SEA 2022.07.27

御船印を集めながら、
日本全国を船旅しよう!
〜あなたの知らない日本が、
まだまだある〜

2021年4月1日から、日本全国の船社や海洋博物館が御船印を発行し、販売する“御船印めぐりプロジェクト”が日本旅客船協会の公認事業としてスタートしました。御船印とは、神社仏閣で頒布される御朱印の船バージョン。北海道から沖縄まで現在76社が参加して、各社が独自の印を発行しています(2022年6月時点)。全国各地の船に乗って、御船印を集めながら日本再発見の旅はいかがでしょう?

小林 希
((一社)日本旅客船協会の公認船旅アンバサダー)
元編集者で旅作家。2011年にサイバーエージェントの出版社を退職して、1年間世界放浪の旅へ。帰国後に本を出版して作家デビュー。これまでに海外70カ国、日本の離島を130島以上めぐり、旅や島、ネコなどをテーマに執筆活動を続ける。
島国・日本だからこそ楽しめる!
御船印の始め方

6800以上の島々で構成される島国・日本は、いにしえより船を使ってきました。船は人々の生活を支え、さまざまな地域との交流や交易を発展させてきました。また、人や文物を運ぶだけでなく、海上安全を祈願する人々の信仰心も育んできました。現在もなお、物流や公共交通機関、観光などにおいて、船は欠かせない乗り物です。
時代とともに、船そのものも進化し、様々な種類の船が各地の海を航行しています。船から眺める景色は、陸上とは違う魅力があり、豊かな水に恵まれた日本の美しさを再発見するでしょう。また、陸路や空路とは別に海路(航路)を使うことで、これまでにない新たな旅を計画してみるのもオススメです。御船印めぐりプロジェクトは、海や湖、河川を運航する船会社が参加していますので、旅の記念にぜひ御船印を集めてくださいね!

<御船印の基本情報>

各社によって御船印のデザインはさまざま。船ごとに発行している船会社もあれば、航路ごとや社名、観光地名をデザインした船会社もあります。ほとんどはプリント版ですが、スタンプ版や手書きなどもあります。1枚300円〜1000円。販売場所は、主に船内や船が発着するターミナルの窓口や売店で販売しています。

<始め方>
①御船印を貼る公式船印帳を
手に入れよう!

御船印めぐりプロジェクト事務局が制作した公式船印帳は、各社で販売されています(一部取り扱いなし)。また、お持ちの御朱印帳でも集めていただけます。ただしマスター制度を申請される場合は、申請の手続きが便利な公式船印帳の使用をおすすめします。

②御船印の公式HPで各社の御船印の取り扱い情報をチェック!

天気や時期によって、御船印が売り切れている場合や船が運休している場合があります。お出かけ前に必ず公式HPを確認してください。

③船に乗りに行こう!

御船印は港や船内で販売しています。各社によって販売場所は異なりますので事前に公式HPを確認してください。

④公式船印帳に貼ろう!

御船印を購入したら、公式船印帳に貼って旅の記念にしましょう。

どんな御船印があるの?
<船の名前が書かれたもの>

(例)東海汽船/石崎汽船/東京九州フェリー/前島フェリー

<船会社の名前やファンネルマークが書かれたもの>

(例)伊勢湾フェリー/八重山観光フェリー/名門大洋フェリー/南海フェリー

<船が発着する地域や観光地が描かれたもの>

(例)そともめぐり/五島産業汽船/岩部クルーズ/ダックツアー

<航路が書かれたもの>

(例)富士急マリンリゾート/ハートランドフェリー

<遊び心に富んだ印>

開くと飛び出す仕掛けの御船印や、数枚集めて並べると1枚の絵になる御船印、スタンプを組み合わせて1枚になる御船印などがあります。

(例)ジャンボフェリー/シルバーフェリー/カワサキワールド・神戸海洋博物館/瀬戸内海汽船

<限定印>

期間限定やツアー限定の御船印や他社とコラボした御船印などもあります。

(例)商船三井フェリー・さんふらわあ/写真東海汽船・東京湾フェリー・トライアングル

公式船印帳の種類と買い方
<瑠璃の壱>

御船印めぐりプロジェクト事務局が制作した公式船印帳の「瑠璃の壱」。プロジェクトのテーマカラーである瑠璃色を使い、海のきらめきを表現する銀色の箔をあしらったデザインです。その昔、瑠璃色の原料となる石は、中央アジアでしか産出されず非常に貴重でした。別名をウルトラマリンと呼ばれ、多くの芸術家は「海を超えた色」として憧れていたのです。船に乗って旅する先に、多くの発見と感動がありますようにと、願いを込めてデザインしました。

希望小売価格: 1,980円(税込)
サイズ: 横12cm×縦18cm×厚さ1.5cm
仕様: 蛇腹式(最大46枚の御船印を貼付け可能)、ビニールカバー付き

<「港街/神戸」別名「神戸」>

神戸市とのコラボ船印帳です。1868年の開港以来、多くの外国人が来訪・居住し、モダンな文化を育んできた街「神戸」。海側から見た神戸の街並みとともに、神戸に暮らす人、訪れる人たちが街を楽しげにめぐる様子が描かれています。裏面には、開港150周年を記念し、英国紋章局で制作された神戸港の紋章を配置。紋章には「北前船」や港の朝夕の賑わいを示す図案が描かれており、神戸港の歴史と繁栄が表現されています。

希望小売価格: 2,200円(税込)
サイズ: 横11cm×縦16cm×厚さ1.5cm
仕様: 蛇腹式(最大46枚の御船印を貼付け可能)、ビニールカバー付き

<日本丸の壱(別名「帆船・日本丸」)>
*期間限定発売

船員教育機関である独立行政法人 海技教育機構(JMETS)とのコラボ船印帳です。メインに描かれた船は、JMETSの練習船「帆船・日本丸」。 1984年に就航した大型帆船で、最速の帆船に贈られる称号を3度受賞したほどの高い性能を誇っています。JMETSでは数多くの実習生育成に活用されています。この印帳は「寄付金つきの商品」として販売され、収益の一部はJMETSを通じて船員教育に役立てられます。

希望小売価格: 2,200円(税込)
サイズ: 横12cm×縦18cm×厚さ1.5cm
仕様: 蛇腹式(最大46枚の御船印を貼付け可能)、ビニールカバー付き

マスター制度に挑戦して、「船長」「一等航海士」の称号をもらおう!

御船印を集める楽しみの一つとして、「御船印マスター制度」があります。定められた条件の印を集めることで「一等航海士」、「船長」などの船にちなんだ称号が認定されます。認定されるとシリアルナンバー付きの認定証が授与されます(有料)。
現在、神戸版の地域称号制度(神戸ポートエキスパート)も実施しています。

船旅をすることは、日本の過去から未来を想うこと

古来、海に囲まれた日本は、島国らしい独自の暮らしを営んできました。その暮らしが発展していく足がかりとなった大きな要因の一つは、船と言っても過言ではありません。先人が大海原に帆をあげ、命がけで海を渡って航路を開拓し、人や文物の往来を可能にしました。江戸時代には北前船が物流の要となり、多くの人が夢を抱いて、“移動”や“移植”を果たしています。
近代化とともに、和船と呼ばれる船はほぼなくなり、現在に至っては自然環境に配慮し、ニオイや揺れを抑え、乗船者の安全と快適さを重視した船が増えています。中には「動くホテル」と呼ばれるほどの設備を有する船もあります。
それでも、高速船と呼ばれる船でさえ最高速度は80キロ程度。船は「遅い」と言われるかもしれませんが、そのスローな移動の時間の中に、感動や発見があります。たとえば、移りゆく空の景色を眺めたり、海鳥や潮騒の音を聞いたり。そんな日常とかけ離れ、自然に寄り添って過ごす時間も良いと思いませんか?
私たちは、遥か昔から未来まで、船とともにゆっくりと、着実に歴史という大海原を歩んでいるのだと思わずにはいられません。今一度、船と船旅の魅力を再発見する旅をしてみませんか?