
一期一会と絶景に感動!
祈りの島・五島列島アイランドホッピング
自転車旅レポート
2019年のGW、いつかは巡ってみたいと思っていた憧れの「五島列島」へ4泊5日の自転車旅を行いました。キリシタンの祈りの歴史と、豊かな自然が織りなす島のフィールドは感動の連続。数々の忘れられない出会いがありました。今回は、そんな充実した五島列島アイランドホッピングの旅の記憶を振り返ってみたいと思います。


まず最初に訪れたのは、五島列島の南部にある「福江島」。長崎港〜福江港をむすぶフェリーに乗って、3時間半前後でアクセスすることができます。美しい海を期待していたのですが、あいにく天気が悪く、初日は観光をすることに。福江城址を歩いたり、五島牛の焼肉や五島うどんをいただきました。天気次第で楽しみ方を変えるのも、自転車旅ならではです。
翌日、雨は降らないという天気だったので、距離100km以上の福江島一周をスタート。まずはじめに島のトレードマークである鬼岳(おにだけ、標高315m)を訪れました。草原に覆われた山からは、島の南部を一望。パッチワークのように広がる田園地帯が、まさに同じ九州の南阿蘇のようだと感動したことを覚えています。下山後、鎧瀬(あぶんぜ)海岸という景勝地を訪れたとき、愛犬・次郎ちゃんと散歩をしていた「スミ子さん」に声をかけてもらい、自宅で朝食を食べさせていただくことに。初対面とは思えない団欒の時間を過ごし、島の人の温かさに触れました。その後、前半はひたすらアップダウンに富んだ福江島南部を駆け抜けました。中でも大瀬崎灯台がみられる大瀬崎園地までのヒルクライムのキツさは一生忘れません。



曇りがちだったので海の色はあまり見られずの前半でしたが、後半に劇的に景色が変わっていきます。日本一美しいとの呼び声も高い「高浜海水浴場」へ到着すると、天気は晴れ、エメラルドグリーンの海が広がっていました。初夏の色づきはじめの山肌との対比が美しかったです。あまりの景色の良さに感動していると、車で立ち寄っていた地元のカップルが声をかけてくださり、記念写真を撮ってもらったり。ここでも人の温かさに触れました。ラストは溶岩台地が独特の景観を見せる三井楽(みいらく)半島へ。夕暮れのタイミングで訪れた「渕ノ元カトリック墓碑群」は、最果ての地で信仰を守り続けたキリシタンの姿を何だか祝福しているようでした。この日は結果的に、150km走る壮大な旅に。お腹ペコペコだったので、民宿で五島の海の幸と白米をたらふくいただき、すぐ布団で横になりました。
3日目は、五島列島の真ん中にある奈留島へ。早朝にお宿を出発し、福江港でフェリーに乗船します。福江島よりもコンパクトな奈留島ですが、地形と海が織りなすノコビ浦の防風堤や奈留千畳敷、エメラルドグリーンの宮の浜海水浴場など、島に根付く雄大な自然を垣間見ました。世界遺産の一つ「江上天主堂」は、メルヘンチックな佇まい。隣には江上集落も残っており、信仰と生活が深く結びついた情緒を感じられます。この日の宿泊は、なんと2日目に出会ったスミ子さんのお宅。「旅の道中に泊まりに来ても良いよ!」という言葉を真に受けて、再びお世話になりました。また奈留島ではボリビア人・日本人夫妻に声をかけていただいたり、島の移動式スーパー・便利Carで買い物をしたときに、巻き寿司をサービスしてもらったりと、ユニークな出会いの連続でした。


4日目は福江島から、中通島(なかどおりじま)へ。上五島から下五島へ入ります。旅の道中、束の間の船旅は旅情を高めてくれますね。中通島の奈良尾港ではコインロッカーに荷物を預けて軽量化をしました。身軽になれば、島のアップダウンに富んだ地形に挑むハードルを下げることができます。奈良尾港の裏にある米山展望台では、若松の瀬戸を通過するフェリーや、周囲の真っ青な海を一望。島旅の旅情を存分に味わいました。その後、中通島の西側のルートを自転車で走ったのですが、ここで五島列島の自然のポテンシャルの高さに感動します。桐集落の周辺には、ターコイズブルーの海へ、周囲の緑が映り込み、宝石のように輝く海が広がっていたのです。そんな景色と調和するのは、漁に出る漁船や人々の暮らしの風景。桐教会が見守る、古き良き、そして美しい五島列島の原風景を垣間見ました。
若松大橋をわたって次なる若松島へ。お昼に立ち寄ったのは民宿「えび屋」さんです。実は私の大学の後輩が子供の頃、若松島に住んだことがあり、よく家族で食べていたのだそう。人と人とのつながりから旅が広がるのは素敵ですね。漁が解禁されたばかりのウニは甘くて濃厚でとても美味しかったです。そのまま自転車を走らせて、漁生浦島(りょうぜがうらしま)→有福島→日島(ひのしま)へアイランドホッピング。五島列島の素晴らしさは、やはり名もなき道にあると思います。道中流れていく風景はひたすらに素晴らしく、最後には見惚れるほど美しい色合いの海が広がっていました。さぁここからが大変!奈良尾港まで戻って、コインロッカーに預けた荷物を回収したら、中通島の北部へ。時間も体力もギリギリでしたが、なんとか矢堅目(やがため)公園から海に沈む夕日を眺めることができました。

5日目の最終日は、世界遺産の一つ「頭ヶ島(かしらがしま)」を訪れることに。五島石を切り出して築き上げた頭ヶ島天主堂も素晴らしかったのですが、隣接するキリシタン墓地の中にピンクの花が咲く風景、そしてエメラルド色の海にも感動しました。そして中通島の中心部へ戻る途中に立ち寄った「ハマンナ」は、今まで訪れた五島列島の浜の中でも一段と美しく、旅の終わりを締めくくるに相応しいスポットでした。最後は五島うどんでお腹を満たし、名残惜しくも有川港から高速船へ乗って長崎へ。自然・歴史・人・食すべてに恵まれた4泊5日の五島列島アイランドホッピング旅を終えることができました。
唯一無二のストーリーと数えきれない出会いが待っている自転車旅。五島列島はその魅力を大いに伝えてくれる最高の旅先です。ぜひあなたも自分の相棒(自転車)に乗って、五島列島を旅してみてはいかがでしょうか?