OTHER 2023.05.18

三河湾へアイランドホッピング
徒歩で楽しむ
篠島・日間賀島1泊2日の旅

知多半島の近く、3つの離島を擁する三河湾。実は手軽にアイランドホッピングを楽しめる旅先として注目を集めているのはご存じでしょうか。今回は島めぐり切符を使って、日間賀島と篠島を訪れる1泊2日のモデルルートをご紹介!グルメやトレッキング、観光や宿泊に魅力が盛りだくさんです。

土庄 雄平
(トラベルライター)
商社・メーカー・IT企業と営業職で渡り歩きながら、複業トラベルライターとして活動する。メインテーマは山と自転車。旅の原点となった小豆島、転職のきっかけをくれた久米島など、人生の岐路にはいつも離島との出会いがある。
名古屋から約1時間。
河和港から三河湾へ

三河湾の離島には、師崎(もろざき)港か河和港から船で渡航します。師崎港は知多半島の先端にあるので電車の最寄駅はないですが、河和港は名鉄電車と徒歩でアクセスできるのでオススメです。名古屋駅から河和駅まで電車約50分、河和駅から河和港まで徒歩約10分弱とドアツードアで約1時間ほど。離島に渡る船の便数も1時間に1便以上出ています。

アイランドホッピングを楽しむには、島めぐり切符を購入しましょう。発売日から2日間有効なので、1泊2日でゆったりとスケジュールを立てられます。私は南にある篠島を先にめぐりました。お宿に合わせて、篠島・日間賀島どちらを先に訪れるか決めるのがベターです。ふぐ・穴子好きには篠島、たこ好きには日間賀島での宿泊をオススメします。

離島を訪れるとき、船に乗り込む瞬間の旅情がたまりません...。名鉄観光海上船にはデッキも設けられています。晴れた日には青空と海の景色が爽やか。さぁ1泊2日の三河湾の冒険に出発です!心地よい潮風を感じながら束の間の船旅を楽しみましょう。

ニューホープな篠島グルメを堪能

篠島に着いたら、まずは腹ごしらえから。最近港近くにオープンした「篠島DIEUX TERRACE(デューテラス)」さんへ向かいます。アメリカンBBQや篠島ならではの海鮮料理を楽しめるお店です。カジュアルな店内は、どこか海外のリゾート地を思わせる雰囲気。地のものを味わえ、映え要素もあるので、カップルや友人での旅にぴったりですね。

オススメは牡蠣を使った季節限定のまぜそば。牡蠣から作った風味豊かなタレが、弾力のある太麺によく絡んでくれます。仕上げにはかきのオイル漬けも乗っており、さらに風味豊かで濃厚な味わいに。柑橘による爽やかな味変も、暑い夏にぴったりでした。

余白の時間で。島の情緒を楽しむ散策

篠島には港から無料送迎をしてくださる旅館が多いです。お宿のスタッフとの距離感が近く、なんだか実家に帰ってきたような安心感があります。私が宿泊したのは「あなごの宿 三船亭」さん。穴子の漁師さんが営む民芸調の旅館です。到着すると、お母さんが温かく迎えてくれ、チェックイン前でありながらお部屋に入れてくださいました。

到着したのはお昼過ぎ。夕方まで結構時間があるので、お宿の周辺を探検しました。美しい白砂のビーチや生活感のある路地裏、伊勢神宮とのつながりがある神社など、見所がたくさん。ふとした瞬間も絵になるので、思わず撮影が捗りました。急な坂が多く、迷い込むと大変ですが、高台から海を望むロケーションも離島らしい風情があります。

「あなごの宿 三船亭」で楽しむ
癒しの宿泊体験

「あなごの宿 三船亭」の魅力は、何と言ってもほぼ穴子で構成されるフルコース料理です。お寿司以外であまり食べる機会のない穴子ですが、趣向を凝らしたお料理を通じて、さまざまな穴子の表情を味わうことができます。コリコリとした穴子のお刺身7種盛合せや、穴子の身とタレの旨味で口いっぱいに広がる一本寿司、ホクホクの穴子を楽しめる柳川風など、お料理をいただくたびに発見と感動がありました。

「あなごの宿 三船亭」は3つの貸切風呂を備えています。総部屋数が6部屋という小規模の旅館なので、お風呂が混み合うこともなく、何度でも利用できるのが嬉しいですね。日中の散策でかいた汗を流し、街灯がともる夜の海辺を歩いてみてはいかがでしょうか。夜風がサラサラと涼しく、風情ある夏の離島らしい時間を過ごすことができますよ。

早朝は東海の松島をめぐる
トレッキングに出発

古来より歌人に愛された篠島。”東海の松島”とも呼ばれ、実は島の南西部にいくつか歌碑が残されています。そんな篠島の歴史と自然を巡るように、篠島海水浴場から太一岬、歌碑公園展望台まで遊歩道が整備されているのが、篠島の隠れた魅力。三河湾の自然が作り上げた素晴らしい景色を眺めながら、冒険心をかき立てるトレッキングを楽しむことができます。

私は早朝、お宿で朝ご飯をいただく前にサクッと歩いてきました。荒々しい断崖地形や展望台も見事だったのですが、一番感動したのは木漏れ日のシャワー。緑深い樹林の中を差していく光は息を呑む美しさで、歌人の愛した風光明媚な自然が今でもしっかり島に根付いていると感じられました。

どこもかしこもたこの島
「日間賀島」へ上陸

篠島港まで送迎していただき、次に目指すのは隣の日間賀島。面積は三河湾3島のなかで一番小さく、徒歩で一周することができるコンパクトな島です。日間賀島といえば、たこの名産地。島の東西の港にはたこのモニュメントがあるほか、路地裏にはたこの干物を干していたり、たこ形の交番があったりと、どこもかしこもたこ尽くしです。

そんな日間賀島をせっかく訪れるなら、たこグルメをいただきたいところ。オススメははっぴいさんの「たこ焼き」です。熱々ホクホクのまま口にいれると、コリコリのたこが顔を出す王道の美味しさ。たこ焼きが名物ですが、実は作り手も多くの方に慕われる名物お母さん!いろんな面白いお話が聞けるので、ぜひ気軽に話しかけてみてください。

初夏の風景に癒される
日間賀島一周ハイキング

比較的緩やかな約5.5kmの日間賀島一周。船が連なる漁港の風景や真っ青な三河湾、島の至るところに置かれている蛸壺など、離島らしい風情が詰まっています。堤防を歩く道は、海を見渡すパノラマロード。特に印象に残っているのは、日間賀島東港〜西港の区間です。まるで絵画のような美しい道を彩るように、島の小学生たちが作り上げた温かみのある作品が飾られていました。

島一周でぜひ立ち寄ってもらいたいのが、ハイジのブランコです。海を見渡せる絶好のロケーションを誇っており、カップルが交互に乗って愛を叫ぶと幸せになれるのだとか。行列ができていると人目の関係で難しいかもしれませんが、挑戦するかしないかは自分次第です(笑)。最後は日間賀島東港まで歩いて、河和行きの船に乗り込みます。夫婦2人とも疲れ切っていたので、クーラーの効いた船内で熟睡してしまいました。

いかがでしたでしょうか。今回は三河湾の2島をめぐるアイランドホッピングの旅をご紹介しました。島のもつさまざまな表情やコミュニケーションに癒されながら、ぜひゆったりと非日常に浸る島旅にトライしてみてください。