トレーラーホテルから始める島への恩返し

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奄美大島鹿児島県

HOLLY CAMP

児玉 理佳

RIKA KODAMA

海を見渡す一棟貸しトレーラーから
生まれ故郷の魅力を伝えたい

奄美大島で生まれ育ち18歳のときに島を出ましたが、12年前にUターンで戻ってきました。一度故郷を離れることで改めて魅力に感じたのが、奄美大島に広がる手つかずの自然や島民の温かさ。それをもっと多くの人たちに伝えたいという想いで、キャンピングトレーラーの宿泊施設「HOLLY CAMP」の立ち上げを決意しました。もともと旅が好きで「いつかトレーラーに泊まりながら旅をしたい」という夢もあり、世界的にもまだ例が少ないオーシャンビューを望む一棟貸しトレーラーの宿泊スタイルにこだわりました。あとは、子育てをしながら好きなことに挑戦する“自立した女性“のロールモデルになれたらいいなと思っています。自分の活動を通して起業へのハードルを下げ、女性が活躍する場がもっと増えていけばといいなと感じています。

知識ゼロからスタートし
新しいカタチの宿泊施設を実現

知識が全くない状態で宿泊施設の立ち上げを決めたので、まずは「宿について知る」ために、ホテルでのアルバイトからスタート。トレーラー内の設備やウッドデッキの設置について構想があったので、その後は設計事務所に入りました。本格的な準備が始まってからは、怒涛の毎日でしたね。前例が少ないキャンピングトレーラーの宿泊施設だったので、トレーラーを扱うあらゆる施設に電話をかけてリサーチもしました。苦労したことも多かったのですが「鹿児島県では前例がないことを言い訳にして、諦めたくない」と思っていたので、地道な活動を続けていきました。最終的には「HOLLY CAMP」というカタチで、宿泊施設の新たな道を作ることができてよかったです。

疲れた心と体を癒す
亜熱帯の自然や移りゆく島景色

目の前にはエメラルドグリーンに輝く海が広がり、周辺には亜熱帯の鮮やかな植物が生い茂る「HOLLY CAMP」。自分たちだけの特別なプライベートタイムを楽しんでもらうため、宿泊は1日1組限定にしています。ここでは予定を詰め込んで観光地を巡るというより、島に流れる穏やかな空気感を味わいながら、ゆったりと1日を過ごしてもらいたいです。何にも邪魔されず水平線に沈む夕日をぼんやりと眺めていると、あたりがどんどん暗くなって、気がつけば頭上に広がる一面の星空や天の川。都会で過ごす忙しない毎日にストレスを感じていたお客さんが、奄美大島の自然や島民の空気感に癒されて、笑顔になって帰られる姿を見るととても嬉しく感じます。

未来に希望をもてる島を目指して
宿泊業やウエディング事業にも尽力

一度島を出ると、帰っても働く場所がないからと戻れない人がいるのが現状なので、働く場所を自分で作る方法を教えてあげられたら、もう少し島に帰ってきやすくなるのかなと思います。「HOLLY CAMP」や2021年にオープンした「HOLLY CAMP CASA」などの宿泊施設の運営、ウエディング事業にも力を入れて、島の魅力を発信すると同時に、子どもたちが島の将来に希望をもって暮らしていけるような環境を整えていきたいです。

奄美大島生まれ、奄美大島育ち。18歳で島を出たのち、2011年に島にUターン。奄美大島の魅力を多くの人に伝えるため、2018年に当時は前例が少ないキャンピングトレーラーの宿泊施設「HOLLY CAMP」を立ち上げる。宿泊業のほか、ウエディングや別荘管理事業など数多くの事業を手がけている。