OTHER 2024.07.17

非日常体験必至!オーシャンビューと極上泉質の離島温泉4選

6,852もの個性豊かな島からなる日本。その多くは、太古の地形変動や火山活動によって形成されました。そうした島の成り立ちを象徴する要素の一つが、島内で楽しめる温泉です。今回は非日常の入浴体験を楽しめる離島の温泉をピックアップ!パワーをもらえる温泉を求めて、国内の離島をめぐってみてはいかがでしょうか?

土庄 雄平
(トラベルライター)
商社・メーカー・IT企業と営業職で渡り歩きながら、複業トラベルライターとして活動する。メインテーマは山と自転車。旅の原点となった小豆島、転職のきっかけをくれた久米島など、人生の岐路にはいつも離島との出会いがある。
離島温泉の特徴

離島の魅力は、その豊かな自然と広がる開放感にあります。美しい海と手つかずの森が広がり、静寂な時間が優しく流れています。日常の喧騒から一息つける、心地よさを感じさせる離島の魅力に触れた経験がある方も多いのではないでしょうか。島の温泉は、そんな離島特有の雰囲気を直接感じさせてくれます。ふつふつと身体にパワーが湧き上がるような濃厚なお湯に癒され、オーシャンビューの露天風呂に浸かると、言葉で表現しきれないほどの開放感を感じることができます。また島によっては温泉宿だけでなく、保養センターといった公共の温泉施設がある場合も多く、そこではまるで島民になったような入浴体験を楽しむこともできます。

壱岐島・湯本温泉|天皇の産湯にもなった。源泉かけ流しの高濃度温泉

九州の北部に位置する国境の島「壱岐島(いきしま)」。神話にも登場し、神社の密度が日本で一番高いことで有名なこの島には、知る人ぞ知る名湯が湧いています。その名も「湯本(ゆのもと)温泉」。壱岐随一のいで湯と呼ばれ、古くから親しまれてきました。驚くべきは、療養規定値の約15倍を誇る高濃度温泉だということ。ナトリウム-塩化物温泉のお湯は、鉄分と塩分を豊富に含み、加水をせず源泉量を調整しながら温泉の温度を保っています。ひとたび入ると、鉄分の匂いで鼻腔が満たされ、身体を芯から温めてくれるお湯の力を実感できるでしょう。

そんな湯本温泉ですが、実は壱岐島の歴史にかかわっているのも面白いです。日本古代史において「韓征伐を指揮した名高い女帝・神功皇后が応神天皇の産湯として利用したという伝承が「湯ノ本温泉」には伝わっています。なんと1700年以上前から効能高い温泉として親しまれていたことが確認されているのです。おすすめの施設は、高級リゾートホテルである「壱岐リトリート海里村上」。日帰り入浴は1,000円で利用できます。見事なオーシャンビューを楽しみながら、鮮度抜群の源泉かけ流しのお湯に浸かる時間は極上のひとときです。

神津島・神津島温泉|火山島の力強さを体感!オーシャンビューの露天風呂が魅力

伊豆諸島の南部に位置し、神々の集う島と謳われる「神津島」。荒々しい山容を誇る天上山(てんじょうざん、標高572m)を中心として他の島とは一線を画す、どこか神秘的な雰囲気を放っています。アクセスの困難さも相まって、まさに秘境と言える離島です。そんな神津島は、まさに太古の噴火活動によって形成された火山島。島の麓には火山の恵みとも言える温泉が湧き、神津島温泉保養センターが営業しています。神津島温泉の魅力は、ナトリウム塩化物強塩泉という泉質です。海水に含まれている塩分濃度と近い濃さで、入っていると何だか浮遊しているような入り心地もリラックス効果が高い源泉かけ流しのお湯を楽しめます。

神津島温泉のもう一つの魅力は、個性豊かな露天風呂です。100人入れる第露天風呂や小露天風呂、展望風呂などが揃っています。かつて岩礁を利用した「錆崎温泉(さぶざきおんせん)」という共同温泉から始まった温泉の歴史を、今でも岩々に囲まれた野趣ある露天風呂から見てとることができるのが面白いです。真っ青な海とともにダイナミックな地形も楽しめるオーシャンビューも素晴らしく、本州から離れた秘境の島ならではの開放感も格別です。

屋久島・平内海中温泉|野趣あふれる世界遺産の島を象徴!沿岸沿いの岩風呂

太古の自然が根付く世界遺産「屋久島」。九州最高峰・宮之浦岳を頂点として、沿岸部まで深い山並みが続き、日本屈指の多雨地帯にあるこの島は、独自の世界観を繰り広げています。縄文杉をはじめとする大樹や苔むす森、ヤクシカの姿などが印象的です。そんな屋久島でぜひ訪れたいのが、南部の海岸にある「平内海中温泉」。1日2回の干潮前後の5時間ほど入浴できる混浴野天風呂となっています。泉質は単純硫黄泉で、どんな方でも入りやすいサラリとした無色透明のお湯が特徴です。

その名の通り岩々で囲まれた浴槽の先には、美しい屋久島の海を望むことができ、まさに世界遺産の島を象徴するロケーションと開放感!ダイナミックに押し寄せる波の音に耳を傾けつつ、自由気ままにお湯に浸かるのは至福のひとときです。しかしながら、脱衣所はなく、水着の着用も不可のため、女性には少々ハードルが高いのが実情。なので、女性の方でこの温泉に入りたい方は、近くに宿を取って夜間に入りに来るのが良いかもしれません。屋久島の満天の星空を仰ぎ見ながら入る温泉も格別ですよ!また混浴が厳しいという方は、近くの湯(ゆどまり)温泉へ足を運ぶのもオススメです。

利尻島・利尻富士温泉/利尻ふれあい温泉|利尻山麓に湧く2つの名湯をはしご湯

日本最北端の町・稚内市から西方30kmの海上に浮かぶ「利尻島」。利尻富士として親しまれる利尻山(りしりさん、標高1,721m)を水源とする栄養たっぷりの湧水が、名産のウニや利尻昆布を育み、独自の自然の循環を作り上げています。そんな利尻島には、2つの素晴らしい温泉が湧出しています。一つ目は、利尻山鴛泊コースの登山口近くにある「利尻富士温泉」。泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉で、しっとりと肌に馴染むお湯が特徴で、露天風呂から眺められる利尻富士の秀麗な佇まいが魅力です。お湯は循環ろ過での供給ですが、常時源泉を足し湯しているので鮮度も保たれています。

二つ目は、島の西部・沓形(くつかた)のホテル利尻にある「利尻ふれあい温泉」です。泉質は含二酸化炭素 - ナトリウム・マグネシウム - 塩化物・炭酸水素塩泉。空気に触れると茶褐色に色が変化するため、金の湯とも呼ばれ、国内トップクラスの炭酸水素量を含む素晴らしいお湯です。大浴場は循環ろ過での供を主体としていますが、中央には源泉にそのまま浸かれる浴槽があり、一度入れば清涼感や美肌効果を感じられるでしょう。ぜひ利尻山登山や島の観光と併せて、最果ての島ではしご湯を楽しんでみてください。

丸ごと島を楽しむなら!登山・温泉・グルメを一緒に

今回ご紹介したように、火山と密接に結びつく島の温泉。神津島は天上山、屋久島は宮之浦岳やモッチョム岳、利尻島は利尻山など、登山愛好家が憧れる名山も多いです。登山で1日大冒険を楽しんだあと、温泉で汗を思いっきり流し身体をほぐして、島のグルメを堪能するのが、筆者イチオシの島旅の過ごし方。ぜひ山・温泉・食で島の魅力を満喫してみてはいかがでしょうか?