初夏の風物詩カキツバタが咲く
江戸川乱歩が愛した島

SHIMA INFORMATION

近畿エリア/ 三重県

坂手島 さかてじま

面積
約0.51㎢
人口
約286人
観光スポット
あやめ池、砲台跡、船着場のタブの木
特産
ワカメ、海産物
アクセス
鳥羽駅から鳥羽マリンターミナルへ徒歩で約7分、市営定期船に乗り約10分
URL

坂手島 sakatejima

本土から1番近い有人島で
漁村特有の階段状の家々が密集

鳥羽港の東側、約0.6㎞のところに位置し本島から最も近い離島が坂手島です。東西約2㎞、南北に約1㎞、周囲は3.8㎞と三重県にある有人離島の中でも1番小さい島ではあるものの、本土からは1番近く定期便の運行も多いため、本土へ通勤している島民もたくさんいます。「大同本記」の中には「佐加太伎島」と記載されていますが、「内宮儀式帳」には「酒滝島」と記されており、「サカタキ」という言葉が転じサカテになったといわれています。島民は島の南側と西側に密集しているのが特徴で、南側の集落は階段状に家が軒を連ねています。この形は漁村特有のものとされていて、坂手島のみどころの1つとなっています。畑も同じように段々畑となっており、狭い土地を最大限に有効活用しています。宿泊施設は民宿とペンションが2軒あります。また、坂手島で採れるワカメは坂手布(さかてめ)と呼ばれるくらい有名な特産品です。なかでもワカメを醤油や味噌で味を付けた味付けワカメはぜひ食べておきたいところ。一度乾燥させてから水で戻し味を付けて再度乾燥しているので、そのまま召し上がって頂くことができます。かの有名な江戸川乱歩も、坂手島から送られてくるワカメを大変気に入っていたといわれています。

古く昔は鳥羽藩の配下にあり
多数の砲台が構築された場所

昔は坂手村として鳥羽藩の配下にあった坂手島ですが、居住する面積が狭いこともあり、島人の半数以上が餓死をしてしまうという大惨事に見舞われています。これを経験したことにより、島民は耕地を広げるために島の頂上付近まで開拓し、段々畑を築きました。また、日本に異国船の来航が相次いだことを受けて、鳥羽城を守るため、本土から近い坂手島の丸山崎と田ノ崎の2か所に砲台が建設されていました。丸山崎の砲台跡は塩害を受け崩壊していますが、現残する田ノ崎の坂手村砲台跡は、1941年に三重県指定史跡に指定されています。砲台跡は坂手島の観光スポットとなっていますが、戦後間もなくは砲台跡として維持されていたものの、観光客を誘致するため砲台跡にホテルが建築されてしまったことで滅失してしまいました。また、坂手島には権八伝説という伝説が残されており、坂手島にあった鼠畑の番をしていた権八は退屈のあまり藁人形に番をさせ遊び惚けるようになります。それが藩主に知られることになり、藩主は驚かすつもりで鉄砲を撃ちました。しかしながら、その日はたまたま番をしていた権八本人に弾が当たり、権八は命を落としてしまったのです。これ以後、鼠畑には何を植えても育たなくなったといわれています。

昼間はあやめ池のカキツバタ
夜は鳥羽市街を見渡す夜景を堪能

坂手島といえば、1番有名なのがあやめ池に咲くカキツバタです。旧坂手小学校の北500mほどのところに、伏流水が湧出している湿地があります。この湿地は「あやめ池」と呼ばれており、鳥羽市の天然記念物にも指定されているカキツバタが、5月中旬〜6月にかけて咲き誇ります。このあやめ池に咲くカキツバタは色鮮やかで、株を分けほかの地へ移植しても、同じように色鮮やかなカキツバタが咲かないといわれています。このような貴重なカキツバタを守るため、現在も町民の手で保護活動が行われており、初春にはカキツバタを見るために観光客が訪れています。夜は対岸の市街地の明かりがきれいに見え、夜景スポットとしても人気。本土から近いこともあり、夜景を見るために訪れる観光客もいます。幻想的で時を忘れてしまうほど美しい夜景で癒されます。また、江戸川乱歩の妻である隆の生家は坂手島の「村万商店」で、2008年ごろまでは営業していました。ピンク色の特徴的な壁、近くには江戸川乱歩が気に入っていたとされている蔵もあります。

気軽に釣りを楽しんだり
お祭りも1年を通して楽しめる

本土から約10分で行くことができ、定期便も隣島の中で最も多いことから、釣りを楽しむために来る方もたくさんいます。サバやメジナ、クロダイや真鯛が釣れることも珍しくなく、初心者の方でも釣りを楽しむことができるように魚釣りツアーも開催されています。面積の小さな島ではありますが、島民の結束力は強く、お祭りなどのイベントも少なくありません。掛魚や赤飯などを備えて燃やし、大漁と海上安全、家内息災を願う祭りの「子日祭」や、アマチャ・オシャカサンと呼ばれるお祭りは通称、花祭りや降誕会とも言われ、甘茶が配られます。なかでも1番大きなお祭りが「棒ねり(2021年9月現在、休止中)」。7月に開催されており、江戸時代に悪疫を鎮めようと始められたと伝えられています。大人の背丈ほどある棒に5色の紙を飾り、この飾り棒をまわしながら町内を回ります。通常、お祭りといえば山車など車輪がついたものを使うことが多いのですが、坂手島の特徴でもある狭い路地を通るため、山車に見立てた棒を回す独特なお祭りとなりました。棒ねりには神勇音頭という歌があり、この歌は鳥羽市無形民俗文化財に指定されています。島の男たちが四股を踏んで町中を練り歩く姿はとても見応えがあり、勇敢な姿は圧巻です。

情報提供 / 鳥羽市役所観光課

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