
渓谷の島・小豆島へ絶景ハイキング!手軽&冒険心くすぐる名山5選〜立ち寄りスポットもご紹介
オリーブと海が織りなす異国情緒の漂う風景や、天使の散歩道・エンジェルロードなど、随所に美しい自然が根づく「小豆島」。海のイメージが強いかもしれませんが、実は素晴らしい名山の宝庫であることはご存知でしょうか。今回は山岳トラベルライターの筆者が、小豆島が誇る絶景ハイキングスポットをまとめてご紹介します。
小豆島の山のうち最もメジャーな存在が、島の最高峰である「星ヶ城山(ほしがじょうさん、標高816m)です。日本三大渓谷美の一つにも選ばれている景勝地・寒霞渓の頂上にあたります。難易度に合わせてコースを選択できるのが魅力で、星ヶ城園地 駐車場からであれば往復20分、寒霞渓ロープウェイ・山頂駅からであれば往復1時間50分ほどで登ることができます。健脚な方であれば、表12景や裏8景という奇岩奇勝をめぐる登山道とあわせた、周回ロングルートもオススメです。また新たな展望台として注目を集めている瀬戸内国際芸術祭のアート作品の一つ『空の玉(作家:青木野枝)』に立ち寄ることも可能です。360度開けた山頂の目印となっているのは、ミャンマー様式の仏塔であるパゴダ。オリーブが植えられた島の海岸沿いはエーゲ海の趣ですが、島の最高所は東南アジアの世界となっているのは、まさに異国情緒豊かな島の雰囲気を物語っています。頂上のなだらかな地形の先には、寒霞渓の大渓谷と瀬戸内海が織りなす大パノラマが展開!紅葉がピークを迎える11月上旬〜中旬には、まるでパッチワークのように彩られる山肌が見事です。






島の玄関口の一つである土庄港(とのしょうこう)からアクセスしやすく、島の山らしいパノラマビューを満喫できるのが「皇踏山(おうとざん、標高234m)」です。土庄港からバスに乗り、オリーブタウン前で下車すると、10分ほどで世界一狭い海峡としてギネス世界記録に認定された土淵海峡を通過。そして内陸へ15分歩くと、砂防ダムから登山道が始まります。前半は、雑木林のトンネルを進む道が続き、45分も歩けば瀬戸内海を俯瞰できるポイントに到着。なんといっても素晴らしいのは、登山道のハイライトとなる見晴台です。小豆島土庄港から前島エリア、四国まで一望できる180度の絶景が広がります。海からすぐ直立するロケーションのため、まるで瀬戸内海に飛び込むような高度感がたまりません!港を出入りする船の姿も印象深いです。苔むす岩の道を越えて山頂に辿り着くと、瀬戸内ブルーの海と豊島(てしま)が広がり、また違った島のパノラマを楽しめるのも魅力と言えます。体力のある方は、小豆島八十八ヶ所霊場の一つ「奥の院 笠ケ滝」へ縦走するロングルートも面白いですよ。
小豆島南部・三都(みと)半島に位置する「飯神山(いかみやま、標高267m)」。三都半島自体が小豆島の中では比較的マイナーなエリアで、この飯神山の存在も地元民の方以外それほど知られていません。しかし山頂まで往復1時間と手軽で、小豆島らしいダイナミックなパノラマを楽しめる素晴らしい低山です。登山口があるのは、半島の付け根を横断する二面(ふたおもて)ダム。小さな広場のようになった場所から、野趣溢れる登山道が始まります。樹林帯を進むので気づきにくいですが、知らず知らずのうちに標高が上がり、20分も歩くともう海を見渡す高さ。飯神山の7合目から山頂にかけては、幾つも奇岩が顔を出していて、その一つ一つが絶好の展望スポットになっています。土庄港や中山千枚田方面を見渡す山頂のパノラマも見事ですが、内海湾の綺麗な海岸線を一望できる展望岩がオススメスポット!穏やかで爽快な瀬戸内の島らしい時間を楽しみながら休憩しましょう。また下山後にMINORI GELATOに立ち寄って、柑橘系のフレーバーでクールダウンするのも楽しみの一つです。






島全体に渓谷が発達し、岩盤が剥き出しになっている小豆島は、実はロッククライミングの名所として知られているのはご存知でしょうか?その中で、装備を持たずに登山可能な山が小豆島東部に位置する「千羽ヶ嶽(せんばがたけ、標高371m)」です。荒神社の脇から入っていく林道の途中に現れる登山口から入山。しばらくは鬱蒼とした樹林帯を進む道が続きます。岩場のロープワークもあり、まるで天然のアスレチックをこなしているような登山道が面白いです。登山開始から約1時間で、パノラマポイントの「親指平」へと到着します。千羽ヶ嶽の前衛峰・拇指嶽(おやゆびだけ)のダイナミックな山容がしびれる格好良さ!緑が美しい大渓谷と真っ青な瀬戸内海へ引き込まれるパノラマも素晴らしいです。山頂に近づくにつれてクライマーが開拓したバリエーションルート(一般的ではない登山道)が現れますが、慣れていない方は最も登りやすいコース取りをしましょう。頂上は木々に覆われているものの、その先に展開する島の渓谷美は圧巻!下山後には、知る人ぞ知る裏エンジェルロード(希望の道)へ立ち寄れば、玄人向き小豆島モデルコースの完成です。
夏の海や秋の紅葉のイメージが強い小豆島ですが、実は瀬戸内屈指の桜の名所だということはご存知でしょうか? 4月上旬になると、島内の至る所にソメイヨシノが咲き誇り、島を一気にピンクへ染め上げます。そんな小豆島の春を代表する山が、三都(みと)半島の付け根に位置する「城山(しろやま、標高111m)」です。国民宿舎小豆島の裏手にある丘状の山で、散歩感覚で訪れることができます。まず出迎えてくれるのは、桜並木のトンネル。穏やかな島の風を感じつつ、一面ピンクに包まれる風景に心が洗われるようです。中腹で振り返れば、桜の間から池田港を望み、港へ出入りするフェリーの姿がとても絵になります。山頂は城山桜公園展望台ですが、ハイライトと言えるのが映画『二十四の瞳』の舞台としても登場する東屋・桜花亭。一面桜に包まれた空間の一角にあり、桜の優しいピンク色と瀬戸内ブルーの共演は息を呑む美しさです。他にも桜とオリーブが織りなす小豆島オリーブ公園や、知る人ぞ知る桜の絶景スポット・粟地(あわじ)ダムなど桜名所が近くに点在しているので、ぜひ一緒に小豆島の桜巡りを楽しんでみてはいかがでしょうか?





小豆島は、海と山が共存する珍しい離島です。島のあちこちに山があり、たくさんの隠れた登山ルートがあります。奇岩や美しい渓谷、瀬戸内海の青さ、新緑、桜の花、そして各町の雰囲気など、それぞれの場所が組み合わさって、この島独特の山の景色が楽しめます。小豆島に行ったら、ぜひ山に登ってみてください!きっと素晴らしいパノラマに感動し、壮大な山の自然に心惹かれる旅を満喫できると思います。