EVENT 2023.12.20

国際プラスチックフェア2023に
クリーンオーシャンプロジェクトが出展
〜編集部レポート〜

2023年11月28日(火)〜12月2日(土)の5日間に渡って、幕張メッセで開催された国際プラスチックフェア。プラスチック・ゴムに関する原材料、機械、製品、リサイクル機器、受託加工などを扱う700以上の企業・団体が出展した同フェアに、「企業プラ・海洋プラを発生元で循環利用」をテーマに掲げるクリーンオーシャンプロジェクトも参加。協賛企業に名を連ねるSHIMA-Omoiメンバーがフェア内容をレポートします。

SHIMA-Omoi編集部
日本にある有人離島の情報を発信するSHIMA-Omoi編集部。250島以上の離島情報の収集・発信のほか、特集の取材・撮影のために多くの離島を訪れている。
プラを発生元で循環利用
業界初の5社コラボブース

クリーンオーシャンプロジェクトは、2007年より漂着プラスチック問題の解決に向けて取り組みを開始。2021年に第5回SDGsアワード特別賞を受賞し、現在23社が賛同して次世代の海を守る連携を図っています。今回の国際プラスチックフェアには、賛同企業の中から選抜された5社が連携してコラボブースを出展。海洋ゴミを監視、回収、分別、資源循環、アップサイクルする各社独自のソリューションを活かし、プラスチックの発生元循環利用を可能とします。日本近海のマイクロプラスチック濃度は世界平均の27倍。2050年には海洋プラが魚の量を上回ると言われており、日本全国の有人離島を紹介する「SHIMA-Omoi」としても、離島が抱えるそれらの問題に注視。情報発信を通じて、少しでも海洋プラの問題に貢献できたらとの思いで、2023年にクリーンオーシャンプロジェクトに参加しています。
また、クリーンオーシャンプロジェクトでは、海洋プラをゼロにするために、流出する前の企業で排出されるプラスチックに対しても、発生の抑制・有効利用をする対策にも注力。企業プラ・海洋プラの両方に対して、精力的にアプローチしています。

【データ化】
海洋ゴミを監視・データ化する
アイエスイーの『うみろぐ』

株式会社アイエスイーの『うみログ』IoT海洋モニタリングシステムは、ソラーパネルを搭載し、無人で海の見える化を実現します。海上に設置された観測装置からカメラ画像、水温、水位、溶存酸素などの海洋データを30分ごとに自動的にクラウドサーバーに配信。スマートフォンやパソコンを通じていつでもどこでもモニタリングが可能に。また、水面、水中のプラスチックごみの浮遊状況を可視化することも可能で、うみログは国内約100台以上が稼働しているのだそうです。プラスチックごみ回収の基盤構築にも貢献し、さまざまな活用方法がある株式会社アイエスイーの『うみログ』IoT海洋モニタリングシステム。監視・データ化するというソリューションが、海洋ゴミ削減の第一歩を支えてくれています。

【回収】
海洋ゴミを回収する
平泉洋行の『ジェリーフィッシュボット』

データ化された海洋プラデータをもとに、海のお掃除ドローンとも言われる平泉洋行の『ジェリーフィッシュボット』が水面に浮かぶプラごみやマイクロプラスチックを効率的に回収します。本体にカメラが内臓されており、その映像をリモコンの画面上でリアルタイムに確認しながらラジコンのように簡単に操作できます。3種類の専用のネットにより、マイクロプラスチックから大きいゴミまで最大約80ℓ(30㎏)の回収が可能。GPSを搭載することで、リモコン画面上で指定した範囲を自動運転も行うことができ、固定物に限りますが、水上や水中の障害物を探知し自動で回避してくれるんだそうです。まさに海のルンバのように海のお掃除を効率的に行ってくれますね。最近では、名古屋市の堀川でジェリーフィッシュボットを使い、実証プロジェクトを行っています。

【分別】
プラスチックの種類が瞬時にわかる
リコーの『樹脂判別ハンディセンサー』

せっかく回収しても樹脂の判別ができなければごみになってしまいます。そんな課題を片手で瞬時に解決するのがリコーの『樹脂判別ハンディセンサー』です。電源をONにしたら、あとは判別したい樹脂を測定部に当てて、測定ボタンを押すだけ。なんと約2秒で判別して、スマートフォンに結果が表示されるんです。判別データをパソコンに転送することも可能で、基本データは現在13種類。さらに最大100種の追加登録が可能なので、判別したい樹脂だけ選定することもできるんですよ。リコーの『樹脂判別ハンディセンサー』によって、リサイクルをもっと身近にもっとスマートに始めることができそうですね。

【資源循環】
プラごみを発生元でクリーンエネルギー化する
エルコムの『e-PEPシステム』

精度の高い判別ができても、リサイクルが難しい汚れや複合プラスチックのリサイクルに困っているという声をよく耳にします。エルコムの『e-PEPシステム』は、汚れや複合材にも対応して、OとCとHの化合物で形成されるプラスチック70%に対応。環境アセスメント不要でクリーンにエネルギー利用が可能です。発生したプラスチックごみをその場で破砕チップやペレットにして、樹脂燃料ボイラ「イーヴォル」で蒸気や温水に変換。70%の高いエネルギー変換効率で既設のボイラ設備をバックアップしてくれますよ。プラごみを補助燃料とした分設備の省エネ、環境負荷の低減を可能にするエルコムの『e-PEPシステム』。経産省の先進的省エネ設備に2年連続認定され、脱炭素やプラごみ循環に関する様々な補助金の活用もできるんだそうですよ。

【アップサイクル】
プラごみのアップサイクルを
提案するオーシャン太郎

そして最後に、海洋プラの問題を通して、産・学・官・民の持続的な協力体制の構築に取り組む一般社団法人オーシャン太郎の拾活・プラごみの付加価値化をご紹介します。手偏(てへん)に合うと書いて「拾」。手がゴミと合う(出合う)。オーシャン太郎の『拾活』は、一度誰かの役に立ったプラスチックをゴミとはせず、もう一度どこかの誰かを笑顔にさせることを目指しています。単にマテリアル化させて新たなゴミを生むのではなく、そのプロセスにおいて、地域産業や教育に貢献しながら行動変容を起こすさまざまな環境イベントを企画。産・学・官・民のネットワークを通じ、海洋プラをもっと身近に、付加価値を作り出し経済モデルとの両立による皆様の新しいアップサイクルをサポートしています。会場でスタッフが付けている帆前掛けも、海洋プラが配合されたオーシャン太郎のアップサイクル企画によって生み出されました。

一般社団法人として新たにスタートした
クリーンオーシャンプロジェクトに期待

クリーンオーシャンプロジェクトは、2023年に一般社団法人として新たにスタートしました。「プラごみを発生元でゼロにする。きれいな海を次世代に」を目標に掲げる想いに共感し、「SHIMA-Omoi」もそのプロジェクトに参加。今後も取材・撮影や情報発信を通して離島を活性化する「SHIMA-Omoi」の活動の中で、海洋ゴミの現状やプロジェクトの活動を報告。より多くの方にプラスチック問題を認知していただけたらと思っています。
諦めていた使用済プラスチックを価値あるものに、クリーンオーシャンプロジェクトメンバーが発生元循環をお手伝いしますので、今後のプロジェクトの活動にご期待ください。