火山によって創り出された
地球の芸術品

SHIMA INFORMATION

九州・沖縄エリア/ 長崎県

嵯峨島 さがのしま

面積
約3.16㎢
人口
約99人
観光スポット
千畳敷、女岳園地、女岳火口展望所、アコウの樹、嵯峨島教会
特産
アクセス
長崎駅から徒歩で長崎港へ。長崎港から定期便で約1時間半〜2時間、福江港で下船。福江港から定期便で約15分
URL
https://www.gotokanko.jp/

嵯峨島 saganoshima

西海国立公園&日本の秘境100選
さらには五島列島ジオパーク構想

嵯峨島(さがのしま)は、五島列島の福江島の北西約4km、東シナ海にある島です。その名は、京都の嵯峨野に由来するとも伝えられています。南北約3.3km、東西約1.3km、周囲9.5kmのひょうたん型の島です。このような形になったのは、北の男岳(標高151m)と南の女岳(標高130m)という2つの火山が、裾野でつながって1つの島に合体したからです。島全体が火山でできているため、溶岩と凝灰岩によって形づくられています。島西海岸の侵食は、東シナ海の激しい波浪を受け、両火山とも火口付近まで削り取られています。垂直に海食崖の絶壁を作っている「嵯峨島海食崖」は県の天然記念物に指定されています。また、爆発した火山の内部構造や、放出物の岩頸、岩脈などが鮮色をなしており、まるで火山の模型を見るようで、学術的にも珍しい貴重な地学的資料です。特に女岳は火山の内部構造が露出し、噴出状況が顕著に示されていることから、1959年に長崎県天然記念物に指定されています。男岳・女岳の中間(集落の西側)には凝灰岩が浸食された断崖「千畳敷」があり、火山噴出物が幾重にも積み重なった成層構造を観察できます。そのため五島列島の中でも最高の秘境感に満ちており、「日本の秘境100選」にも選ばれているほどです。さらに、集落中心部を除く島のほぼ全域が「西海国立公園特別保護地区」または「同公園特別地域」に指定されており、約4kmにわたる自然散策道も整備されています。また、五島市が推進している「五島列島ジオパーク構想」においても重要な場所となっています。

五島列島の天主堂巡礼をするうえで
欠かせない木造建築の嵯峨島教会

古くは流刑地、平家の落人の島として歴史に登場する嵯峨島。1507年、五島列島の領主宇久家で起きた玉之浦納の反乱では、1521年に嵯峨ノ島へ追われた玉之浦納が自刃して終結。女岳北麓の小野神社は玉之浦納が祀られています。1641年に異国船遠見番所が設けられ、1647年までは日本最西端の番所でした。その後嵯峨島には、大村藩からの迫害を避け逃れてきた潜伏キリシタンたちが住みつきました。島に教会が建てられるまでは信徒の家を利用してミサが捧げられていました。小聖堂が建てられたあとの1918年、信徒たちが多く住む竹原集落に現在の嵯峨島教会を完成させ、たびたび改修や補修を繰り返しながら大切に維持されています。ステンドグラスが美しい木造教会で、今では観光客も見学に訪れ、福江島の三井楽協会から月に2回司祭が巡回しミサも行われています。創建時の姿を大切に守り続けており、五島市の天主堂巡礼を行う観光客は、「島へのアクセスに時間を費やすことになっても必ず訪れたいところの1つ」というほど当時の面影を感じられる教会なのです。小さいながらも丁寧に手入れがされているのを見ると、昔からのカトリック信仰を今でもしっかり伝承している島民の気構えを感じます。20世紀中頃までは畑が多く農業は盛んでしたが、輸送コストや潮風による塩害などで衰退していき、現在は漁港に大型漁船も停泊するほど漁業が主流になっています。

天然の造形美の中に詰めこまれた
あふれんばかりの自然と歴史と文化

自然が創り出す造形を十分に満喫できる観光スポットが多くあります。「千畳敷」は、女岳と男岳の接合部分。火山の噴出物が幾重にも重なることで、ミルフィーユのような独特の景観を生み出しています。標高130mの女岳山頂にある「女岳園地」は、島全体を見渡すことのできる絶景ポイント。360度のパノラマを前にすると嵯峨島の大自然を味わうことができます。「女岳火口展望所」からは、女岳の火山の断面・内部構造、赤茶色の火山砕屑物に灰色の溶岩が模様のように入りくんでいる様子をはっきりと見ることができます。また嵯峨島の「アコウの樹」は必見。火山の噴出物が堆積して縞模様になった凝灰岩の崖にアコウの気根が張り付き、垂れている様子はとても貴重です。火山島ならではの珍奇な景観といってもいいでしょう。歴史を感じるなら「嵯峨島教会」は欠かせません。1916年に建てられて今なお信徒たちにより大切に維持されている木造教会です。女岳の中腹には玉之浦納が祀られている「小野神社」があり、港の近くには「八幡神社」と「金毘羅神社」があります。「金毘羅神社」の境内から鳥居越しに見る海の景観は絶景です。また、自然美の観光ばかりでなく、磯釣りのメッカとしても知られています。

無形民俗文化財のオーモンデー
千畳敷での踊りは幻想的な雰囲気に

「長崎県指定無形民俗文化財」であり「国の選択無形民俗文化財」にもなっている「オーモンデー」という念仏踊りが伝承され、毎年お盆の8月14日に演じられています。起源は遣唐使の時代に中国大陸から伝えられたといわれるほど歴史あるもので、今なお地元の青年たちによって踊り継がれています。衣装は襦袢を着て、短い腰巻をまとい、派手な冠物をつけるのが正装。そして、鉦(かね)が2人2組、踊り手が10~12人で構成され、鉦と唱詩に合わせ輪になって行います。14日の当日、昼は初盆を迎える各戸を訪問して、先達が仏前でお経を唱えたあとに踊り、夕暮れからは墓所で踊ります。また、「千畳敷」の岩場でも行われるのですが、独特の景観の中で演じられる「オーモンデー」は見ごたえがあり圧巻です。ほかにも毎年5月下旬には「嵯峨島体感ウォーク」が開催されています。「日本の秘境100選」の島である嵯峨島の雄大な景色、植物、歴史を丸ごと楽しむことができ、自然の素晴らしさを体感できるイベントです。女岳中腹の「小野神社」では、旧暦4月4日に「小野神社例大祭」が行われます。島内には飲食店がありません。唯一レンタサイクルのできる中村商店で、飲料水やスナック菓子などを購入して島の散策をお楽しみください。

情報提供 / 五島市観光協会

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