OTHER 2023.03.15

ピンクの絶景に心洗われる。
瀬戸内海と桜、オリーブが
共演する春の小豆島

どの季節に訪れても美しい小豆島ですが、春の季節にはその美しさはより一層際立ちます。なぜなら島中の桜が一斉に咲き誇り、島全体をピンクに染め上げるから。今回は瀬戸内海と桜のコラボレーションに心洗われる旅をご案内します。

土庄 雄平
(トラベルライター)
商社・メーカー・IT企業と営業職で渡り歩きながら、複業トラベルライターとして活動する。メインテーマは山と自転車。旅の原点となった小豆島、転職のきっかけをくれた久米島など、人生の岐路にはいつも離島との出会いがある。
和洋折衷の絶景。小豆島オリーブ公園と
桜のコラボレーション

小豆島といえば、どのようなイメージが頭に浮かぶでしょうか。そう、まず思い浮かぶのはオリーブですよね。小豆島は日本で初めてオリーブの栽培に成功した場所として知られています。日本のオリーブ産業の先進地として小豆島が発展していった結果、オリーブのある風景がいつしか島の日常になりました。日本のエーゲ海と謳われるように、どこか異国情緒が漂う雰囲気を醸し出しています。しかし春になるとその風景が一変。なんと桜とオリーブのコラボレーションを見ることができるのです。見られる場所は、ギリシャ風車がトレードマークの「小豆島オリーブ公園」。まるで絵画のような瀬戸内海を背景に、ピンクと緑が折り重なる和洋折衷の絶景は思わず息を呑む美しさです。

醤油蔵を越えて。花々彩る
オリーブのリーゼントの春景色

2022年には5回目の会期を迎えた「瀬戸内国際芸術祭」。新しい会期を迎えるたび、新しいアート作品の顔ぶれが増えていきますが、中には会期後も常設され、島の日常風景に溶け込むモニュメントになっている作品もあります。その代表例の一つが、清水久和氏の作品「オリーブのリーゼント」でしょう。もろみの香り豊かな醤油蔵ストリートを抜けると、オリーブに囲まれた広場にリーゼントのモニュメントが現れ、非日常の空間が演出されています。そんな小豆島を代表する癒しの広場に加わるのは春の花々。オリーブに寄り添うように満開の桜が咲き、隣接する花壇は水仙で彩られます。暖かい季節の訪れを感じつつ、その気持ちよさに思わずベンチでうたた寝をしてしまうかもしれません。

瀬戸内海と桜の美しい共演!
二十四の瞳のロケ地になった城山公園

瀬戸内海を一望する高台に位置する「城山公園」。かつて南北朝時代、標高110メートルの山頂に居城を築かれたことから「城山」と呼ばれるようになったと言われるこの公園内には、桜が100本前後植えられており、春になれば小豆島を代表する桜名所に変わります。小豆島を舞台に描かれた名作『二十四の瞳』中で描かれる、桜の木の下で電車ごっこをして遊ぶシーンもこの公園で撮影されました。ずっと続いていく桜並木のトンネル、その間から飛び込んでくる瀬戸内海の多島美や、フェリーが行き交う情景。ハイライトとなる展望台「桜花亭」には、ピンクの空間に顔を覗かせる真っ青な海。ひたすらに春らしい穏やかさと心躍る瀬戸内海のワンシーンが、そこには待っています。

ダムも桜名所。粟池ダムと殿川ダムから
里山里海の春を愛でる

渓谷からなる島ということを物語っているように、小豆島に設けられた4つのダム。それらのダムが桜の名所ということを知っていれば、かなりの小豆島ツウだと思います。まず「殿川ダム」は、日本の棚田百選にも選ばれている中山千枚田に隣接するこぢんまりとしたダム。寒霞渓の西側・四方指山を水源とする伝法川の中流に佇み、小豆島の豊かな農業を支えています。そんなダムは春になると、優しい色合いのソメイヨシノに彩られます。静けさに包まれ、日本の原風景に訪れた春をほっこりと感じられる穴場スポットです。一方で、寒霞渓の東に位置する「粟地ダム」は、ダムの下を桜が埋め尽くすお花見スポット。下から桜の天井を見上げる構図と、上から桜の絨毯を俯瞰する構図、息を呑むほど美しい風景には、思わず感嘆してしまいます。

天狗岩丁場や観音寺。
心奪われる穴場な桜名所をめぐる

島全体がピンクに包まれる春の小豆島。上記でご紹介した以外にも、たくさんの桜スポットが点在しています。島をドライブしながら、お気に入りの桜スポットを探してみてはいかがでしょうか。私のイチオシは、「天狗岩丁場」の登り口にある桜並木です。天狗岩丁場は昔、大坂城の石垣などが切り出されたと伝わっている史跡。小豆島の豊かな歴史を物語っているこの場所には、かつての繁栄ぶりを讃えるように見事な桜が咲き誇ります。また神戸港と小豆島ジャンボフェリーでつながっている坂手港からすぐの場所に位置する、小豆島霊場第3番の「観音寺」もオススメです。こじんまりとした島らしい町並み、狭い路地裏、そして垣間見える海に寄り添うように咲く桜の情景が印象的。島のゆるりとした時間も相まって、癒しのひとときを過ごすことができます。

桜だけではない!水仙やミモザなど花名所も盛りだくさん

島の至る所がピンク色に彩られる春の小豆島ですが、実は桜以外にも花の絶景のオンパレードを見せてくれます。その代表例が、小豆島北西部を走る「水仙ロード(県道253号線の一区間)」。土庄港から屋形崎を時計回りに走ると、海を背景にして咲き誇る水仙畑が広がります。一面、黄色と青色の対比に包まれる道はとても爽快!心躍る風景を横目に気持ちの良い道を駆け抜けましょう。また桜の時期には、異国情緒漂う小豆島の雰囲気にぴったりなミモザも満開を迎えます。見どころスポットは島東部にある「タケサン農園」さん。ソメイヨシノより少し早いのですが、2月下旬〜3月上旬には、ミモザと河津桜の共演を鑑賞できます。パステルカラーの風景は心洗われる美しさ。いよいよ迫る春の訪れを思いっきり感じられる場所です。

COLUMN

春に食べたくなる爽やかな島の味覚ジェラート

花より団子という言葉もあるように、やはり春にはお腹が空くというもの。年間を通じて温暖な小豆島では、春にもなるといよいよジェラートやアイスが美味しくなります。そこでご紹介したいのが、「MINORI GELATO」さん小豆島の旬の食材を生かした個性的なフレーバーが魅力です。私のイチオシはオリーブ×柑橘系の二種盛り。ミルクの中にオリーブらしい独特な風味を楽しみ、爽やかな柑橘系のほのかな苦味の余韻に浸る。素材そのものの美味しさが存分に生きています。