一度は走りたい海上の一本道へ。角島大橋と島内を巡るサイクリング体験記
エメラルドブルーの海をまっすぐに貫く「角島大橋」。サイクリスト憧れの絶景ルートとして知られています。今回はアクセスや楽しみ方を整理しつつ、その魅力をご紹介。輪行を使えば気軽に訪れることができ、橋の上では海と風に包まれる爽快なライドが待っています。島内に広がる開放的な景色も見どころです。
山陰エリアに位置する角島は、主要都市からやや距離があるのがネック。そこで拠点としておすすめなのが門司(もじ)や小倉(こくら)です。新幹線やJR在来線が利用でき、宿泊施設も充実しているため、前泊して翌朝の移動に備えるとスムーズです。
翌日は始発のJR山陰本線に乗り、特牛や阿川まで輪行で向かうと良いでしょう。輪行とは、自転車の前輪または前後輪を外して専用袋に収納し、公共交通機関で運ぶ方法のこと。これを活用することで、アクセスのハードルは格段に下がります。なお、小倉・門司から特牛までは電車でおよそ2時間弱です。
筆者は特牛駅でおりて、角島大橋まで30分ほど自転車で走って向かいました。長い移動の先に待つのは、その苦労を軽く上回る絶景。エメラルドブルーの海へ吸い込まれるように一直線に伸びる角島大橋は、青と白のコントラストが際立ち、打ち寄せる波がどこかリゾートのような空気を醸し出します。橋の先に広がる緑豊かな角島と、日本海のダイナミックな景観も印象的です。
全景を美しく収めるなら、到着直前に右折して上がる高台へ。愛車とともに風景を切り取れるこの場所は、サイクリストにとって特別な一枚を残せる絶好のビューポイントです。いよいよ橋へ踏み出せば、一直線に伸びる路面が、まるで海の中へと導いてくれるかのよう。なお、角島大橋は2003年に土木学会デザイン賞を受賞しており、その造形美も高く評価されています。走り出したら、豊北町と角島の間に広がる海士ヶ瀬は、浅瀬ならではの美しいグラデーションが印象的。日本海とは思えないほど透き通った海が広がり、橋の上からでもその透明度の高さがよく分かります。あとは、潮風を感じながら橋を渡るだけ。橋の途中には路側帯がないため停車はできませんが、少しスピードを落として走れば、海と空に包まれるような爽快感を存分に味わえます。
橋を渡りきると、いよいよ角島へ。島自体は大きくありませんが、走り出すと景色がゆるやかに変わっていき、その心地よさに、ついもう少し先までペダルを回したくなります。島の中央を通る道に出ると、ふっと視界がひらける瞬間も気持ちいいです。信号はほとんどなく、車通りも多くないので、無理せず自分のペースで走れるのも魅力。潮の匂いを含んだ風がすっと抜けていき、ほどよく脚に負荷を感じながら進む時間が、心地よく感じられます。
まずは北東端にある牧崎風の公園へ。途中で林道に入ると、さっきまでの開けた雰囲気とは一転して、静かな森の中を走るような感覚に変わります。しばらく進んで視界が開けると、放牧された牛と、その向こうに広がる日本海。コントラストがはっきりしていて、思わず足を止めたくなる景色です。
そこから島を横断して、角島灯台へ。ゆるやかな道を風に押されるように進んでいくと、遠くに見えていた白い灯台が少しずつ輪郭をはっきりさせていきます。気づけば視界の中に自然と収まり、静かに存在感を放つ姿に、つい足を止めてしまいます。最果ての地に来たという旅情も同時に感じられるでしょう。
時間があれば、その先の夢ヶ崎まで。木々がほとんど生えない岬の先に、日本海の大海原が一気に広がる、開放感抜群の絶景スポットです。外洋に面しながらも遠浅の地形が続いており、さまざまな方向から波が重なり合う独特の景観も見どころ。寄せては返す波のリズムと、どこまでも続く水平線が織りなす風景は、思わず見入ってしまう美しさです。
角島を後にし、角島大橋の入口から約1km進むと、「角島」の名を掲げた店舗が立ち並ぶエリアが現れます。その中でも立ち寄りたいのが、角島ジェラート ポポロ。地元・豊北町の素材に加え、移転前に店を構えていた東北の食材も取り入れた、個性豊かなジェラートが楽しめます。
天然素材の風味を生かしたやさしい甘さはもちろん、思わず写真を撮りたくなる見た目も人気の理由。オープン以来、角島を代表するスイーツとして親しまれています。サイクリングで火照った体をクールダウンするのにもぴったりなので、橋を渡ったあとにぜひ立ち寄ってみてください。