地質学的にも注目される
五島列島最南端の火山島

SHIMA INFORMATION

九州・沖縄エリア/ 長崎県

黄島 おうしま

面積
約1.39㎢
人口
約35人
観光スポット
細ヶ岳、溶岩トンネル、ポットホール
特産
魚介類など
アクセス
長崎駅前電停から路面電車で約3分、大波止電停下車、徒歩で長崎港へ。長崎港からフェリーで約3時間10分~3時間50分、または長崎港からジェットフォイルで約1時間25分~1時間50分、福江港下船。福江港から定期船で約45分
URL
https://www.gotokanko.jp/

黄島 oshima

溶岩トンネルやポットホールなど
火山でできた島には絶景が広がる

黄島は福江島の南方17kmの海上、五島列島で最南端に位置しており、福江港から1日2便の定期船で45分ほど揺られた先にある有人離島です。第四紀という地質学的に最も新しい時代の火山である番岳、細ヶ岳の噴火によってできた玄武岩質溶岩から成る円形の小島で、噴火口を持つ番岳が最高点となっています。福江島の崎山地区方面から見ると、くじらのような形をしている黄島。標高91mの番岳がくじらの頭の部分、長崎県で一番低い山である標高25mの細ヶ岳が尾の部分に見えます。島の西側から南側を通って東側までは南東シナ海の荒波で海蝕された海食崖が続いており、細ヶ岳の手前にある溶岩台地、細ヶ岳山頂からは鬼岳と周辺の山々、富江半島、赤島、大板部、小板部、立島、美漁島などの美しい眺望を楽しめます。島のいたるところで溶岩の石垣など火山の痕跡を見ることができ、地元で「ワンワン」と呼ばれる細ヶ岳では、波に削られてあらわになった山の内部を見られるほか、直径約3mにもなるポットホールを見ることができます。ほかにも「ダッ」と呼ばれる海食崖には10m以上の溶岩トンネルが10数か所も確認されており、中でも「丈の穴」は奥行132m、高さ最大7.2m、幅最大5.75mと大きく、立ち入りできる溶岩トンネルとしては五島列島で最大です。溶岩トンネルの最奥部には観音様が祭られており、神秘的な風景を楽しめます。島内の宿泊施設は民宿が2軒。釣り客が多く、部屋数に限りがあるため事前予約は必須です。

江戸時代以降は捕鯨によって発展
捕鯨中止で漁業が衰退し人口は減少

黄島の西岸では縄文時代の遺構が発見されていますが、人々が島に定住したのは室町時代。当時は黄島と周囲の赤島・大板部・小板部をあわせて「悼大島(いたみおおしま)」と呼んでいました。黄島という名前が付けられた由来は、火山の噴火が弱くなったときに降った黄色の火山灰や小さな小石が積もったことで、島が黄色に見えたからだといわれています。また黄島では、かつて捕鯨が盛んに行われていました。江戸時代に捕鯨が開始されてから、明治、大正と当時の大村藩に支払う税金のほとんどを賄うほど島は発展。1913年には人口が1162人にまで増えましたが、捕鯨の中止や魚の漁獲量減少、遠洋漁業の発展などから島の漁業が衰退してしまいました。その後も人口減少が続き、現在は約30人が島で暮らしています。離島にとって水源の確保も生活する上で欠かせませんが、黄島には水源がないため雨水を利用していました。1984年には国によるサンシャイン計画で、世界初となる太陽光発電利用海水淡水化施設を設置。現在は住民の生活用水として利用されています。なお、島内に飲食店はありませんが、商店があり、そこで飲料やお菓子などを購入可能。食事は「民宿おうしま」で昼食を食べることができますが、事前予約は必須です。

島一周ハイキングで自然に触れる
海岸では火山灰でできた地層を観察

黄島の周囲は約5.5km。レンタサイクルやレンタカー、タクシー、路線バスなどはありませんが、島内には島を一周できる約2.5kmの道路があるため、ハイキングに最適です。島の西側にある細ヶ岳の山頂に登った後は、海抜0mの海岸へ。海岸に降りると、細ヶ岳火口からの火山灰が積もってできた地層や、細ヶ岳の地層の上に番岳から流れてきた溶岩が重なってできた台地、地殻変動で向きが変わった地層を見ることができるほか、波の力で削られて何か所もできたポットホールも見どころです。それらの雄大な景観から、火山の噴火によってできた島ならではの地形や歴史が一目瞭然。地質学者でなくても自然の驚異を実感できます。島の南東側には、溶岩トンネルが存在。黄島港から観音様の案内を目印に歩いていくと、ずらっと並んだ八十八地蔵と三十三地蔵が出迎えてくれます。ロープを使って崖を降りると、132mの溶岩トンネルの中へ。溶岩が2回も流れた跡を確認しながら、最奥部の観音様にお参りしましょう。島内唯一のお寺である「延命院」は、1689年に開山した真言宗のお寺です。弘法大師の作といわれる弁財天の像が祭られているほか、2体のマリア観音像と思われる仏像など貴重な文物が収蔵されています。また黄島は磯釣りのメッカとしても知られ、渡船を利用してオールシーズン大物を狙うことができます。

丈の穴で開催される歴史ある観音祭
五島市観光協会催行のツアーも人気

黄島の溶岩トンネル「丈の穴」の最奥部には祭壇があり、観音様が祭られていますが、毎年旧暦1月17日にはその観音様に由来する「観音祭」が開催されています。このお祭りは島民の方たちが140年あまり大切に守り続けてきたもので、当日は溶岩トンネル内に多くの島民が集まります。真っ暗な闇の中でろうそくの光が灯され、行われるのは祈りの儀式。延命院の住職による読経が始まると、整列した参加者たちは神妙に手を合わせて祈りを捧げます。以前はお酒が振る舞われていたといいますが、現在は祈りを捧げた後、参加者たちが和やかに談笑。にぎやかに盛り上がるお祭りではなく、神秘的で不思議なお祭りとなっています。独特の雰囲気を味わえるため、興味のある方はぜひ参加してみましょう。また五島市観光協会が、「大人の遠足~黄島探訪~」というツアーを催行しています。黄島の観光スポットを巡るこのツアーでは、淡水化システム施設や長崎県で1番低い山「細ヶ岳」、長さ132mの溶岩トンネル「丈の穴」、1422年に創建されたとされる「黄島神社」などをガイド付き、昼食付きで巡ることが可能。地質学的にも注目されている火山島・黄島の歴史と暮らしを、肌で感じることができます。

情報提供 / 五島市観光協会

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