自然の恵みや人のあたたかさに
魅了された島で生きていく

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小値賀島長崎県

おぢかアイランドツーリズム

木寺 智美

TOMOMI KIDERA

「離島っておもしろい…」
その想いから始まった小値賀島での暮らし

東京で一人暮らしをしながら、慌ただしい日々を過ごす中で、「自然と関わる仕事がしたいな」と思ったことが離島暮らしのきっかけです。最初は、「自然の中で働く」にはどこでどういった仕事をすればいいのかわからなかったのですが、インターネットや雑誌で調べるうちに、「離島っておもしろい!」と離島で働くことに興味を持ち始め、島や地方で暮らすことに関するセミナーなどに参加するようになりました。色々な話を聞くうちに、離島は日本の縮図で、人ごととは思えない課題が沢山あることを知り、生半可な気持ちでは行きたくないという思いも。島へ移住する人と迎える人がお互い不幸にならないためにも、理想ばかりではなく、離島暮らしの現実を学び、「島で生きること」を自分なりに整理していました。
と言っても、行ってみないと何もわからないと思い、気になっていた小値賀島に行くことに。小値賀島の旅行の計画を立てている最中に、自然や歴史文化の魅力を観光客に伝えることで地域活性に取り組むエコツーリズムというものを知り、それを学ぶことのできる研修を見つけ、その研修先の一つに小値賀島の「おぢかアイランドツーリズム」があったことが転機でした。初めて訪れた小値賀島では、民泊にお世話になり、そこで出会った島の方々があたたかく受け入れてくださったのがとても印象的です。

理想ばかりではない
島で生きることの覚悟

全国の島々が集まる「アイランダー」というイベントに参加した際、小値賀島の方々に先日小値賀島に遊びに行ったことを伝えると、早速小値賀島の法被を着せてもらい、島での仲間のように接していただきました。この時、“こんなあったかい人たちがいる小値賀へやっぱり行くしかない!”と意を決し、会社を辞めて、エコツーリズム研修で小値賀島へ行くことに。
エコツーリズムの研修では、最初神戸にて全国の仲間と地域の自然や歴史を伝える仕事とは何かを学びました。その後、2か月間は希望していた研修先の小値賀島へ渡り、「おぢかアイランドツーリズム」でエコツーリズムガイドの勉強や、小値賀島の取り組み等を学ばせていただきました。研修を終えて、島の方々とも仲良くなれ、これからも小値賀島で暮らしていきたいと再度決意して、「おぢかアイランドツーリズム」の正社員として雇っていただくこととなりました。

人を巻き込む力のある島民と一緒に
“島を残すため”の活動に従事

「おぢかアイランドツーリズム」では、島旅コンシェルジュとして島ガイドや旅のサポート、広報を行っています。また、自然をフィールドとしたガイドや民泊(ホームステイ)の事務局・古民家ステイという宿泊施設の運営、野崎島の管理など、“島の文化・自然・景観を未来に残し伝え、町が元気になるため”の活動も私たちの仕事です。小値賀島へ来て下さる方ができるだけ不安なく来島してもらえるように、WEBサイトの運営にも力を入れています。その成果で、“サイトをみて小値賀島に決めました!”と反響もあり、観光の方も増えました。島民の皆さんにも喜んでいただけて、私も嬉しかったです。
小値賀島は1万人ほどが暮らしていた時期もあり、昔から色んな人が共存する文化があるので、島民は島外からの人を受け入れてくれる印象があります。人を巻き込む力を持っていて、「どっから来たとね!」とすぐに話しかけてくれるファミリーのようなあたたかい雰囲気が小値賀島の人たちです。

日常に溢れる自然の恵みを感じ
島の未来を想って生きていく

“人間らしい生活がしたい” “自然と共生したい”と思い、小値賀島に来て10年が経ちました。旬の野菜や魚で四季を感じ、空気が澄んだ景色がいつでも眺められて、昔の田舎のような暮らしが生きていることを感じさせてくれます。私は頂くばかりとなってしまっていますが、物物交換をして、自然の恵みを分け合う文化もとても心地いいです。暮らし始めて長くなりますが、今でも日常に溢れる自然の恵みに幸せを感じ、島民の人たちと『小値賀最高やね』と話したりします。
私にとって小値賀島への移住は、都会ではなかなか感じられない小さな幸せや、人のあたたかさなど得たものはたくさんあります。そんな小値賀島に対して、これからも島を存続させるための活動を続けていきたいです。そして、小値賀島で育った子どもたちに『小値賀で働きたい』『おぢかアイランドツーリズムで働きたい』と思ってもらえたら良いなと思います。

五島列島の小値賀島で活動する特定非営利活動法人。観光を通して小値賀の魅力を伝えるため、小値賀のワンストップ窓口として観光のご案内から、自然体験、民泊、古民家事業など、旅を総合的にプロデュースしている。