小豆島で飲む瞬間を想い「地ビール」を探求する

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小豆島香川県

まめまめびーる

中田 雅也

MASAYA NAKATA

魅力的なビールと
師匠との出会い

大学時代にニューヨークへインターンシップに行った際、ブルックリンのビール工場を訪れたことが、ビールづくりの始まりです。「なんだこのビールは?めちゃくちゃおいしいぞ!」と今まで飲んでいたビールとは全く異なり、そこからクラフトビールにハマりました。日本に戻ってから、もっとビールについて知りたいと、日本各地の醸造所を回り、ビールのおいしさとその世界観に感動しました。各ブルワリーが造る数多くのビールを飲み続けて約7年が経った頃、「いつかビールをつくりたい」と想うようになり、ちょうどその頃に出会ったのが、岡山県にある「吉備土手下麦酒醸造所」さんです。地域の方々と連携しながら、その土地の素材を使ったり、"地域に根ざしたビールづくり"を目の当たりにしました。

ビールづくりの地を
小豆島に決めた理由

サラリーマンを辞めて、ビールづくりを始めようと決めてから、どこで作ろうかと考えた時に、"ビールを飲んでおいしいところ"を探そうと思いました。
妻の友人に小豆島を勧めてもらい、行ってみるととても良いところで、色んな人とつながって、空き家だったこの場所も紹介してもらって、「ここで飲みたい!ここでつくりたい!」と惚れ込んで小豆島に決めました。
小豆島は伝統ある産業や特産物がおおく、探せば探すほど、ビールづくりに魅力的な素材がたくさんありました。それぞれ島の方々が一生懸命育てられていて、それらの素材やヒントを醸造に活かしたいと思いました。例えば、最初に造った「あかまめまめ」は小豆島のデコポンや甘夏など柑橘類を加えています。「くろまめまめ」は、小豆島で歴史ある木桶仕込みの醤油づくりを続けられているヤマロク醤油さん「鶴醤」のもろみを分けていただいて使っています。島で暮らす色んな方の知識や協力があったからこそ、今のビールづくりにつながっています。

生産者・消費者とともに造る
地域に愛される「地ビール」

近年、たくさんの種類の「クラフトビール」「地ビール」が販売されています。醸造所によって酵母や麦芽やホップの種類で味わいを変えたり、赤や黒、黄色など色や香りが違ったり、造り出すビールは多種多様。何をもって「クラフトビール」「地ビール」と呼ぶのか、その概念はさまざまですが、私は"地に愛されるビールが地ビール"だと思っています。どれだけ地で採れたものを使ってもいても、地域の人たちに親しまれていないと、それは「地ビール」と言えないし、反対に地のものを使っていなくても、地域の人に愛されていたら、それは「地ビール」になります。生産者・消費者・時に同業者とともに造る地域に根ざすビールには、ただおいしいだけでなく、地域に影響を与えるチカラがあります。地域で愛される、地域で飲まれる「地ビール」こそ、私たちまめまめびーるが目指しているビールです。

その土地の雰囲気と味わう
ビールの楽しみ方

小豆島でビールづくりを始めた当初から、島にあるもの、島で育てられたもの、島で作られたものを使って、小豆島産100%のビールを造りたいと思っていました。そこから農家さんたちに協力いただき、麦やホップを育てたり、試行錯誤を繰り返し、4年の年月をかけて、麦芽、酵母、ホップ、水、全て小豆島のものを原料に使った
「SHODOSHIMA100」が完成しました。"ついに出来た!"という安堵の気持ちと、"次はどんなビールを造ろうか"とビールの可能性が広がった瞬間でした。
瓶で買ったビールももちろんおいしいですが、実際に現地に行って、景色や香りとともに飲むビールはさらにおいしく感じます。今後はもっと地域に根ざして、このお店でしか飲めないビールをたくさん造って、"小豆島ビールの旅"などもやってみたいです。その土地のもので造った出来たてを、その場でその土地のもの・こと・人と飲むのが一番おいしい!と想うからこそ、島も素材や環境を最大限に活かしたビールづくりに挑戦し続けたいと思います。

小豆島へ移住後、2017年に坂手で「まめまめびーる」をオープン。「あかまめまめ」や「i love olive」など小豆島の特産品や素材を活かした地ビールを製造・販売している。