Shima旅vol.5

開けて広がる島の香り
飲んで感じる島への想い

離島ビール

向島、生口島、因島、大三島、伯方島、大島 向島、生口島、因島、大三島、伯方島、大島

味も香りも色も異なる
島々で造るビール
一口飲めば
島の魅力に
引き込まれる

日本各地の島々には、島の豊富な素材や環境を活かしながら、それぞれの想いとともにビールを醸造するブルワリーがある。離島ならではのビールづくり、離島とビールの楽しみ方、そしてビールに込める想いとは。“離島へ行きたくなる”“離島で飲みたくなる”離島ビールの魅力と、各ブルワリーの自慢の離島ビールをご紹介。

Report

小豆島の素材環境を活かし
地域に愛され
地」求する

香川県・小豆島の坂手にある古い民家を改装して、 2017 年にオープンしたまめまめびーる。ただおいしいだけでなく、地域に根ざした「地とともに造るビールづくり」を目指してスタートした。定番のまめまめシリーズ4種をはじめ、年間約10種の季節限定ビールを造り出す。

醸造工程はもちろん、洗浄、瓶づめ、ラベル貼りまで手作業。使用する原料にもこだわり、地元の方と協力して、小豆島の産物であるオリーブや醤油などの素材をたっぷり取り入れている。多くの人の知恵と技術を合わせて造るビールには、「地域に愛され、地域で飲まれる〝地ビール〟」への想いが込められる。

香川県・小豆島の坂手にある古い民家を改装して、2017年にオープンしたまめまめびーる醸造所。ただおいしいだけでなく、地域に根ざした「地とともに造るビールづくり」を目指してスタートした。定番のまめまめシリーズ4種をはじめ、年間約10種の季節限定ビールを造り出す。醸造工程はもちろん、洗浄、瓶づめ、ラベル貼りまで手作業。使用する原料にもこだわり、地元の方と協力して、小豆島の産物であるオリーブや醤油などの素材をたっぷり取り入れている。多くの人の知恵と技術を合わせて造るビールには、「地域に愛され、地域で飲まれる〝地ビール〟」への想いが込められる。

五感で見極めて
思い描くビールを
造り出す面白さ

原料である麦芽を細かくする「粉砕」から「糖化」「濾過」「煮沸」の製造工程を行う仕込みでは、温度管理を徹底し、五感を研ぎ澄ませて行う。“手”を動かし、丁寧に、少量ずつ心を込めて醸造している。

瀬戸内海を一望できるテラスで
おいしいご飯と
冷たいビールで乾杯

醸造所の横にあるテラス席では、坂手で採れた新鮮な野菜や、醸造時にうまれる麦汁・麦芽粕などを使った、ビールがすすむ食事を楽しめる。お昼時には、まめまめ特製チリコンカンなどを盛り合わせた「ビールのための豆と発酵のランチプレート」がおすすめ。スパイシーな味わいがきりっと冷えたビールとベストマッチ。

小豆島の空気を
感じながら
出来たてのビールを
存分に味わう

店内ではお土産用の瓶ビールをはじめ、まめまめびーるオリジナルグッズや小豆島産のおつまみも販売。また、坂手港の近くで毎週土日に開く「きまぐれびーる屋台」は、地元の方や観光の方が集まり、ビールを片手に交流できる場となっている。小豆島の風を感じながら味わうビールは格別。

INTERVIEW

まめまめびーる
醸造家 中田雅也

島の恵みの数だけ
広がるビールの可能性

生産者、消費者、時に同業者とともに造る、地域に根ざした「地とともに造るビールづくり」を目指し、小豆島でのビールづくりを始めました。島には、果物や農作物などの自然の恵みと、醤油や佃煮、味噌づくりをはじめとする伝統ある地域の特産物があります。それらの豊富な素材やヒントを活かしながら行う醸造。島の豊かな実りの数だけビールの可能性があり、その無限大の広がりにワクワクしながら行っています。
私が想う「地ビール」とは、「地域に愛される、地域で飲まれるビール」です。その土地のもので造った出来たてを、その土地のもの・こと・人と飲むのが一番おいしい!と思うからこそ、地域の素材や環境を最大限に活かしたビールを作っていきたい。そして、そのビールを通して、島に暮らす人、島を訪れる人をつなぎ、その土地の地域活性につながればと思います。「ここで飲みたい!飲んでもらいたい!」と思ってもらえるようなビールを造るため、島の場所や自然環境、生活スタイルを想い描きながら、小豆島の醸造所で日々工夫と挑戦を続けていきます。

↓
Recommended
BEER

島の素材香りが詰まった
オリジナティ溢れる
日本各地離島ビール

北は北海道から南は沖縄まで、全国の島々にある10の醸造所より、19種類のクラフトビールをご紹介。各島の産物とビールを掛け合わせた魅力たっぷりのビールが並ぶ。11本違う色や味わいだけでなく、こだわりのパッケージデザインにも注目。オンラインショップでも購入できるので、おうち時間も島へ行った気分に。ビール好きも、島好きも、お好みの離島ビールを探してみよう。

10 の離島 19 の厳選ビールを紹介

さどがしま
佐渡島
新潟県
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ときぶるわりー
t0ki brewery
▶︎Clean Code 
770円

Point!
Clean Code/3つのホップを使ったシャープな苦味が特徴のWest Coast StyleのクラシックなIPA。
移りゆく時間の中で
ひとトキを潤す
最高の一滴を追い求めて
2022年3月に醸造をスタートさせたt0ki breweryでは、定番と呼ばれる固定の風味を造らず、仕込みのたびにレシピを変えている。「一度しか訪れないその瞬間を大切に」という思いで、そのトキ(t0ki)にしか出会えないクラフトビールを提供する。
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ホップの苦味にフルーティな香りが組み合わさり、さっぱりしたホップジュースを飲んでいるような感覚に。佐渡島の佐和田地区にある一面に広がる水平線を見渡せる佐桟橋で味わうのがおすすめ。
こうづしま
神津島
東京都
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ひゅうが ぶるわりー
Hyuga brewery
▶︎Angie(右)
605円
▶︎じもてぃらがぁ(左)
605円
Point!
Angie/神津島をはじめ伊豆諸島などで自生している明日葉を使用。
じもてぃらがぁ/清澄のために神津島産の天草を仕込み、モルトの香ばしさと爽快な苦味を味わう飾らないビール。
満点の星空のもとで
育まれた島の名水を
地ビールとして嗜む
東京の名湧水57選にも選定されるほど水が良質な神津島。そんな島の恵みを活かしたビールを造りたいと2017年にHyuga Breweryをオープン。全国トップクラスの美しい星空が広がる島で、ビールを片手に心満ちる時間を堪能できる。
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Angieでは神津島の特産である明日葉とビールを組み合わせ、お互いの苦みと香りを尊重し合う絶妙なバランスを表現。一口飲んだ後に鼻にスッと抜ける爽快な香りを楽しめる。
だいこんしま·えしま
大根島·江島
島根県
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だいこんしまじょうぞうしょ
大根島醸造所
▶︎安納芋ブラウンエール(右)
610円
▶︎いちじくヴァイツェン(左)
610円
Point!
安納芋ブラウンエール/大根島産の安納芋を焼芋にして混ぜ込んだお芋の甘さをふんわり感じるビール。
いちじくヴァイツェン/いちじくのジャムやバナナようなまったりとした甘みが特徴。
クオリティにも妥協なし
特産品を混ぜ込んだ
地元愛溢れるラインナップ
様々な企業や農家とコラボを重ね、常に新しいビールづくりに挑戦する大根島醸造所。地域で採れる農作物をはじめ、食品ロスの対象になる規格外商品を原料に使用するなど工夫が凝らされたものが多く、個性あふれるビールが並ぶ。
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コクと甘さを極限まで追求した安納芋ブラウンエールは、肉料理とベストマッチ。安納芋の甘さを凌ぐいちじくヴァイツェンは、苦味が少なくスイーツとのペアリングがおすすめ。
むしま
六島
岡山県
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むしまはまじょうぞうしょ
六島浜醸造所
▶︎六島麦のはじまり(右)
550円
▶︎六島ドラム缶会議(左)
550円
Point!
六島麦のはじまり/酵母由来の複雑な香りと麦芽由来のほんのりした甘酸っぱさを感じるビール。
六島ドラム缶会議/口の中に広がる六島の天然ひじきのうまみと燻製香を楽しめる。
島民の知恵を借りながら
復活させた麦畑が
ビールづくりの原点に
島民が継承してきた昔ながらの生活や人とのつながりに魅力を感じ、2016年に移住してきた店主。島民の話をヒントに六島浜醸造所をスタートさせた。麦酒の背景を感じながら味わうビールは、麦芽の確かな飲みごたえの後に広がるほのかな甘みで飲む人の心を癒す。
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六島麦のはじまりは、白身魚の天ぷらやカマンベールとも合う確かな飲みごたえと軽やかなのど越しが特徴。甘みが少なくキレのいい飲み口の六島ドラム缶会議は、ベーコンやソーセージ、ミモレットとの相性◎。
いつくしま
厳島
広島県
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みやじま ぶるわりー
MIYAJIMA BREWERY
▶︎MIYAJIMA WEIZEN(右)
650円
▶︎MIYAJIMA OYSTER STOUT(左)
700円
Point!
MIYAJIMA WEIZEN/フルーティな香りとトロッとした口当たりが特徴の白ビール。
MIYAJIMA OYSTER STOUT/宮島産の牡蠣を使用した燻製香が香る黒ビール。
朱色の大鳥居を望む
宮島ブルワリーで
島の特産と味わう一杯
生まれ故郷で新名物をプロデュースするという心意気で立ち上げられたMIYAJIMA BREWERY。「飲みやすさ」にこだわり、牡蠣や蜂蜜などの特産品を仕込んだビールを展開。併設のレストランでは、瀬戸内の海と大鳥居を眺めながらビールに合う牡蠣料理が味わえる。
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宮島にある弥山原始林のミネラルがたっぷり溶け込んだ湧き水を仕込み水として使用。ビール初心者や女性にも人気のあるやわらかい口当たりで、どんな料理とも相性のいいビールに仕上がっている。
しょうどしま
小豆島
香川県
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まめまめびーる
▶︎i love olive(右)
715円
▶︎くろまめまめ(左)
594円
Point!
i love olive/2021年秋収穫のオリーブ果汁を使用し、麦芽の甘みとオリーブの香りが広がる。
くろまめまめ/ヤマロク醤油「鶴醤」のもろみ(残渣)を使った黒ビール。
小豆島の恵みを活かして
手で造り、手で詰めた
味わい深い地ビール
『小豆島×ビール=「  」』を合言葉に、小豆島の素材を活かしながら、定番シリーズ5種、季節限定シリーズ年間約10種のビールを醸造するまめまめびーる。小豆島の新たな名産品として親しまれている。ビールへの愛情を感じるラベルデザインも必見。
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小豆島産オリーブから採れた「オリーブ果汁」を使用したi love oliveは、ほんのりと感じるオリーブ独特の苦味が飲んでいくほどクセになる。醤油の風味が鼻へ抜けるドライな飲み口のくろまめまめ。もろみの黒ビールは世界でここだけ。
あまくさしもしま
天草下島
熊本県
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あまくさ そなー びーる
AMAKUSA SONAR BEER
▶︎White Pearl(右)
750円
▶︎Sweet whispers(左)
1,000円
Point!
White Pearl/2022年に収穫したばかりのフレッシュな無農薬パール柑を使用。
Sweet whispers/完熟マンゴーをまるごとかじったような濃厚フルーツサワー。
無農薬ホップの自家栽培や
スムージーサワーの製造など
探究心を忘れないビールづくり
ブルワリー裏で栽培した新鮮な天草産無農薬ホップのみを使用したビールづくりを行うAMAKUSA SONAR BEER。“面白いビール”の探究に余念がなく、国内ではまだ珍しいスムージーサワーエール(ビールの一種)の製造も行っている。
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西日本最大のクラフトビール専門酒屋 WITCH CRAFT MARKETとのコラボで誕生したSweet whispers。トロみのある滑らかな口当たりで、シュワっと美味しい新感覚ビール。
いきしま
壱岐島
長崎県
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あいらんど ぶるわりー
ISLAND BREWERY
▶︎GOLDEN ALE(右)
650円
▶︎YUZU-KOJI ALE(左)
700円
Point!
GOLDEN ALE/壱岐島の麦焼酎に使われる白麹を仕込んでおり、魚料理との相性抜群。
YUZU-KOJI ALE/壱岐産の柚子をたっぷりと使用した爽やかなフルーツビール。
豊かな海に囲まれた
漁師町ならではの
魚と飲みたいクラフトビール
「魚に合う」をコンセプトに、お刺身やお寿司など繊細な魚料理とも優しく寄り添うビールづくりにこだわるISLAND BREWERY。醸造所に併設されているタップルームでは、「食材の宝石箱」とも呼ばれる壱岐産の素材を使用したおつまみとともに常時6種類のビールを味わえる。
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看板商品として一番人気のGOLDEN ALEは、麹が生み出した自然な酸味とホップ由来のほのかな柑橘の香りをまとわせ、壱岐島の食に寄り添うビールに仕上がっている。
やくしま
屋久島
鹿児島県
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きゃっち ざ びあ
Catch the Beer
▶︎YAKUSHIMA CEDAR(右)

▶︎SENJU(左)
Point!
YAKUSHIMA CEDAR/屋久島杉の木片チップを漬け込んだ香り高いアンバーエール。
SENJU/天然酵母「千寿」を使用したやわらかな酸味が特徴。
副原料はすべて屋久島産
大自然が生み出した
島の魅力を伝える醸造所
樹齢1,000年を超える屋久杉の原生林がある屋久島。島で初めてのクラフトビール醸造所であるCatch the Beerでは、深い森から溢れ出る豊富な水や南国ならではの瑞々しいフルーツ、ハーブなどの「屋久島の味」を活かしたビールづくりを行う。
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蓋を開けると深みのある屋久杉の香りが広がるYAKUSHIMA CEDAR。濃厚なコクと赤ワインのような渋みが調和し、じんわりと押し寄せてくるホップの苦みも堪能できる。
みやこじま
宮古島
沖縄県
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みやこじままいくろぶるわりー
宮古島マイクロブルワリー
▶︎とぅばりダーク(右)
670円
▶︎シークヮサーヴァイツェン(左)
670円 ※ 販売店によって変動あり
※販売店によって金額の変動あり
Point!
とぅりばダーク/焙煎した麦芽のコーヒーのような香ばしさを黒糖のまろやかな風味が包み込む。
シークヮーサーヴァイツェン/県産シークヮーサー強い酸味と爽やかな香りを楽しめる夏にぴったりな一杯。
黒糖やフルーツの香りが
豊かなビールを造るのは
宮古島のまろやかな硬水
サンゴが隆起して出来た島である宮古島。隆起サンゴで濾過され口当たりがまろやかな島の水と、沖縄県産の黒糖やシークヮーサーは、宮古島マイクロブルワリーに欠かせない存在になっている。宮古島だからこそ生み出せる味にこだわり、100年先まで愛されるビールを造りを続けていく。
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日本国内で醸造されるビールに特化した審査会「ジャパングレートビアアワーズ」で銀賞を獲得したシークヮーサーヴァイツェン。ホップの香りとフルーティでコクのある味わいで2杯、3杯と飲みたくなるフルーツビール。

離島ビールの楽しみ方

島民との距離を近づけ
旅に彩りを与える
島のウェルカムドリンク

離島ビールの一番の楽しみ方は、「ビールが醸造されたその土地で飲むこと」です。美しい自然風景が広がる島で潮風を浴びながら味わうと、一段と美味しく感じられます。今回ご紹介している離島ブルワリーの多くは、工房にタップルームやビアパブを併設。出来立てのビールを飲みながら造り手の話が聞けたり、居合わせた島民や旅人と思わぬ交流が生まれたり、離島ビールが島旅をより豊かで楽しいものにしてくれます。
離島ビールは島の風土や特産を活かしたものが多く、その香りや味は様々。新たなビールとの出会いを求めて、訪れたことのない島を巡ったり、お気に入りのビールを飲みに、何度も同じ島へ行くのも“離島ビール通”ならではの楽しみ方。離島を訪れるのが難しいときは、オンラインショップを利用しておうちで島の雰囲気を味わうのもおすすめです。いつでも旅人を温かく歓迎し、離れた場所にいても島を身近に感じることのできる離島ビールを、ぜひお楽しみください。


監修/離島びーる倶楽部

全国の離島ビール情報を発信しているファンサイト。離島ブルワリーを現地取材した記事や各島のビールの最新情報などを公開している。オンラインで離島ブルワリーの工房が見学できるツアーなども開催。

取材協力