登山・ハイキングの魅力と
準備物 + 登山におすすめの
離島4選
綺麗な海だけでない、離島の自然が誇るポテンシャルの高さ。海からいただきを目指す、野趣に富んだ冒険。離島の面白さを再発見する登山・ハイキングの魅力を語ります。
山を擁する島々
島=山という印象は、それほどないかもしれません。しかし、Googleマップで検索してみると、一つの離島にたくさんの「展望台」があることに気づきます。また火山島の場合、中央にそびえる大きな山がトレードマークです。
実は平坦な地形をとる島ばかりでなく、起伏に富んでいる離島も多いです。離島といえば海やビーチに注目が行きがちですが、その自然のポテンシャルの高さは「山」から見て取ることができます。
離島の山へ登ったり、ハイキングをする醍醐味と言えるのが、手軽に大パノラマを味わえるという点。通常、長い道のりを歩いて、山頂の先に広がる絶景を楽しめますが、離島では標高の低い山や、標準歩行時間の短い山が多く、比較的簡単に登頂することができます。
そして山頂には展望台が設けられ、景色の開けている山も多いです。海が眼下に広がるため、青と緑の鮮やかなコントラストに癒されます。どこまでも吸い込まれるような雄大なスケール感と、青く透き通った爽快さがたまらないパノラマが待っています。
トレイルを楽しめる
一つの世界がコンパクトに凝縮されている離島。その島の自然も文化も、人の繋がりも、歩いて巡ることで、より愛着を持って見つめられるようになります。離島の山とは、いわばその世界のてっぺん。島の頂からは、自然景観のみならず、その離島の生活風景や味わい深さを垣間見ることもできますよ。
また山自体の標高は低くても、島を一周するトレイルコースが整備されていることも。そこでは思わず「こんな場所があったんだ...!」と言いたくなる、宝石のように美しい風景に出会えることがあります。
登る季節によって、全く見せる表情が違う。この点は、何度でも同じ山や離島へ通うモチベーションになります。例えば分かりやすい事例が、瀬戸内海に浮かぶ小豆島です。
春には桜と瀬戸内海のコラボレーションを見に城山へ。夏には緑と青の壮大なコントラストを仙多公峰(せんたくぼう)で味わい、秋には星ヶ城山から眺める寒霞渓の紅葉に癒される...など。
驚くほど色彩変化と感動に富んでいる点も、特にカメラ・写真好きには欠かせないポイントと言えるでしょう。
非日常感
登山口から山頂を目指す登山。通常、ある程度標高の高い中腹からスタートすることが多いのですが、離島の山では海抜0mから入山することが可能です。言い換えれば、海から山までをひと続きで旅をすることができるのです。
歩けば歩くほど、ドラマチックな景色の変化は勿論のこと、特別な非日常感を得られます。好奇心を解放して、一心不乱に登り続ける。慌しい日常を忘れて純粋に感動できる時間は、何ものにも代えがたい充実感を与えてくれます。
次に離島の山へ登ったり、ハイキングを楽しむために必要となる装備について簡単に解説していきましょう。
■スニーカーや登山靴
長距離歩くことが稀な離島の山では、それほど本格的な登山靴でなくても登山・ハイキングに挑戦することができます。歩きやすいスニーカーや、入門者向けの登山靴を選びましょう。
■歩きやすい服装
歩行時間が短い山であれば、カジュアルな服装でサクッと登れます。ただし蛇に噛まれたり、岩場で怪我をするリスクから長ズボンを選びましょう。虫も多いので、防虫スプレーをしておくと快適です。
■水分と補給食
短時間の登山・ハイキングと言っても、十分な水分と補給食は忘れないようにしましょう。特に夏場は、暑さによる体力の消耗が激しいため、1リットル以上は水分を持ち歩くのがオススメです。
■スマートフォン
よほど山深い離島でない限り、電波がなくなることは稀です。GPSで場所を把握したり、もしもの時の連絡用として必ずスマートフォンを携帯してください。
それでは最後に、登山・ハイキングが楽しめる離島と、オススメの名山をご紹介したいと思います。
ハイキングにもってこいな草原の山から、瀬戸内の多島美を見渡す大展望の山、畏怖の念さえ覚える荒涼とした火山など、表情豊かな山々があります。
三河湾に浮かぶ「篠島(しのじま)」。”ふぐの島”として有名な離島です。島の最高点は、熊ノ山(標高49m)と低いのですが、島の中央部から南部にかけてアップダウンに富んでおり、島の生活に溶け込むようなトレイルが楽しめます。
中でも、南の太一岬をぐるりと巡るコースは、緑のトンネルと海を見渡す絶好のハイキングコース。港の漁業の風景とは一線を画し、島の秘境というべき自然が垣間見れます。朝の光芒シャワーは格別です。
『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』として、世界遺産にも登録されている五島列島。その主要5島のうち、一番南に位置しているのが「福江島」です。シンボルは、流線型が美しい「鬼岳(おんだけ、標高315m)」。福江港へ入る時、真っ先にその山容が目に飛び込んできます。
登山開始から約30分、360度開けた山頂へ到着すると、北部・五島列島の島々、福江の港町、南部の田園地帯など、最果て感漂う壮大な風景を楽しめます。なんだか安寧を求めて移住したキリシタンの心が分かるようです。
オリーブの島として有名な「小豆島(しょうどしま)」。島全体に渓谷が発達しており、名山の宝庫です。その中でも、抜群のパノラマを楽しめることで、密かに知られる山が「皇踏山(おうとざん、標高394m)」。観光名所のエンジェルロードからほど近い場所に登山口が位置しています。
スタートから1時間ほどで、7合目の展望台へ到着します。すると眼下には、小豆島西部・前島と四国まで一望。吸い込まれるような大パノラマが展開します。山頂では豊島を望み、四方に海を見渡す高度感たっぷりの山。野趣に富んだ登山道も魅力の一つです。
伊豆七島の一つ「神津島(こうづしま)」。もともと神集島(神が集う島)として表記されたように、神話の世界にも登場する離島です。島の最高峰にあたる天上山(てんじょうさん、標高572m)は、神々が集合する場所だと伝えられており、山上の砂漠と呼ぶべき奇観は、麓とは一線を画す趣を備えています。
圧倒的な高度感を楽しめる黒島登山道と、独特な植生を楽しめる白島登山道の二つのコースがあり、行きと帰りでコースを変えて一周も可能。荒々しい山肌と海の織りなす壮大な登山が楽しめます。
登山・ハイキング
いかがでしたでしょうか?今回は離島の一味違った楽しみ方として、登山・ハイキングの魅力と、オススメの山をご紹介しました。
山頂に広がる海のパノラマはもちろんのこと、その中に生活風景や歴史文化が眺められることも、離島における山登りの醍醐味です。また野趣に富んだ道も多く、島の裏の表情を垣間見ることができます。
これほど個性豊かな景色を楽しめるのは、島国である日本ならでは。ぜひ離島を訪れた際は、山頂を目指してみてください。地図上の”展望台”が目印です。