OTHER 2024.04.17

そこは鬼ヶ島と猫島...!?
関西からもアクセスが良い「女木島・男木島」
高松港から日帰りアイランドホッピングの旅

瀬戸内海に浮かぶ小さな離島・男木島(おぎじま)と女木島(めぎじま)。瀬戸内国際芸術祭の会場の一つであり、飾らない島の景観と、別名・猫島と鬼ヶ島と呼ばれる、独特の雰囲気からひそかに注目を集めています。今回はそんな2島を巡るアイランドホッピングの旅をご紹介します。

土庄 雄平
(トラベルライター)
商社・メーカー・IT企業と営業職で渡り歩きながら、複業トラベルライターとして活動する。メインテーマは山と自転車。旅の原点となった小豆島、転職のきっかけをくれた久米島など、人生の岐路にはいつも離島との出会いがある。
男木島・女木島れんらく周遊きっぷで高松へ。乗り換え前には”朝讃岐うどん”

男木島と女木島があるのは、香川県高松市。高松港から女木島まで船で約20分、男木島まで船で約40分です。十分日帰り圏内であり、2島のアイランドホッピングを手軽に楽しむことができます。また関西の方におすすめなのが、「男木島・女木島れんらく周遊きっぷ」です。神戸港から高松東港をむすぶジャンボフェリーか、大阪・神戸から高松をむすぶフットバスと男木島・女木島のフェリー運賃を合わせて、往復4,490円〜とお得な内容になっています。中でもジャンボフェリーには深夜便があり、仕事終わりの平日の夜をフル活用できるのがポイントです。弾丸旅にはなりますが、関西方面からであっても、比較的手軽に男木島と女木島へアクセスすることができます。またうどん県と呼ばれるように、讃岐うどんの聖地・香川県。高松港の近くにも早朝から営業しているうどん屋さんが点在しています。始発フェリーは8:00ですが、ジャンボフェリーの夜行便が高松に到着するのは5:15ごろ。およそ3時間近くあります。れんらく周遊切符で乗り換えるすきま時間に、朝うどんでエネルギーチャージするのがおすすめです。高松港近くで早朝からやっているお店は、手打ちうどん 味庄(5:00〜、徒歩約10分)、めりけんや 高松駅前店(7:00〜、徒歩約10分)などがあります。

瀬戸内離島の情緒が根付く「女木島」。そこは現代版・鬼ヶ島!?

20分程の気持ちの良い船旅を楽しんだら、まず「女木島」に到着します。外周9kmに満たない小さな島で、瀬戸内らしい穏やかな雰囲気が特徴。民家を囲うオーテ(石垣)の独特な景観が連なり、なぜかモアイ像!?が据えられ、瀬戸内国際芸術祭のアート作品の一つである『カモメの駐車場(作家・木村崇人)』が旅人を迎えてくれます。都会にあるような喧騒はなく、そこにあるのは優しい波音と潮の香り、そして島の人々のゆったりとした暮らし。そんな女木島の通称は「鬼ヶ島」です。島の中央部にある大洞窟の存在から、現代版の鬼ヶ島として知られています。大洞窟のいたるところには鬼の像や鬼瓦が置かれており、怪しげな洞窟へひとたび足を踏み入れれば、桃太郎の世界を追体験できるでしょう。そして大洞窟を出ると、女木島の頂上にあたる鷲ヶ峰展望台へ。瀬戸内海と女木島のダイナミックな地形を俯瞰する絶景が広がります。なお鬼ヶ島大洞窟まではレンタサイクルやバスでもアクセス可能ですが、緩やかな島時間を味わいたいなら徒歩もおすすめ。始発フェリーで女木島8:20着→鬼ヶ島大洞窟向けのバスが8:40発のため、往路をバス・復路を徒歩にするとちょうど良いです。続く「男木島」も見所満載のため、女木島10:20発→男木島10:40着のフェリーに間に合うように戻ってきましょう。

猫で活気づく小さな離島「男木島」。穏やかな島時間に浸る散策と島グルメ

女木島から、ふたたび船旅を楽しむこと約20分。次なる「男木島」へ到着します。束の間の船旅は、多くの離島が浮かぶ瀬戸内ならでは。移動しつつ旅情に浸れるので一石二鳥の時間ですね。男木島は一周約5kmと、女木島よりコンパクト。狭い路地裏や、高低差のある漁村景観、港を見守る神社など、瀬戸内離島の原風景が残っています。そんな男木島の主役と言えるのが、島のなかを悠々自適に暮らす「猫」の存在です。もともとたくさんの野良猫が住み着いていた男木島ですが、2010年放送の『岩合光昭の世界猫歩き』で紹介されたことで、たちまち全国の”にゃんこファン”から注目されるように。今では島中を闊歩しながら、のんびり暮らす彼らの姿が男木島の顔になっており、過疎化が進行する島に賑わいをもたらしています。船を降りてすぐ、鳥居をくぐって豊玉姫神社まで行く路地裏でたくさんの猫ちゃんが待ち伏せをしていますよ。しかし猫ちゃんとの触れ合いや写真撮影に熱中し過ぎて、すでにお昼をまわっていることに気づきました!そこで向かったのは、港からほど近くにあるお食事処 円(まどか)さん。窓から海を見渡す抜群のロケーションで、名物のタコ天定食をいただきました。ぷりぷりのタコがサクサクの衣で包まれ、程良い塩味がタコ本来の風味を引き立てています。

のんびりとくつろぐ猫に癒される男木島漁港。フォトジェニックな歩く方舟も

お昼を食べ終わったら、島の南東部へ向かって歩いていきます。やはり漁師さんからのおこぼれを狙っているのか、男木島漁港の周辺でたくさんの猫ちゃんを見つけました。塀の上で丸くなる猫や、道路で横たわっている猫など、様々な猫の表情を観察でき、島随一の猫の撮影スポットとなっています。緊張感は感じられず、日陰でだら~んとくつろいでいる様子は、まさに離島らしい穏やかな時間の流れを伝えてくれるよう。島で暮らす猫の平和な日常にお邪魔させていただいた気分です。そんな島の南部には、瀬戸内国際芸術祭のアート作品の一つ『歩く方舟(作家・山口啓介)』も展示されています。美しい白砂のビーチと、真っ青な瀬戸内海、堤防に立ったアート作品のコラボレーションが見事です。海の向こうにはダイナミックな地形をなす小豆島も一望できます。フォトジェニックな『歩く方舟』ですが、実は作品に深い意味が込められているのもポイント。そのヒントとなるのは、作品が旧約聖書のノアの方舟に着想を得ていることと、福島県いわき市の方角を向いている点。あの未曾有の震災からの復興へ思いを馳せるように作られているのです。平和な男木島にあるからこそ、アート作品の解釈や意義が変わってくると感じられました。あとは船の時間まで、港周辺でのんびり過ごしたら、男木島15:00発→男木島15:40のフェリーに乗って高松へ。日帰りのアイランドホッピング旅はこれにて完了です。
いかがでしたでしょうか。四国の玄関口・高松から日帰りで巡ることができ、「男木島・女木島れんらく周遊きっぷ」を使えば関西からでもアクセスの良い、男木島・女木島アイランドホッピングの旅。ぜひお気に入りのカメラを持って、鬼ヶ島の世界観と猫たちとの触れ合いを満喫してみてください。きっと癒しや非日常の発見が待っているはず。