広がる旅の可能性!
輪行旅をしたい離島への
航路まとめ
自転車旅には欠かせない輪行。自転車を専用の袋に入れて、公共交通機関で運ぶ行為です。島旅に輪行を導入すれば、非日常で旅情たっぷりな旅を味わえます。今回は輪行旅の魅力をお伝えし、筆者おすすめの離島航路をご紹介します。
例えば、那覇行きの飛行機を予約して沖縄をツーリングしたり、金曜日の仕事帰りにそのまま夜行便に乗って伊豆大島へアクセスするなど。飛躍的に旅の可能性を広げてくれる輪行。休日が限られる社会人であれば、使わない手はない自転車旅のスタイルです。
弾丸ツーリングはもちろんのこと、長期の自転車旅を行う際には、ほぼ必ずと言っても良いほど、輪行を活用します。筆者もこれまで、以下の旅先へ輪行を使って自転車旅をしてきました。
しまなみ海道(愛媛県・広島県)、小豆島(香川県)、五島列島(長崎県)屋久島(鹿児島県)、久米島(沖縄県)、沖縄本島など。
いかに自転車旅×輪行に可能性があるかということを、感じていただけるかと思います。
「自転車を専用の袋へ入れるのは、大変じゃないの?」最初は筆者もそう思っていました。
大学時代、香川県小豆島を初めて訪れた時、輪行を使わずに自転車旅をしたのですが、「なんで輪行を導入しなかったのか?」今となっては、あの頃は無知だったなぁと振り返っています。
なぜなら5分〜10分の作業時間と電車の運賃だけで、姫路から京都の約130kmを体力も時間も使わず移動できるからです。しかも、ほとんどのケースで、自転車の持ち込み料金はかかりません。
輪行には、前輪を外すタイプと、前後輪を外すタイプの二つがあります。少しコツがいるのは、後輪を外すところだけ。前輪を外すタイプであれば、難しい作業が発生することはありません。最初から何のハードルもなく、輪行を導入できたのです。
輪行を活用して全国各地の離島を旅する中で、利便性だけではない輪行の良さにも気づきました。それは、旅の旅情を高めてくれるという点と、オリジナルのルートを引けるという点です。
青空のもと、海の香りや潮風を感じつつ、船旅にふけるひととき。船上でゆったりと過ごしながら、これからの旅へ思いを馳せる時間は、旅のたまらないスパイスだと感じています。常にめまぐるしく移動をする自転車旅だからこそ、船で一呼吸置ける束の間が良いのです。
島国大国である日本。特に瀬戸内エリアには無数の島があり、たくさんの航路が存在します。輪行を駆使すれば、普段あまり利用しない航路も使ってみたくなり、結果的に自分だけのオリジナル旅ルートが完成することも。それを繰り返しているうちに、アイランドホッピングに行き着くこともあります。
それでは最後に、筆者がオススメする輪行したい離島の航路をご紹介します。王道の航路から、非日常感が高まる夜行便、島から島をつなぐ穴場ルートなど様々です。
018年7月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として、世界遺産に登録された五島列島。奈良尾〜福江は、福江島と中通島を結ぶ、いわゆる上五島と下五島を行き来する玄関口となっている航路です。
この航路の醍醐味は、船上から見られる美しい港町や海の景色。特に福江港周辺が絶景です。島のシンボル「鬼岳(おんだけ)」を中心に、圧倒的なスケール且つ、たおやかに広がる島の景観はとても見ごたえがあります。
またこの航路は、地元民の生活の足という側面があります。観光客が地元民に溶け込めるという意味でも、離島らしい旅情を満喫できる航路です。
学生時代から何度も筆者が愛用している航路です。週末の仕事終わりに自宅へ自転車を取りに戻るやいなや、すぐさま神戸港へアクセス。夜行便で輪行しては、よく休日に小豆島を旅していました。
ポイントは今お伝えした通り、神戸港から夜行便であるという点。大阪市街から電車輪行をすれば簡単にアクセスでき、移動時間も効率的に使えます。弾丸旅にはもってこいです。
ただ利便性だけでなく、非日常の時間や風景が楽しめるという魅力もあります。例えば明石海峡大橋のライトアップや、船での日の出の時間。旅の始まりから感動すること間違いなしの時間が待っています。
ストイックに自転車旅がしたい方へのオススメ航路が、博多〜芦辺(壱岐島)です。博多から対馬へ朝に着くように渡航するフェリーの中継地のため、2:15という早朝に壱岐島に到着します。
さぁ到着してからが問題です!一年のうち最も日が長いシーズンでも、確実に真っ暗な中の到着になります。しかし、それゆえに非日常感溢れる旅が楽しめます。
芦辺港フェリーターミナルで夜を明かすもよし、暗いうちから自転車で島を走るもよし、海辺で日の出を待つもよし。観光にはあまり向いていないと言われるこの深夜便ですが、筆者からすれば自分の殻を破る自転車旅ができる魅力的な航路と言えます。
しまなみ海道をはじめとするサイクリング王国・瀬戸内を走る際に、ぜひ使ってみたいのが島と島を結ぶ穴場な航路。宗方〜岡村島は、しまなみ海道から安芸灘とびしま海道という二つの海道をつなぐ航路です。
一般的には、尾道から今治へ走り抜けるルートが人気ですが、1泊増やして少しこの航路で寄り道するだけで、旅がより唯一無二な内容へ変わっていきます。
そして強く印象に残っているのが、愛媛県名産の柑橘・紅まどんなを待合室で購入した思い出。船上で潮風を感じながらいただく、ゼリー質の高級みかんの味は格別でした。こうした地元ならではの名産品との出会いも、船を利用するからこそですね。
長崎市街からほど近い場所にも、島と島をつなぐ穴場な航路が存在します。それが伊王島〜高島です。伊王島へは伊王島大橋を使って入ることができ、そこから高島へと船でアクセスします。
世界遺産にも登録されている「明治日本の産業革命遺産」の面影を垣間見ながら、船旅を楽しめるのは長崎周辺の航路の醍醐味でしょう。
往路か復路のどちらかを長崎まで船で輪行すれば、三菱長崎造船所のジャイアント・カンチレバークレーンも眺めることが可能です。炭鉱と造船の歴史を紐解く離島サイクリング。なんだか日本近代化のロマンを味わえる気がします。
いかがでしたでしょうか。今回は離島サイクリングの中でも、移動の意味合いの強い船旅へ焦点をあて、輪行の魅力とともにオススメの航路をご紹介しました。
表情豊かな離島で溢れている日本。島の数だけ航路があり、一つ一つ異なる旅情を醸し出します。なかなか使うことのない航路でも、自転車旅のルートの一つという視点で見れば、足を運ぶ理由になるはず。
旅の可能性を広げてくれるという意味でも、ぜひ輪行を活用しつつ船上での充実した時間を満喫してください。