かつてのイワシが舞う島に
巨大サンゴが群落する島

SHIMA INFORMATION

九州・沖縄エリア/ 宮崎県

島野浦島 しまのうらしま

面積
2.84㎢
人口
671人
観光スポット
オオスリバチサンゴの群生、鼻熊、遠見場山
特産
タイ、カンパチ、干物、あげみ
アクセス
宮崎空港から電車で90分。延岡駅からバスで30分。①浦城港から高速艇(10便/平日)で10分。②浦城港からフェリー(6便/平日)で20分
URL
https://www.city.nobeoka.miyazaki.jp/soshiki/4/

島野浦島 shimanorashima

イワシの舞う島で語り継がれる
メキシコ女王の黄金伝説

島野浦島は、延岡市の中心部から北東へ約12kmの日向灘に位置する宮崎県最大の有人離島。かつては伊予水軍が付近で活躍し、江戸時代には船の風待ち・潮待ちができる港として利用されていました。荒れて航海ができない時はこの島に停泊していたというほど穏やかな海のため、昔から絶好の漁場と知られています。かつては「イワシの舞う島」と呼ばれ、イワシのまき網漁が盛んでした。現在はタイやカンパチの養殖を行っており、鯛の刺身を醤油・酒・みりんでとった汁につけてご飯にかける「鯛茶漬け(日向めし)」や、魚のすり身を天ぷらにした「あげみ」、「たたっこ」と呼ばれるなめろうなどは島の郷土料理です。また島野浦島では、「メキシコ女王の黄金伝説」が残されています。江戸時代の終わり頃に、一隻のカツオ漁船が島への帰港中、波間に漂う大きな木箱のようなものを発見。船中の漁師12名がその木箱を引き上げ、手斧で開けてみると、白骨化した人間の顔にフサフサの金髪と銀色の首飾り、そしてキラキラ光る宝石や黄金の冠などが入っていたといいます。タタリをおそれた漁師たちは、「他言は無用」として人知れず、島の南にある沖の小島に埋め、秘密にしました。月日が経つうちにこの秘密は噂となり、島の外からも木箱探しに訪れ、戦時中には、警察や軍隊も島へ探しに来ることもあったのだそうです。ある調査で訪れた大学教授が「メキシコ内乱の女王の棺では?」と話したことから、真相は謎のまま今も語り継がれる伝説となりました。女王が埋葬されたとされる沖の小島には十字架が、島の高速船発着所近くには伝説にちなんでメキシコ女王の像が建てられています。

世界規模の巨大サンゴが群落する海
華やかなツツジが咲き誇る山

日豊海岸国定公園の一部に指定されている島の周囲には、黒潮に洗らわれる小島が数多く点在することから、県内外からたくさんの磯釣りファンが足を運びます。島野浦島周辺の海中では、世界最大の群落規模を誇る「オオスリバチサンゴ」をはじめ、数百種類のテーブルサンゴの群生が見られることで有名。直径3mを超える巨体もあり、大きさと個体数が”日本一”として登録されています。通常のオオスリバチサンゴは皿を並べたように横へ大きく成長しますが、この島浦のオオスリバチサンゴ群は、バラの花びらのような特質な形状で成長していることからも、他にない貴重な存在です。宮崎県の日照時間や水温など、さまざまな要因で形成されたと推測されています。オオスリバチサンゴは1年に1cmほどしか大きくならず、島浦の大群生は300年以上の年月を掛けて成長したと言われています。美しい珊瑚礁は一級のダイビングスポットで、浅瀬にも生息しているため、素潜りで鑑賞することも可能。南海岸にある「鼻熊(鼻隈)」は、太平洋の荒波によって自然にできたダイナミックな海蝕トンネルです。熊の鼻穴に似ていることから鼻熊と呼ばれている人気スポット。波が穏やかな日にはクルージングで海蝕トンネルをくぐりぬけることができ、自然の造形美を体感することができます。島の中央に位置し、「しま山100選」に選ばれた「遠見場山(186m)」には、山頂に灯台があり、4月上下旬から下旬にかけて、四国三十三観音様めぐりの山道沿いに植えられた約千本のミツバツツジが満開。ミツバツツジが造る花トンネルや新緑、碧い海が織り成す風景は華やかで、訪れる人の目を楽しませています。

島の若衆がぶつかりあうけんか神輿
若者たちが立ち上がる島おこし

漁船による海上パレードや喧嘩神輿などが行われる「島野浦神社秋季大祭」は、毎年11月の月夜にあわせて開催される島最大のイベントであり、「島の宝100選」に選ばれました。出店が軒を連ねたりと昔ながらの賑わいをみせ、遠方からも観光客が多数訪れます。神楽が奉納される頃、まき網船が集魚灯を灯す漁船パレードも行われ海の文化が根づく祭。特に盛り上がるのは、「けんか神輿」という御神体を乗せた暴れ神輿と化粧をした若衆が担ぐ太鼓台がぶつかり合い島内を巡る勇壮な行事です。しかし、人手、特に担ぎ手となる若者が少なくなっているため、けんか神輿は2019年以降行われていません。人口が減ることで祭りができなくなるだけではなく、島の基幹産業である漁業が衰退し、島全体の機能も失われていく懸念があります。そのような現状を解決するため、島野浦島に住む若手漁業者たちはさまざまな取り組みを行い、島に賑わいを取り戻そうと奮闘。2019年には、島全体をキャンパスに見立てた“授業”を開催し、島の関係人口の創出を目指すプロジェクト「延岡しまん大学」が開校しました。定期的に魚さばき体験、郷土料理づくり体験、漁業体験、海上テントサウナ等の企画を実施しています。また、2024年5月に島内の若手漁師、地域おこし協力隊などが「しまうら未来開発プロジェクト」を立ち上げ、島内初の観光案内所を設立すべく、島の玄関口にある建物をリノベーションしており、今後も島一周クルージング、島内散策、宿泊など島を訪れる人々に向けた、島おこしは続いていきます。

情報提供/延岡市 企画部 地域・離島・交通政策課

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