猫と人が穏やかに暮らす
石巻のやさしい島

SHIMA INFORMATION

北海道・東北エリア/ 宮城県

田代島 たしろじま

面積
約2.92㎢
人口
約55人
観光スポット
特産
牡蠣、ウニ、海藻類、イワシ、サバ
アクセス
仙台駅からJR仙石東北ラインで約60分、石巻駅で下車。石巻中央発着所から定期便で約40分
URL
https://www.city.ishinomaki.lg.jp/cont/10053500/0050/3639/3639.html

田代島 tashirojima

小さいながらも2つの港を持つ漁業の島
「猫の島」として全国的に有名に

田代島は、宮城県石巻市にある石巻港より、南東約15㎞の場所にある島です。面積が3㎢ほどの小ぶりな島ですが、北東部には大泊港、南東部には仁斗田港と2つの漁港があり、それぞれが集落を形成しています。漁港が2つあることでも解るように、漁業が盛んで海産物が豊富。イワシやサバ、牡蠣、ウニ、海藻類が捕れ、島民の食を支えてきました。少し歩けば海に出られること、岩場が多いことから、良質な釣り場としても有名。港付近の防波堤には、島民に交じって県外からの釣り人が糸を垂らし、釣りを楽しんでいます。漁師が経営する釣り船もあり、沖合での釣りも人気です。田代島を有名にしたのは、島内にたくさん生息している猫の存在。猫の数の多さから、「猫の島」とも呼ばれ、全国に知られるようになりました。興味なさげにこちらを見る猫、人に甘えてくる猫、それぞれが自由にゆっくりと時間を過ごし、共存する姿はまるで楽園。島の穏やかな風と海の音に触れ、猫と過ごすひとときは、心の疲れや澱みを忘れさせてくれます。深く息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す深呼吸がしたくなるのも、島が持つやさしい空気と猫の力。人間とは自然に生かされる生き物だと、改めて教えてくれる島です。島内に大きな宿泊施設は無く、マンガアイランドのロッジもしくは民宿への宿泊となります。民宿とともに事前のお問い合わせと予約は必須。宮城県のベストシーズンは4~5月なため、この時期は観光客の姿がよく見られます。

釣り人が愛してやまない豊かな漁場
古代の暮らしを伝える貝塚が広がる

世界でも稀有な好条件の漁場を持ち、沖合・沿岸での漁業を柱に歴史をつないできた島です。昔ながらの「大謀網」という漁法が今も残り、古き良き時代の手法が、現在も漁師の間で営まれています。大謀網とは、海の中に大きな網を仕掛け、魚が入ると入り口を締めるというもの。豊かな漁場で多くの魚を捕らえることに役立ち、この地の漁業発展に貢献してきました。仁斗田地区北部・東面の海、標高20~23mのところには、「仁斗田貝塚」が広がります。県指定遺跡に指定された貝塚であり、縄文時代前期からの石器や土器などが出土しました。アワビやサザエといった貝も発掘され、当時の人々の暮らしの片鱗に触れられる貴重な場所。中には漁携具の出土もあり、今と変わらず海の恵みを大切に生きた漁師の名残に、思いを馳せずにはいられません。東北の島ながら、コバルトブルー寄りの海に囲まれ、雪が少ない温暖な気候です。寒暖差もなく、厳しい冬の時期でも0℃以下になることは稀。豊かな自然と過ごしやすい気候は、この地に生きる人々を優しく包みます。1979年に南三陸金華山公園に指定され、東日本大震災後は「三陸復興国立公園」の一部になりました。大掛かりな開発を逃れた悠久の大自然を守りつつ、復興への道を歩んでいます。

猫を島の守り神として大切にする人々
船を降りるとたくさんの猫がお出迎え

漁業が盛んな田代島では、大漁祈願の守り神である猫を敬い、大切にしてきました。猫を守るために犬の飼育を禁じるなど、島に住む人々の猫への思いは格別。その気持ちが猫に住みやすい環境を整え、今では150匹以上の猫が生息しています。島民の数より多い猫を一目見ようと、国内のみならずアジアやヨーロッパの観光客も訪れ、年間1万人が島にやってきます。現在では、宮城県でも有名な観光スポットとして名前が広がり、「猫の島」として親しまれています。船着き場に降りると、さっそくたくさんの猫が観光客を迎え、愛らしい姿を見せてくれます。ただし猫の健康を守るため、観光客のエサやりは禁止。エサやおやつの寄付は受け付けており、仁斗田港待合所付近にある「ねこごはんおあずかりボックス」に物資を入れると、支援に参加できます。田代島と猫の縁には、島に伝わる伝承が由来しています。田代島では繭を生産していた時期があり、ネズミ除けとして猫が飼われていました。ある日のこと、岩を削り漁のための重りを作っていた漁師は、作業過程で猫に怪我をさせてしまいます。それを悲しく思った漁師は、田代島の中央に「猫神社」を創建し、猫を祀りました。この神社に纏わる言い伝えが、猫と人の縁をつなぎ、共存を実現しました。猫神社は島の中央に現存し、島民や観光客の姿が絶えません。

震災後も脈々と続き守られる伝統芸能
観光地としての挑戦と歩みを続ける今

田代島には、古い歴史を持つ「田代島獅子舞」という伝統芸能があります。しかし、東日本大震災により教本や映像が失われ、石巻市田代島獅子舞保存会が再度制作を行いました。間違いなく伝統芸能を伝えていくために、学校などに配布をしてつなぐ取り組みも実施しています。島民の減少が課題となる中、島の漁業や文化を存続させようと、試行錯誤が続いています。とても小さな島ですが、観光客の増加を受け、施設の整備も進みました。島の中央にある「猫神社」から200mの所には、「田代島にゃんこ共和国『島のえき』」という休憩所が。ここでは軽食や、綺麗に整備されたトイレの利用が可能です。旅人の憩いの場として利用され、オリジナルグッズや特産品の販売も行われています。「猫の島」に由来し、猫をモチーフにした「マンガアイランド」というロッジエリアも作られました。石巻市が漫画で地域活性化をしている縁で、ちばてつや先生や里中満智子先生らがデザインに参加。アーティスティックな内装を楽しめます。宿泊の場合、島には商店が少ないことを踏まえ、食事の準備が必要。釣り人の中には、海で釣った魚をマンガアイランドに持ち込み、自分で調理する人も。民宿への宿泊は、島の恵みである海産物を使った料理が旅人の楽しみです。

情報提供 / 石巻観光協会

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