GOURMET 2022.11.16

島ならではのご当地グルメ
全国各地の離島から厳選10選
〜うまいもんを食べ尽くす島旅〜

島をめぐる醍醐味の一つであるグルメ。バラエティーに富んだ海産物に恵まれ、都会ではなかなか食べることのできない贅沢を味わえます。飽くなき離島グルメの魅力と、島旅ライターおすすめの厳選ラインナップをご紹介します。

土庄 雄平
(トラベルライター)
商社・メーカー・IT企業と営業職で渡り歩きながら、複業トラベルライターとして活動する。メインテーマは山と自転車。旅の原点となった小豆島、転職のきっかけをくれた久米島など、人生の岐路にはいつも離島との出会いがある。
多様な食材と出会うよろこび

味わったことのない天然の食材に出会い、それをいただくひととき。「このために旅をしているんだ...!」と思わず唸ってしまう瞬間があります。五感をフル活用する旅という経験。味覚に直結するのは食です。どんなに素晴らしい風景に出会っても、最後は美味しいグルメに舌鼓を打った記憶が、旅の印象を締めくくるような気がしています。

自然のおいしさを引き出す料理

「島の食に心惹かれるのはなぜか?」その答えは、人の手が絶妙に加わっており、食材の美味しさが生かされているからではないでしょうか。鮮度や食感を生かす調理法や、伝統的に受け継がれてきた暮らしの知恵、時には料理人独自の趣向が光ります。人の手を介在することで高められた天然食材をいただく瞬間は、この上ない幸福感です。

島の空気感とともに思い出す味

人情味が感じられることも多い島グルメ。例えば漁家民宿では食べきれないほどのボリューム抜群の料理が提供され、時には主人との会話も弾みます。アットホームな雰囲気に癒されつつ、一皿一皿の料理の美味しさに感動し、お腹も心も満たしていきます。もしかしたら食を通じて、その島を第二の故郷のように感じられるようになるかもしれません。

全国各地の離島から厳選10選
〜私の選ぶうまいもん〜

それでは今まで筆者が出会ってきた島グルメの中から、おすすめのメニューを厳選してご紹介!豪華海鮮から島の味覚が詰まったラーメン、そして四季折々のフレーバーが楽しめるジェラートまで。次に旅行してみたい島や、味わってみたい食テーマの参考にしてみてください。

<<五島列島>>

キリシタンの祈りの歴史と、色彩豊かな自然が織りなす最果ての島・五島列島。五島牛や五島うどんなど食文化も多彩ですが、特に五島灘で採れる天然食材を生かした海鮮グルメがオススメです。

▶︎えびや ウニ丼倍盛り

五島列島・若松島に位置する漁家民宿「えび屋」さん。実は知る人ぞ知るお食事どころでもあります。看板メニューは、5月から6月末までの時期限定でいただける「ウニ丼」です。天然の赤ウニと紫ウニが、ご飯の上へ贅沢に乗せられます。ひとたび口の中へ運べば、豊かな風味と甘さが口いっぱいに広がり、特製タレと合わさる濃厚な味わいにほおが落ちる美味しさ。せっかく訪れたら、ぜひ倍盛りを注文してみてください。

▶︎ニューパンドラ 海鮮鍋焼きうどん

五島列島のうち、最も南に位置している福江島。その中でも、市街地から一番離れた玉之浦にある老舗食堂が「ニューパンドラ」さんです。玉之浦のトレードマーク・大瀬崎灯台のペイントが施された外観が目印です。そんなこのお店の名物メニューが「海鮮鍋焼きうどん」。贅沢な海鮮が出汁に溶け込んで、ほっと一息つける味わい。柔らかく口当たり優しい五島うどんとの相性もたまりません。最後は濃厚な黄身を絡めていただきます。

<<小豆島>>

バリエーションに富んだ味覚の宝庫である瀬戸内海の小豆島。オリーブをはじめとして、鱧(はも)といった海鮮や、温暖な気候で育つ柑橘類、素麺や調味料のお醤油など、数多くの名産品が揃っています。

▶︎MINORI GELATO

2016年瀬戸内国際芸術祭の際、小豆島の食材を使ってジェラートのレシピをデザイン思考で考える〈Shodoshima Gelato Recipes Project by カタチラボ〉という一つのアート作品として開業した「MINORI GELATO」さん。四季折々、小豆島の旬の味覚が詰まったフレーバーが並びます。甘酸っぱくフルーティな柑橘系も良いですが、オススメはオリーブ。ミルクの甘みの中に、オリーブの絶妙な香りと苦味が、心地よい余韻を生んでくれますよ。

<<篠島・日間賀島>>

三河湾に浮かぶ愛知県の離島・篠島と日間賀島。名古屋から電車と船で周遊できるため、近年人気が高まっている旅行先です。”篠島のフグ・日間賀島のタコ”と呼ばれるほど、海鮮の島というブランドイメージが出来上がっています。

▶︎三船亭 穴子膳

篠島へ宿泊する特権は、フグだけではありません。実は穴子漁師が営む「三船亭」さんでは、穴子のフルコースというべき穴子膳をいただくことができます。お刺身はコリコリと滋味深く、ふわふわな一本寿司は穴子の旨味がたまらない絶品です。炊き込みご飯は何杯でもおかわりしたくなる優しい味わい。「普段食べ慣れない穴子が、こんな味わいの変化に富んでいたなんて...!!」新たな味覚との出会いは、島旅の感動をより一層高めてくれますね。

▶︎はっぴい たこ焼き

日間賀島の小高い丘に位置する、島のたこ焼き屋さん「はっぴい」。日間賀島名産の選ばれたタコを使って、昔ながらのたこ焼きを提供しています。熱々ホクホクのまま口にいれると、コリコリとしたタコが顔を出す王道の美味しさ。たこ焼きが名物ですが、実はたこ焼きを作るお母さんも島のキーパーソン。30年以上お店を続け、お母さんのたこ焼きを食べて育った子供たちが、現在の日間賀島を支える中心の世代になっているというエピソードは何だかほこっこりしますね。

<<答志島>>

古来より海人(あま)が暮らしていた伊勢湾の答志島。豊かな漁場に恵まれ、たくさんの海産物が水揚げされます。本州本土と比べて、リーズナブルでボリュームのあるお料理を提供してくれる民宿が多く、食こそ来島する大きな楽しみと言えるでしょう。

▶︎山幸園 豪華舟盛料理

答志島の海岸沿いにたたずむ「山幸園」さん。昔ながらの老舗らしい小さな民宿では、圧倒的なボリュームの豪華舟盛料理がいただけます。一番リーズナブルなプランでも、伊勢海老・鯛・サザエが入っており、料理の品数も10品以上と食べきれないほどです。島を訪れる醍醐味と言わんばかりの豪華海鮮。アットホームな雰囲気のお宿なので、子連れでも安心です。ぜひ家族で思い出を作りに出かけてみてください。

<<しまなみ海道>>

世界的にも珍しい海峡縦断道路の「しまなみ海道」。車で簡単にアイランドホッピングを楽しむことができるほか、一度は自転車で走り抜けたいサイクリストの聖地でもあります。各島々の名物グルメをつないで旅をしてみましょう!

▶︎はっさく屋 はっさく大福

何度もしまなみ海道サイクリングを行っている筆者が、いつも必ず立ち寄るのが因島「はっさく屋」さん。因島名産のはっさくがごろっと入った「はっさく大福」は、つぶつぶと弾けるはっさくの酸味が、白餡の優しい甘さと絶妙に組み合わさる一品です。大福を包むみかんもちが清涼感の立役者。はっさく大福からいつも、柑橘畑が広がる海道の風景が連想されます。

▶︎さんわ伯方島本店 伯方の塩ラーメン

CMで有名な伯方の塩は、しまなみ海道を構成する離島の一つ・伯方島の名産品です。「さんわ伯方島本店」さんでは、伯方の塩と瀬戸内の海産物を生かした絶品ご当地ラーメンをいただけます。角の取れたまろやかなスープが、17種類の素材の味を引き立てているのがポイント。一口啜ってみると、身体に染み渡る優しい旨味の虜に。素直なストレート麺との相性も抜群です。

<<久米島>>

海洋深層水や車海老をはじめとして、個性豊かな食材が揃う久米島。そんなこの島ではさまざまな食材を組み合わせたオリジナルの久米島そばが生み出されています。今回は、その双璧をなす名店の一杯をご紹介。

▶︎ゆくい処 笑島 車海老そば

久米島そばの代表格と言えるのが、「ゆくい処 笑島」さんの車海老そば。久米島名産の車海老でスープをとり、トッピングにも車海老を贅沢に使用しています。スープの中に感じられる甘さの正体は、久米島たいらの味噌。車海老の旨味とコク、無化調味噌の優しいマッチングが秀逸です。口に運ぶたびに、どんどん高まっていく海老感に感動すること間違いなし。

▶︎やんぐゎ 島味噌もやしそば

島南部、じんじんロードに軒を連ねる「やんぐゎ」さん。看板メニューの島味噌もやしそばは、個性的な久米島の食材が詰まった一杯です。久米島たいらの味噌を主役に、カツオ出汁と海洋深層水を合わせて、滋味深い深いスープに仕上げます。シャキシャキとした食感の惣慶もやしを加えたら、栄養満点の一杯が完成!最後まですっきりといただける新感覚そばは、毎日でも食べたいと地元の方からも大好評です。

いかがでしたでしょうか。今回は島旅の醍醐味の一つである食の魅力と、筆者オススメの島グルメをご紹介しました。一度食べたら忘れられない味を求めて、ぜひ旅をしてみてください。