OTHER 2024.09.11

名古屋からも近い。
三河湾に浮かぶ3つの離島の6つの楽しみ方

都会の名古屋からほど近く、アクセスが便利な三河湾に浮かぶ離島。そこには日間賀島、篠島、佐久島の3つの島々があります。ふと思い立って港を訪れ、船に乗ってアクセスすると、癒しと穏やかさに満ちた島の時間を楽しむことができます。今回はそんな3つの三河湾離島の楽しみ方をご紹介します。

土庄 雄平
(トラベルライター)
商社・メーカー・IT企業と営業職で渡り歩きながら、複業トラベルライターとして活動する。メインテーマは山と自転車。旅の原点となった小豆島、転職のきっかけをくれた久米島など、人生の岐路にはいつも離島との出会いがある。
三河湾に浮かぶ3つの離島〜日間賀島・篠島・佐久島〜

日間賀島、篠島、佐久島は、それぞれアクセスや特徴に違いがあります。まず、日間賀島と篠島は、知多半島の港(師崎港・河和港)から船が出ており、アイランドホッピングが楽しめるため、よく一緒に紹介されます。一方、佐久島は西尾市の一色港からアクセスするため、日間賀島と篠島の近くにありながらも、異なるルートになっています。

3つの島はそれぞれ個性豊かです。まず、日間賀島は漁業が盛んで、特に美味しいタコが獲れることで知られています。島のモチーフとしてタコが使われており、日間賀島西港と東港には巨大なタコのモニュメントが立っています。島内を歩けば、軒下に干されたタコの姿も見られます。最近では、SNS映えするスポットとしても注目されています。その中でも特に人気なのが「恋人のブランコ(ハイジのブランコ)」で、海に向かって漕ぐ絶景のロケーションが魅力です。

次に篠島は、フグをモチーフにした島で、自然と歴史が織りなす独特の雰囲気があります。美しい篠島海水浴場からは渥美半島を一望でき、南部の太一岬には自然の魅力を堪能できる遊歩道が整備されています。閑静でありながらも活気があり、新鮮な海の幸を楽しめるこの島には、三河湾離島の中でもレベルの高い宿が揃っていますので、1泊2日の滞在が特におすすめです。また、カラフルな家々が多く並び、どこかイタリアのブラーノ島を彷彿とさせる風景も篠島の魅力の一つです。

最後に佐久島は、豊かな自然とアートが融合した島として知られています。特に有名なのは島の西側の海岸にある「おひるねハウス」で、美しい風景と正方形のアート作品の斬新な組み合わせが話題となっています。島内のいたるところにアート作品が点在し、訪れる人々に島の時間と空間を楽しむ意図が感じられます。さらに、紫色の神秘的な海岸や、宇宙を思わせるアート作品が配置された北部の海岸など、個性的な海岸が多いことも佐久島の魅力です。

【日間賀島】フォトジェニックな一周ウォーキング

それでは各島ごとの楽しみ方をご紹介します。まず最初に取り上げたいのは、日間賀島での楽しみ方、西港からスタートする島一周ウォーキングです。3つの島の中で唯一、島の外周に舗装路が整備されており、一周約5.5kmを2時間ほどで巡ることができます。北部では、昔ながらの漁船が連なる風景が趣深く、所々に置かれたタコ壺が印象的です。恋人のブランコへ続く海岸沿いの道は、爽快でフォトジェニックな景色が広がります。ブランコを楽しんだ後は、南側を歩いて再び西港へ戻りましょう。島で唯一の信号機、タコの形をした駐在所、風車が立ち並ぶ渥美半島のパノラマなど、見所も豊富にありますよ。またサンライズビーチの白い見張り台もイチオシのフォトスポットです。青空を背景にして、とっておきの写真を撮影してみてください。

【日間賀島】バリエーション豊かな島グルメを味わう

続いて、島歩きと合わせておすすめしたいのが、日間賀島の島グルメです。島の豊富な海の幸をさまざまな方法で味わうことができます。例えば、島しらす屋 • 丸豊cafeの「島しらすソフト」。しらすの塩味と甘いソフトクリームが織りなす独特な味わいを楽しめます。濃厚でありながら爽やかさもあり、他では味わえない美味しさです。また島ならではの海鮮をシンプルに楽しみたいなら、西港すぐの長宝丸がおすすめ。ほたて・ふぐ・あなごなど、新鮮な素材を使った揚げたて天ぷらを味わえます。船の待ち時間にサクッといただけるのもポイントです。また日間賀島といえば、やはり味わいたいのが名物の「タコ」です。島のカジュアルなレストランKITCHEN machaでは、プリプリのタコをシンプルな味付けでいただく絶品アヒージョを楽しめます。

【篠島】パワースポットを感じる太一岬ハイキング

日間賀島の隣、篠島で取り上げたい楽しみ方は、南部の太一岬ハイキングです。篠島海水浴場の南部から、野趣ある海岸沿いの道を4kmほど歩き、2つの展望台を巡ります。三河湾にこれほど秘境らしさを感じる場所があったのか?と感動の連続が待つハイキングコースです。海とスレスレの道をいく前半は野趣があり、先端の太一岬に到着すると、伊勢湾から鳥羽や神島、伊良湖まで望むことができます。古来より、伊勢神宮を望む地であり、伊勢神宮の遷宮で譲り受けた古材を使用した鳥居が立てられているパワースポットです。岬の西側には、万葉集で詠われた場所があり、東海の松島と呼ばれる風景が広がります。また、名古屋城の築城に使おうとしたものの、あまりに大きすぎて船に積めなかったという逸話が残る清正の枕石という場所もあり、コンパクトなコースの中にさまざまな島の歴史が詰まっています。

【篠島】贅沢な海鮮料理と非日常を楽しむ島ステイ

篠島を訪れるなら、島の味覚を味わい、贅沢な時間を過ごせる特別なお宿に泊まってみるのがおすすめです。中でも私のイチオシのお宿が「あなごの宿 三船亭」。あなご漁師さんが営むお宿では、あなごを味わい尽くすフルコースを味わえます。穴子のお刺身や一本寿司、柳川風など、今まで味わったことのない穴子の美味しさを堪能することができますよ。さらに、お料理だけでなく、常滑焼の浴槽を備えた3つの貸切風呂もあり、お宿の施設も充実しています。他の日間賀島や佐久島と比べて、篠島のお宿は古き良き離島の風情と過ごしやすくお洒落な雰囲気が調和している宿が多いです。朝夕のビーチを歩いたり、伊勢神宮とつながりのある太一岬や神明神社を訪れてみたり、何気ない島の風景を撮影したり、のんびりとした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか?

【佐久島】空間まで含めた隠れ家的アートめぐり

佐久島を訪れる目的といっても過言ではないのが、島のいたるところに設置されているアートです。実は佐久島は、日本で初めてアートによる地域活性化が始まった場所としても知られています。多くの作品は、展示空間まで含めたインスタレーション作品で構成されています。人気のおひるねハウス以外にも、佐久島の秘密基地/アポロや北のリボンなど、隠れ家のようなアート作品が多数点在しています。さらに素晴らしいのは、アートによる島おこしが今も進化し続けていることです。佐久島の庭には新たに波をモチーフにしたベンチが設置されたり、島内外に点在する常設展示のアート作品を巡るスタンプラリー「アート・ピクニック」が開催されたりと、常に新しい魅力が加わっています。

【佐久島】絶景の宝庫!個性豊かな海岸巡り

アートと並んで島の見どころと言えるのが、個性的な海岸です。例えば、東部に位置する「新谷海岸」は、ふかふかの砂浜と海食崖が続き、鮮やかで美しい海が広がっています。ここは愛知県とは思えないほど秘境感にあふれた風景が楽しめます。そして、この浜辺の砂をよく見ると、ほんのり紫色に染まっていることに気づくはず。これはムール貝やウチムラサキ(大あさり)のかけらが砂に混じっているためです。全国的にも珍しい、ほんのり紫色を帯びた浜辺はロマンチックな雰囲気を醸し出しています。また港から一番離れた高千谷(たかちや)海岸には、ミクロな宇宙を表現するアート作品・星を想う場所が展示されています。カラフルなシーガラスが散りばめられ、バックミラーに映り込む海の風景が見事。色々なものが漂着する島の海岸が、まさに宇宙のように感じられる作品です。

個性豊かな島旅を楽しめる愛知の三河湾離島

あまり島のイメージが強くない愛知県ですが、実は三河湾には個性と魅力にあふれる3つの島が浮かんでいます。さらに、これらの島々は名古屋市や豊田市といった市街地から近く、気軽に訪れることができるのも魅力の一つです。一度訪れれば、その魅力に惹かれて毎年一度は三河湾の島々を旅しているという旅人も珍しくない、そんな魅力の詰まった島々です。まずはぜひ一度、気軽に訪れてみてください。