の鮮烈な風景を見せてくれます。その光景はまさに、最果ての地でキリシタンたちが信仰を守り抜いてきたことを讃えているようです。
中通島の西海岸にある「矢堅目(やがため)」は、古くから海上航路の目印として親しまれてきた巨岩です。とんがり帽子のような形は、スタジオジブリ映画『となりのトトロ』のトトロが左を向いている姿に似ていると話題となり、いつしか「トトロ岩」と呼ばれるように。周辺には断崖や複雑な海岸線が連なり、迫力ある風景を一望できます。かつて敵の侵入を監視し、矢で防いだことから「矢堅目」と名付けられたこの地は、今では夕日を望む絶景スポット。水平線に沈む夕日は、五島列島ならではの雄大さで旅人を魅了し、特に夏にはオレンジ色のオニユリが咲き誇り、夕景をさらに彩ります。遠く離れた島で味わう夕日は、旅の思い出を温かく心に刻んでくれるはずです。
長崎県五島列島北部の新上五島町では、有福島と日島(ひのしま)という2つの島があり、橋ではなく防波堤でつながっている珍しい風景が見られます。1970年代に造られた県道169号線の堤防道路は、今では地域の大切な生活道でありながら、海の青さと島々の緑が織りなす抜群のロケーション。堤防道路の内側は、小さな湾のようになっており、一面沖縄の海の透明度にも匹敵するエメラルドブルーの海が広がります。人影も少なく、ほぼ貸し切り状態の美しい風景を満喫した後は、日島の静かなビーチへ足を延ばし、透き通った遠浅の海を素足で感じてみてください。また日島には、大陸との交易を象徴する石塔群が残されており必見です。
五島列島のほぼ中央に位置する奈留島。その西端にある「ノコビ浦の防風堤」は、集落を強い潮風や台風から守るために造られました。集落側には人々の暮らしが息づき、畑や石垣が穏やかな時間を感じさせてくれます。一方、堤防の先に立つと、一面に広がる紺碧の海と、荒々しい波音が迫り、島の静けさとは対照的な光景が目の前に広がります。このわずかな距離で、穏やかな暮らしと厳しい自然の境界を肌で感じられるのが、ノコビ浦ならではの魅力です。島を支えてきた防風堤に立ち、風を受けながら、五島の自然の美しさと、人々の営みの力強さに思いを馳せてみてください。
小豆島を代表する景勝地・エンジェルロードの陰に隠れ、ほとんど知られていないもう一つの“裏エンジェルロード”が、島の東部・小豆島町の南風台(なんぷうだい)にあります。国道436号沿いに立つヤシの木が目印の展望台の眼下には、干潮時にのみ「希望の道」と呼ばれる砂の道が姿を現します。この現象は「トンボロ」と呼ばれ、引き潮になるとビーチと沖合の小島・城ヶ島を結び、まるで海を歩いて渡るかのような体験ができます。エンジェルロードより小規模で観光地化されていないため、透明度の高い海と静かな雰囲気を心ゆくまで満喫できるのが魅力。私有地ながら地主さんの厚意で開放されており、訪れる人も少なく、まさに知る人ぞ知る穴場です。ただし潮の状況により道が現れないこともあるため、潮見表を確認し、中潮から大潮のタイミングを狙って訪れるのがおすすめです。
しまなみ海道は、広島県尾道市から愛媛県今治市を結ぶ全長約70kmの海の道。サイクリスト憧れのルートとして知られ、瀬戸内海に点在する島々を橋でつなぎながら、多島美を横目に走ることができます。その中でも大島と四国本土を隔てる来島海峡は、潮の流れが速く、昔から海の難所として有名です。この海峡に架かる来島海峡大橋は、しまなみ海道最大の橋で、夕暮れ時には感動の景色を見せてくれます。太陽が水平線へと沈みゆくころ、海と空はやわらかなオレンジ色に染まり、橋の構造美を引き立てながら、ゆるやかな潮流にきらめく光が旅の終わりを彩ります。条件がそろえば、雲に映える茜色のグラデーションが一層幻想的で、長い道のりを走りきった達成感とともに心に残るはず。来島海峡大橋の夕景は、しまなみ海道を締めくくる最高のご褒美です。
愛媛県・上島町に位置する岩城島は、「青いレモンの島」としても知られ、穏やかな瀬戸内の島々の中でもとりわけ春に訪れたい絶景スポットがあります。それが、島の最高峰「積善山(せきぜんざん、標高370m)」です。美しい放物線状の山容から「岩城富士」と呼ばれ、登山やハイキング愛好者に親しまれています。春になると山一帯に植えられた約3,000本の桜が一斉に咲き誇り、山をまるごと淡いピンクに染め上げる光景は、まさに息を呑む美しさ。山頂まで続く約4kmの舗装路は桜のトンネルとなり、歩く人々を優しく包み込みます。さらに、新緑に移り変わる木々や、同時期に咲くヤマツツジが彩りを添え、瀬戸内海の穏やかな青とのコントラストが一層引き立ちます。頂上の展望台からは、桜越しに多島美の瀬戸内海が広がり、ここでしか味わえない天空の花見が楽しめます。春の岩城島で、海と桜の贅沢な競演をぜひ体感してみてください。
長崎県北部、玄界灘に浮かぶ壱岐島は、古くから大陸との交易の要衝として栄え、神話の国産み伝説でも知られています。島名「壱岐」の由来は、誕生した島が「生きて」動いてしまわないよう、八本の柱で大地に繋ぎ留めたという言い伝えにちなんでいます。その名残とされるのが、北西部の黒崎半島に立つ「猿岩」。かつての柱の固定台が波風に削られ、猿の横顔そっくりの奇岩となりました。対馬灘を背にそびえる姿は迫力満点で、近年は壱岐屈指の絶景スポットとして人気です。展望台からの眺望はもちろん、足元に迫る荒波を感じながら間近で仰ぎ見るのもおすすめ。特に夕暮れ時、赤く染まる空と水平線に沈む太陽を背景に浮かび上がる猿岩のシルエットは、思わず息をのむ美しさ。壱岐を訪れたらぜひ立ち寄りたい絶景スポットです。
鹿児島県の南方約60km、黒潮の流れに抱かれる世界遺産・屋久島。その最高峰が、標高1,936mの宮之浦岳です。北海道・利尻山と並び「離島の高山」として知られ、島の豊かな森の源とも言われています。縄文杉のさらに奥にそびえるため、最も一般的な荒川登山口からの往復でも標準で15時間ほどを要し、日帰りは容易ではありません。筆者が登ったのは3月上旬。温暖な南国の印象が強い屋久島ですが、山頂付近には厳冬の気配が残り、枝々に咲く霧氷が見事でした。標高を上げるにつれて雪は深くなり、頂に立つと一面の霧氷原(むひょうばら)と遥かな雲海が眼下に広がります。その姿はまさに「洋上のアルプス」。太古からの自然が息づく島には、白谷雲水峡や千尋の滝、平内海中温泉など、時を超えた自然景観が点在します。宮之浦岳の頂を目指しつつ、屋久島の奥深い自然の恵みを心ゆくまで堪能してください。
沖縄県久米島を代表する絶景スポット「ハテの浜」は、白い砂浜と透き通ったターコイズブルーの海が織りなす、まさに東洋一と称される美しさを誇ります。泊(とまり)フィッシャリーナからのツアーに参加すれば、色彩豊かな海をクルージングしながらウミガメに出会えることも。到着すると、360度海に囲まれた白砂の世界が広がり、思わず息を呑むはずです。冬でも温暖な久米島では、シーズン外でも比較的人が少なく、浜を独り占めしたような贅沢な時間を過ごせます。波打ち際を散歩したり、人気のブランコに乗って非日常感を満喫したりと過ごし方は自由。滞在中、天気の良い日を狙えば、一層澄んだ青の絶景に出会えるでしょう。肩の力を抜いて、久米島の楽園を堪能してみてください。