井戸にまつわる歴史が多い
清らかな水の島
SHIMA INFORMATION

九州・沖縄エリア/ 長崎県
樺島 かばしま
- 面積
- 2.22㎢
- 人口
- 422人
- 観光スポット
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樺島大橋、白戸の穴、樺島灯台、オオウナギ生息地
- 特産
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カラスミ(インターネットで販売:季節限定)、干物
- アクセス
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大村空港から長崎駅前までリムジンバスで55分。①長崎駅前から野母崎樺島町までレンタカーで50分。②長崎駅前から野母崎樺島町まで路線バスで約1時間10分。乗り換えを要する時間帯は片道約1時間30分~1時間50分
樺島 kabashima
中継地として給水ポイントだった
風待ち、潮待ちの港町
樺島は、野母崎樺島町と呼ばれる長崎市の最南端に位置する周囲約8kmの小さな島。突端の野母崎から脇岬へ向って樺島大橋を渡り、途中で無人島の中之島を経由して大漁橋を渡ると樺島に上陸できます。元々は離島で航路に頼らざるを得なかった島へのアクセスでしたが、1986年1月に完成した「樺島大橋」により陸続きになったことで、九州本土から気軽に車で行ける離島になりました。長崎駅からおよそ30kmにあり、車で1時間ほどで行くことができます。四方を海に囲まれた樺島の主要な産業は水産業。イワシ、アジなどの魚群を捕獲するあぐり網・敷き網漁業や、いりこ製造等の水産加工業が地域経済を支えています。樺島漁港は、鎖国時代には重要な港として野母崎の野母・高浜と並んで天領(江戸幕府の直轄領)とされていました。現在の樺島漁港は一本釣や巻網漁の漁船が並ぶ静かな漁港ですが、江戸時代は海が荒れて出港できない場合の中継地である風待ち、潮待ちの港として賑わっていたそうです。深い入り江は波が静かで、さらに飲料水が豊富なことから船が身を寄せるには最適な港。島内の路地を歩くと至る所に井戸の跡を見かけますが、出港を待っている間に次の航海のための水を汲む給水スポットとして多く作られました。
古くから献上物だったカラスミ
失われかけた伝統の作り方が復活
樺島では、ボラ敷網漁業が約300年以上前から行われていました。ボラの卵巣を塩漬けし、塩抜きをした後に、天日干しで乾燥させたものが日本三大珍味のカラスミ。中国から伝わってきた当初はサワラの卵巣で作られていましたが、野母崎付近の海域で豊富に漁獲されるボラの卵で同じようなものが出来ないかと作ったのが最初だそうです。ボラは11月から12月にかけての短期間にしか獲れない魚ですが、全盛期はその期間だけ働けば残りの1年は余裕を持てるほど稼ぐことができたといわれています。カラスミは当初樺島内でしか広まっておらず、価格もそれほど高価でありませんでした。長崎市内から出稼ぎに来ていた労働者が市内に持ち帰ったところ評判が高まり、冷凍技術の向上も相まって全国に広がっていったことにより、現在では言わずと知れた高級品です。そんなカラスミが特産品として有名だった樺島でしたが、原因は不明ですが、近年漁獲量が大幅に低下し、漁業者や生産者が減少したことで廃業にならざるを得ない状況になりました。子どもの頃からカラスミが当たり前の存在であった製造会社の娘が島に戻り後継者として樺島で伝統的なカラスミ作りを復活。洋菓子のようなパッケージに変更し、食べやすいサイズにして販売したことで、今まで食べたことがなかった若い世代にも長崎の食文化の魅力が伝わり樺島の特産品として再び脚光を浴びています。
大正時代から代々飼育されていた
井戸に住みつくオオウナギ
樺島は、熱帯性の魚であるオオウナギの北限生息地として、学術上価値のある島です。大正12年に漁港から程近い場所にある井戸が国の天然記念物に指定され、代々オオウナギが飼育されてきました。井戸の直径は約1.5mですが、オオウナギは体長が最大1.8m、体重17kg、胴回り50cm程度まで成長するほど大きくなるそうです。長い歴史の中でオオウナギが井戸の中で住みついた理由は様々。近くの水路を遡上した幼魚が、井戸を囲う石の隙間から入り込んで成長したり、地域の人に保護されたオオウナギが井戸に放されたりと、はっきりはしていませんが、140年以上前からこの地で発見されていました。近年埋立てが進むまでは、川に稚魚がたくさんいたそうです。現在は自然の状態でオオウナギを見かけることはほとんどなく、ダムなどで捕獲されたものを保護しています。2011年までは井戸にオオウナギが住んでおり、8代目「うな太郎」として30年間、島民に大切に保護されていた島の主。今はうな太郎のお墓がつくられ、もう井戸にオオウナギは住んでいませんが、井戸のすぐ近くには、水槽が設置されており、2匹のオオウナギを見ることができます。
長崎の「青の洞窟」が見られる
クルージングは人気アクティビティ
樺島は、数多くの魚種が狙える好釣場として有名。16箇所ある瀬に釣り人を送る「瀬渡し」を行っている船がいくつかあり、兼業で島原や天草等を眺めることができる「樺島クルージング」を行なっている船もあります。1番の見どころは、かつて海賊が住んでいたと言われる「白戸の穴」という6つの洞窟群。その中で1番大きい洞窟が、イタリアの「青の洞窟」のような美しい光景が見られるということで人気の高いスポットです。天候や条件が合えば、光が反射して透き通るエメラルドグリーンの海を見ることができます。毎年10月下旬から4月上旬ごろまでは「カツオドリ」が飛来。大群で海の中に飛び込んで魚をとる様子や、200羽ほどのカツオドリが岩場に群れる姿も運が良ければ見ることができ、冬場にはカツオドリ目的でクルージングの予約をする人も多いです。樺島の絶景スポットとして有名な場所は、昭和7年から点灯している高さ15.2mの「樺島灯台」がある樺島灯台公園(公園の整備は昭和63年)。樺島灯台は、現在も天草灘を航行する船舶の安全を守っており、樺島灯台に隣接していた旧灯台吏員退息所は、平成5年には樺島灯台資料館として整備され、当時の様子を知ることが出来ます。また、樺島灯台公園は、野鳥の観察地としても人気。展望台からは天草灘や五島灘の美しい景色を一望でき、夕刻には、雄大な五島灘に沈む夕陽を見ることも出来る絶好の場所です。
情報提供/長崎市野母崎地域センター