
水深30mに発見
奄美大島でしか観察できない
愛のミステリーサークルとは
奄美大島は鹿児島県と沖縄本島のほぼ中間に位置する、いわゆる南の島。そんな奄美の水底には、毎年4月中旬頃になると直径約2mほどの不思議なサークルがあちらこちらに姿を表します。このミステリーサークルは世界自然遺産に登録されるよりも前から、ダイバーの中で注目を集めていました。そこで本記事ではそのミステリーサークルの謎に迫ります。


2021年7月に世界自然遺産に登録された奄美大島。離島と聞けば海を連想しがちですが、島のほとんどの面積を占めているのは森林で、アマミノクロウサギなどの希少な動植物が現代でも生息・生育するほど生物多様性に富んでいることが世界的に評価されています。
海域は世界自然遺産に登録はされていないものの、「奄美ブルー」と称されるほど美しく、淡く優しい水中景観が広がり、アマミホシゾラフグなどの固有種が観察できます。



奄美大島の水底に姿を現す不思議なサークルの正体、それは「アマミホシゾラフグ」の産卵床です。その謎が解き明かされたのは、2011年。ある水中写真家がサークルをつくる新種のフグ ( 後のアマミホシゾラフグ )の撮影に成功したことがきっかけとなったようです。
事実が明らかになる以前、毎年出現するサークルについては現地のダイバーたちも認知していたものの、誰がなんの目的で作っているのかまでは解明されていませんでしたが、その後調査が進み、2015年には日本ではじめて「世界の新種10種」に選ばれました。



奄美大島の固有種であるアマミホシゾラフグ。フグの背中には白と銀の斑点があり、奄美大島の夜空に輝く星を連想させることから、そのロマンチックな名前がつけられたそうです。毎年4月中旬頃になると深度10〜30mの砂地にアマミホシゾラフグのオスがメスの産卵に合わせ、約1週間かけて産卵床をつくり求愛を行います。
体長10〜15cmの小さな体を器用に使い、砂に模様を描いたり、貝殻を運んで飾り付けをしたりと、一匹一匹がこだわりを持ち愛情を込めてつくり上げたミステリーサークルは全長1.5〜2mの大きさになります。見事メスに気に入られたサークルだけが「愛の巣」となり、子孫を残すことができるのです。


奄美大島でしか見ることのできないアマミホシホシゾラフグですが、深度10〜30mの砂地にサークルを作るため、観察方法はダイビングのみ。またサークルは産卵に伴いつくられるため、潮流が大きく関係しているようです。
そのため、少しでもアマミホシゾラフグとの遭遇率を上げたい方は、ダイビングショップのブログを確認したり、事前に問い合わせてみるのも良いでしょう。
奄美大島は島自体が大きく、その地域によって少しずつ水中景観が変わるため、ダイビングショップがたくさんあります。そのなかでも著者がおすすめしたいのは、ダイビング業界のトップガイドが集う「ガイド会」メンバーのひとり、古田さんがオーナーを務めるダイビングショップ「ネバーランド」。
奄美空港より車で12分とアクセスが良いため、到着日にダイビングも可能。海へお邪魔しますの精神を持ちつつ、のんびりゆっくりと生物の暮らしを観察することができるため、充実した水中空間を楽しめます。さらに船やショップ、宿泊施設などの設備が充実しており、常に居心地の良い環境で奄美時間を過ごすことができるでしょう。
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ダイビングショップ ネバーランド
〒894-0621 鹿児島県奄美市笠利町大字用1742番地1
TEL: 0997-56-1001
info@amami-umikaze.net
HP : https://www.amami-umikaze.net/
アクセス : 奄美空港より車で12分
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