SEA 2023.02.22

今がシーズン!
いざクジラと泳ぐ島旅へ
夢が叶う離島を紹介

地球の七割を構成する海。その大海原を優雅に遊泳する最大の哺乳類「クジラ」は、誰しも憧れをいだく生き物ではないでしょうか。そこで本記事では国内でクジラと一緒に泳ぐことのできるホエールスイムについてご紹介していきます。大自然が叶えてくれる一期一会の出会いに、ぜひ夢を膨らませてみてください。

松田夏季
(元ダイビングインストラクターの海好きライター)
静岡県西伊豆町出身。ドルフィントレーナー専門学校を卒業後、ダイビングインストラクターや船舶などの海にまつわる経歴をもつ。現在は「愛」をテーマに地球を冒険中。旅中で出会う人々や生き物、大自然が与えてくれるインスピレーションを大切に、今よりもっと自分を「スキ」になる人生を送りたい。
ホエールスイムとは?

ホエールスイムとは文字通り、クジラと泳ぐアクティビティのことです。野生のクジラが対象となり、頻繁にクジラが観察できる各地域ではホエールスイムツアーが開催されています。ただし、クジラと泳ぐためにはクジラと私たちの安全が確保された状態が前提となるため、ツアーによって個人の泳力レベルが定められていたり、クジラにストレスを与えないよう地域特有のルールが設けられていたりと条件があります。そのため事前に参加したいツアーやローカルルールを確認し、自分自身がすべてクリアしていることが大切です。

また、野生生物ですので必ずクジラと泳げる保証がありません。しかし、だからこそ彼らと出会えたときの感動や夢が叶う瞬間は、海のアクティビティの中で最高峰と言えるでしょう。

ホエールスイムで出会える
ザトウクジラの生態

日本国内でホエールスイムの対象となっているのは「ザトウクジラ」です。体長は約13~16m、体重は30tほどの大きさになると言われており、ヒゲクジラという歯のないクジラに分類されます。体は大きいですが、主食はオキアミなどの小さな生き物なので、人間が捕食対象になることはありません。ザトウクジラの特徴は長い胸ビレで、水中を優雅に泳ぐ姿が私たちを魅了します。またクジラの中でもアクティブなので、胸ビレで水面を叩く動作や水面から体がすべて出るほど迫力のあるジャンプを見せてくれることもあります。

クジラと泳げる
シーズンとスポット

ザトウクジラは、冬になると繁殖や子育てのためにアラスカ沿岸などから太平洋側の日本近海にやってきます。そのため、毎年12月から4 月頃になると太平洋に面した各地域でザトウクジラの目撃情報が出ます。しかし、ホエールスイムツアーを開催できるほどザトウクジラが滞在するのは沖縄本島や奄美群島などの南の島に限られます。

【ホエールスイムができる島】
・沖縄本島
・慶良間諸島(座間味島)
・久米島
・奄美群島(奄美大島、徳之島、沖永良部)
※小笠原諸島はウォッチングのみを対象としています。

泳げなくても大丈夫!
ホエールウォッチングの魅力

クジラに会いたくても体力に自信がなかったり、泳げなかったりと条件をクリアすることが難しい人もいると思います。そんな方にはホエールウォッチングがおすすめです。実は日本では意外とさまざまな種類のクジラの目撃情報があるんです。ホエールスイムでは「ザトウクジラ」のみが一緒に泳ぐことを許可されていますが、ホエールウォッチングは「ザトウクジラ」だけでなく歯のあるクジラの中で最も大きい「マッコウクジラ」など別の種類の鯨類も対象となります。また、クジラの仲間にはイルカも含まれますので、地域によっては2〜3種類の鯨類を観察することができます。
また、ホエールウォッチングではさまざまなクジラの行動パターンを観察することができ、それぞれの行動に意味や名前もあるんですよ。有名なブローはクジラの息継ぎ、いわゆる潮吹きです。潜水する際に見せるポーズはフルークといい、水面から垂直に顔だけ出すスパイホップは位置の確認をしている珍しいアクション。アーチを描きながらの大きなジャンプはブリーチングと呼ばれ、20%程度の確率でしか見られない貴重なアクションです。このように、豊富な行動は船の上からとはいえ、あなたの期待値を超えるはずです。

安全に楽しむには?

ホエールスイムの参加条件は、施設によって異なりますが、Cカード保持者(ダイビングの認定証)かつ健康な方が一般的です。水着、タオル、防寒着、飲料、軽食、着替えは必須の持ち物でしょう。また、個人的に用意しておいた方が良いものは、酔い止め、日焼け止め(日焼け対策グッズ)です。器材は基本的にレンタルできますが、マスク・フィン・シュノーケルは自分で何度か使用したことがあるものを持参するのがおすすめ。この3点は使い慣れていないと安全性に欠けますし、器材からのストレスはない方がいいですよね。

本記事では、国内で実現できるホエールスイムについてご紹介しました。ぜひこの機会に彼らとの出会いに夢を膨らませ、島旅を計画してみてはいかがでしょう。ひと目触れただけで、きっとあなたの人生はより輝くはずです。

COLUMN

島や施設の選び方

実は、島によってクジラとの遭遇率はあまり変わりません。島や施設を選ぶ基準は「アクセス」や「ウォッチングに配慮したボートか」になります。配慮というのは、たとえば風除けがあるか。ホエールスイムで一度海に入って長時間船の上で待機していると、体が冷えてしまい安全性が下がりますし、何よりせっかくクジラに会えても海に入るのが嫌になってしまうかもしれません。 こうした情報を確認するためには、参加するツアーのサイトやブログを事前にチェックすればわかります。他にもツアーに参加している方の服装や年齢層も確認できるので、必ずチェックしてくださいね。