世界的にも珍しい
二重式カルデラ火山の島

SHIMA INFORMATION

関東・中部エリア/ 東京都

青ヶ島 あおがしま

面積
約5.96㎢
人口
約171人
観光スポット
空観測、二重カルデラ、展望台、ひんぎゃ
特産
ひんぎゃの塩、青酎
アクセス
羽田空港から八丈島空港まで約50分。八丈島底土港から青ヶ島港まで連絡船で約3時間、八丈島空港から青ヶ島ヘリポートまで約20分
URL
http://www.vill.aogashima.tokyo.jp/top.html

青ヶ島 aogashima

人流を拒むかのような大自然の造形
しかし、なぜか人はそこに惹かれる

東京都心から南に358kmの場所にある伊豆諸島最南端の有人島。隣島の八丈島からもさらに南へ70kmほど離れています。かつては無名の島でしたが、外輪山によって周囲の海から隔てられ、カルデラ底が陸上に露出しているという特異な二重式カルデラの地形を持つことから世界的に注目を浴びるようになりました。島の外周部は、黒潮の海にそり立った断崖の地形のため長らく船がつけられず、就航率が50%になる時季もあります。ヘリコプターも就航していますが、1日9席しかないためチケットの確保が難関。どちらも1日1ビ便しかないため訪れるには事前に宿泊の予約が必須です。島には砂浜がないため海水浴やダイビングなどはできませんが、徒歩またはレンタカーで島内を巡ることで、絶海の孤島の大自然を満喫することができます。年間を通して湿度は高いですが、集落の標高が高いため気温は夏も冬も過ごしやすい温暖な気候です。特産品は、火山の地熱蒸気を利用して製塩した「ひんぎゃの塩」、古くからの製法を残した生産数の少ない島焼酎「青酎」など、希少性の高いものが多くあります。上陸の難しさから人の往来が少なく、それゆえに手つかずの自然や独特の食文化に出会える、それが青ヶ島の最大の魅力。決して便利ではない島の暮らしですが、そこをうまく工夫してきたからこそ今日の暮らしがあるという、そんな当たり前のことに気づかせてくれます。断崖に囲まれた孤島であるからこそ残ってきた多様性が伝わるはずです。

島民に特別な思いがある言葉「還住」
それは先祖に対する偉業への畏敬

1785年、青ヶ島は「天明の大噴火」を起こしました。このとき全島民が八丈島へ避難しようとしたのですが、島民327人のうち130人余りが間に合わなかったと言われています。その日から長きにわたり青ヶ島は無人島になります。しかし、島へ帰ることを諦めなかった人々を名主の佐々木次郎太夫が先頭に立ち、約 50 年もの時を経てようやく帰還することができました。このときの人々の故郷を想い厳しい自然に立ち向かった偉業は「還住(かんじゅう)」と呼ばれ親しまれています。その表れとして、還住は伝統芸能の「還住太鼓」の名称や、八丈島と青ヶ島を結ぶ定期船「還住丸(1992~2013年)」と名付けられたことがあるほどです。また、佐々木次郎太夫は「青ヶ島のモーゼ」と呼ばれ、島内に還住の碑が建立されています。青ヶ島が歴史上に登場するのは15世紀ごろからですが、そのほとんどが海難事故を記録したものばかりで、当時の海上交通の困難さを物語っています。伝説も多く残っており、徐福伝説では男女が同じ島に住むと神の祟りがあると信じられ、女人禁制の島「男ヶ島」と呼ばれていました。また、『保元物語』で源為朝が訪れた鬼ヶ島は、青ヶ島のことであるともいわれています。

360度の大海原と360度の星の海
真冬でも足元ぽかぽかで星空観測

星空が美しい島は数多くありますが、その中でも青ヶ島はトップクラスの美しさ。良く晴れた月明かりのない夜、空には星の海が広がります。夏は天空を流れる天の川をくっきりと観察でき、冬は一等星の輝きに目を奪われます。島中どこからも見られるのですが、中でも標高200mの崖の上にある「ジョウマン」は絶好の星空スポット。標高400mの「尾山展望公園」もおすすめ。昼間の眺望も素晴らしく、360度の絶景を味わえます。青ヶ島の最大の特徴でもある二重カルデラという大自然が創り出した造形美を一望できるスポットです。直径約1.5kmの外輪山に囲まれたカルデラの底、「池之沢」地区から仰ぐ星空も最高です。また、この地区の魅力は「ひんぎゃ」と呼ばれる地熱による水蒸気の噴気孔群があること。「ふれあいサウナ」は、この「ひんぎゃ」の熱を利用しており、自然の熱で汗をかくことができます。そして、周辺は地熱で温かいため真冬の星空観測も苦になりません。サウナの近くにある「地熱釜」は24時間無料で利用でき、卵やじゃがいも、さつまいもまで、なんでも蒸すことのできる天然の釜です。そのほかにも、標高423mの島の最高峰「大凸部(おおとんぶ)」も絶景スポットであり、冬には島の玄関口「青ヶ島港(三宝港)」で間近にクジラが見えることも。「丸山遊歩道」は季節の草花や鳥たちを観察しながら1周約 30 分程度で散策できる遊歩道。ハイキングを楽しみながら、大自然の地形と向き合うことができます。

娯楽の少ない島のお祭りは
島民も観光客も全員参加の一大行事

生まれも育ちも東京の黒毛和牛は、年間で60頭ほどしか出荷されていません。中でも青ヶ島で生まれた牛はとても希少で「幻の黒毛和牛」とも呼ばれ、村の産業の1つとして貢献してきました。そこで、断崖絶壁の島で暮らす人々の暮らしを昔から支えてきた牛たちの産業振興を祈念して、毎年夏に「牛祭り」という名称の村祭りが開催されています。これは島内最大の祭りで、青ヶ島で育てられた和牛の品評会や、島特産の野菜や果物などの農産物、花木園芸品、加工品、手工芸品の品評会が行われます。ほかにも島に伝わる「還住太鼓」の演奏や観光客も含め島民全員が参加する島踊りなどで大盛り上がり。島外にいる村出身者もこの日に合わせて帰省するほどです。前夜祭では納涼花火大会も行われ、澄んだ夜空を美しく彩っています。9月の満月の夜には郷土芸能保存会主催の「月見踊り」が行われます。「還住太鼓」の披露、島唄や島踊りに加えて、郷土料理や飲み物が用意されており、青ヶ島の伝統文化を十分堪能することができます。規模の小さな祭りではありますが、島民が協力して作る大切なイベントです。ちなみに、島に電気が通る1966年までは、月明かりの下で朝まで踊り明かしていたこともあったようです。

情報提供 / 青ヶ島村役場
撮影・画像提供 / 井川俊彦(4枚目)

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