島面積の80%を占める
日本有数の椿の産地
SHIMA INFORMATION
関東・中部エリア/ 東京都
利島 としま
- 面積
- 約4.12㎢
- 人口
- 約329人(2021年8月1日時点)
- 観光スポット
- 展望台、星空観測、ドルフィンスイム、釣り
- 特産
- 椿油、伊勢エビ、サザエ
- アクセス
-
①東京都 竹芝桟橋から大型客船に乗って最短7時間35分
②東京都 竹芝桟橋から高速ジェット船に乗って最短2時間25分
③下田港からカーフェリーに乗って最短1時間35分
④調布飛行場から大島空港までセスナで25分。大島空港からヘリコプターに乗って10分
利島 toshima
円錐型の美しいフォルムに咲き誇る
島ごと覆いつくす20万本の椿の花
東京都心から南に約140㎞、伊豆諸島の北から2番目に位置する利島。砂浜はなく、断崖絶壁に囲まれ、平坦な土地はほとんどない、周囲約8㎞、面積4.12㎢の小さな島は3時間もあれば1周できます。地形は、海底火山の噴火によってできた神奈備型をした独特な姿が特徴的で、昔から海上を行く人々の目印となっていました。富士箱根伊豆国立公園に指定され、「南ヶ山園地」からの眺望は新東京百景に選定されています。島は椿の木に覆われており、その本数は約20万本。見渡す限りどこまでも椿の段々畑が広がっており、冬になると島中で咲き誇る椿の花を見ることができます。その椿を原料にした椿実100%の椿油は、江戸時代から約300年の歴史があり、質・量とも日本有数の生産地であり島を代表する特産品です。漁業も盛んで、伊勢エビ、サザエはサイズが大きいことで定評の海産物です。自然美が豊かな利島は夜空が美しく、天気の良い日には多くの星座や天の川を肉眼で見ることができます。冬季は島全体が椿の花に彩られ、梅雨時には光るキノコのシイノトモシビタケ、初夏には世界最大のユリといわれるサクユリが見られます。利島港周辺に約20頭のイルカが棲みついているので、船上から見学するイルカウォッチングや、4~11月は一緒に泳ぐこともできるドルフィンスイムやダイビングが楽しめます。それ以外のシーズンでも島の頂点である標高508mの宮塚山へのハイキングで絶景を望むことができ、釣りでも荒波で囲まれた近海で大物が狙えます。
伊豆半島から渡ってきた古代人が
着々と文化を作り歴史を刻む
島の歴史は古く、縄文時代や弥生時代に作られた土器が出土しているとから、縄文時代中期には人が住んでいたといわれています。30,000㎡もの広さがある「大石山遺跡」は、縄文時代早期から古墳時代までの複合遺跡で東京都の指定史跡です。「ケッケイ山遺跡」からは、弥生時代中期の竪穴式住居や縄文時代の土器、鉄器、黒曜石などが発見されており、これも東京都の指定史跡となっています。石で刃物をつくり、骨の銛を使い、土器で食べ物を煮炊きする生活が始まって、また浜石を利用した石畳や石垣は、縄文時代から始まったものと考えられています。当時の人たちは、海岸から持ち上げた浜石を大石山の一角に積み上げ、そこで祭りを行っていたようです。土器の形式や住居の作り方が関東西部から中部地方のものと似ているところがあるため、これらの地方の人々が伊豆半島を経由して、利島へ渡来したのではないかと考えられています。島名の由来について、以前は外島とか戸島とかいうように書かれていたこともありましたが、現在も明確には分かっていません。江戸時代は天領でしたが、明治維新以降は韮山県、足柄県、静岡県と変遷し、1878年に東京府となり、1900年に大島島庁下となり、1948年には東京都へ移管されました。
昼は人懐っこいイルカと一緒に泳ぎ
夜は空を眺め特別な星空を独り占め
利島は人口約300人の小さな島にも関わらず、島内に7つの神社と1つの寺があります。中でも、島内で最も規模が大きく村の氏神様として崇められている「阿豆佐和気命神社」は、1760年に建造された歴史ある建物。旧本殿は国登録有形文化財に登録されています。宮塚山への登山は誰でも気軽に登頂することができ、「宮塚山展望台」は見晴らしの良い展望台で、大島や伊豆半島だけでなく富士山を望むことも可能です。同じく眺望の良い場所として新東京百景にも選ばれている「南ケ山園地」があります。島にビーチはありませんが、ドルフィンスイムでイルカとの泳ぎを楽しめるという魅力があります。島周辺には、ミナミハンドウイルカが棲みついており、その旺盛な好奇心から機嫌が良いときはイルカから近づいてくることも。またダイビングのスポットもあり、利島はドルフィンスイムとダイビングを両方体験できる非常に珍しい場所です。海だけではなく空にも魅力があります。幻想的な朝焼けから夕焼け、そして夜になれば空は天然のプラネタリウムに。天候に恵まれれば、一年中天の川が見られます。特に「南ヶ山園地」でのスターウォッチングは最高のおすすめスポットです。
守り継がれる古よりの厳かな儀式
正月三が日に行われる素朴な信仰
利島のお正月には古くから続く慣わしがあります。1つは大晦日の夜に神社関係者が集まって焚き火を囲んで年越しを祝う「ジックワ火」。「ジックワ火」とはお焚き上げのこと。大晦日の23時ごろになると、「阿豆佐和気命神社」の境内には氏子、各家の戸主が社務所に集まりお神酒をいただきます。そのほかの参拝客は、ジックワ火を囲みながら年の明けるのを待ちます。そして、新年を迎えると同時に拝殿の太鼓が打ち鳴らされ、子どもの「ジックワ!」という声を合図に「ジックワ火」に火がつけられ、囲んだ人たちによって「ジックワ火の歌」とともに、新年の幕開けを祝うのです。歌い終わると鳥居の外で待っていた人たちがいっせいに境内に入り、初詣を行うのが島民の慣習となっています。このことから「阿豆佐和気命神社」は、昔から島の信仰の中心になっていたことがうかがえます。また、正月三が日に島の人たちで「山廻り」をするという慣わしは、一番神様、二番神様、三番神様の順に参拝して、米とお神酒をお供えします。ちなみに一番神様は伊豆諸島を作ったといわれる事代主命の息子阿豆佐和気命が祭神の「阿豆佐和気命本宮」、二番神様は山と海を司る大山祗命が祭神の「大山小山神社」、三番神様は阿豆佐和気命の妃である下上御方が祭神の「下上神社」になります。この「山廻り」は、昔ながらの島の生活と素朴な信仰の表れといえるでしょう。
情報提供 / 利島村役場産業環境課(利島村勤労福祉会館内)