日本最古の大型哺乳類の頭骨が
発見された島
SHIMA INFORMATION
九州・沖縄エリア/ 熊本県
牧島 まきしま
- 面積
- 約5.59㎢
- 人口
- 約294人(2021年4月1日時点)
- 観光スポット
- アンモナイト館、アコウの木、ニガキ化石公園
- 特産
- 魚類、デコポンなど
- アクセス
-
①熊本駅から車で約2時間、棚底港へ。棚底港から定期船で約30分、海上タクシーで約15分
②熊本駅から新幹線で約30分、新水俣駅下車。タクシーで水俣港へ。水俣港から海上タクシーで約35分
牧島 makishima
雲仙天草国立公園に指定され
変化に富んだリアス式海岸も美しい
牧島は天草市に属し、御所浦島の北西0.5km、天草上島の南4kmの海上に浮かぶ有人離島です。ゆりかごの海とも表現されるほど穏やかな内海である不知火海に位置しており、御所浦島とは452mの中瀬戸橋によって結ばれています。橋を渡って牧島に入ると牧本地区となり、海沿いに家が点在。その家々に寄り添うように葉を広げているのは、防風防潮のために植えられた「アコウの木」です。天草市の天然記念物第1号に指定された老木は樹齢300年ともいわれています。島の海岸線は変化に富んだリアス式となっており、静かな美しい入り江がいくつもあります。また島は雲仙天草国立公園に指定されており、中生代白亜紀と新生代古代三紀の堆積岩から成る島で、非常に古い地層を持っているのも特徴。白亜紀の地層からは、貝やアンモナイトなどの化石が見つかっています。2004年12月には、約5000万年前の弥勒(みろく)層群という地層から日本最古の大型哺乳類であるコリフォドンの下顎などの化石が見つかり、話題になりました。気候は温暖で、デコポンや甘夏みかんなどの柑橘類のほか、吾智網や一本釣りなどの漁船漁業で獲れる魚類も特産品となっています。島内にはタクシーはありませんが、乗合バスがあります。自転車や車で島内を巡りたい方は、中瀬戸橋でつながった御所浦島でレンタルが可能です。宿泊施設は民宿1軒のみなので、事前予約は必須となります。
島名は天草5人衆の栖本氏の牧場にちなむ
源平落人伝説にまつわる地名も多数
戦国時代に天草地方を支配していた、天草氏・志岐氏・上津浦氏・栖本氏・大矢野氏という5豪族。この5豪族は「天草5人衆」と呼ばれており、その中の栖本氏の牧場が牧島にあったことから牧島という島名が付いたと伝えられています。島内の字名には「牧向(まきむかえ)」と「牧本(まきもと)」があり、この「牧」にも馬や牛などを放し飼いにしていた場所という意味があるといわれています。ほかにも字名として「眞米(まごめ)」という地域がありますが、こちらは馬を囲って飼育していた場所である「馬籠(まごめ)」に関連して付けられた地名だと伝えられています。牧島には源平落人伝説にまつわる数多くの地名が残っているのも特徴。今もなお「義経の船隠し」や「頼朝越え」などが語り継がれています。牧島西端のマネキ崎と南端の串ヶ崎の間にある、奥へ入り組んだ湾が長浦。その最も奥まったところにある南側の入り江が「船かくし」と呼ばれている場所です。その由来には諸説ありますが、1つの説として、平家の落人が源氏の追手から身を隠しながら住んでいたためと伝えられています。また逆の説として、平家の落人を追ってきた源義経が、落人に自分が渡ってきたことを悟られないように船を隠したところであるためともいわれています。いずれにしても、この場所が船をとどめておくのに適した波の静かな入り江であることは確かです。
静かな入り江で櫓漕ぎの伝馬船体験
アンモナイト館で巨大な化石を観察
牧島では、かつて沖合の船に荷物を運んだり、交通手段として利用していた、櫓や櫂などで操船する小型の和船「伝馬船」体験が楽しめます。伝馬船に乗って櫓漕ぎを体験しながら、舟かくしと呼ばれる静かな入り江を遊覧。豊かな緑と透き通った海が広がる美しい景観の中で、牧島の原風景に触れることができます。長浦地区にある「アンモナイト館」では、地層に埋まったままの直径60cmもある巨大アンモナイト化石を見ることが可能。このアンモナイト化石はユーパキディスカスという種類で、約8500万年前の深い海でたまった地層に入ったままの状態で保存されています。公園に嵐口崎および採石場の石を野外展示しているのが、「ニガキ化石公園」。大小さまざまな石が20個以上あり、なかでも1億年前の浅い海に住んでいた貝などの化石がびっしりと入った最大1.8mもある石は必見です。化石層のでき方や化石についての詳しい解説もあるため、学びの場にもなります。島の北部には複雑な入り江の奥に干潟があり、ここには絶滅危惧種のカニ「ハクセンシオマネキ」が生息していて、貴重な姿を見ることができます。島の西端にある人気の夕陽鑑賞スポット「田の尻」では、美しい夕陽をゆっくり鑑賞できます。
牧島と御所浦島で開催される
人気の「島あじマラソン大会」
御所浦島と牧島をコースとする宿泊型マラソン大会「島あじマラソン」は2月に行われ、人気があります。恐竜の島として知られる御所浦島と牧島を巡るコース距離21.1kmのハーフマラソンで、制限時間は3時間半。御所浦島の御所浦港付近からスタートし、大浦や嵐口、牧島の長浦を通る4か所の折り返し地点と往復をつないだコースとなっており、参加者は、海岸沿いの風景や道沿いにある恐竜のオブジェを楽しみながら走ることができます。御所浦島では島民との交流パーティーも開催されるため、美しい風景だけでなく、おいしい料理や島民のあたたかい人柄などさまざまな島の魅力を堪能できるのが特徴です。8月には牧島地区振興会主催の「夏まつり」が開催されます。盆踊りやくじ引き、カラオケ、抽選会などを楽しんだ後には花火が打ち上がり、島民や帰省客が一緒になって楽しい時間を過ごせる夏の一大イベントとなっています。ほかにも島内では漁業の奉納を行うお祭りや、子どもからお年寄りまで参加できる「グラウンドゴルフ大会」なども開催され、当日は多くの人でにぎわいます。また2005年に通信制の「勇志国際高等学校」が旧牧島小学校跡地に開校。スクーリングでは地域の住民や団体と協力し、伝馬船漕ぎなど牧島ならではの体験学習が取り入れています。
情報提供 / 天草市御所浦支所
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また、各離島への渡航時にはコロナウイルス感染防止に充分配慮をお願いいたします。